危ないと分かっていても
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「…………」
滴が夢の内容を語ると、5人は目を見張って滴を見た。
おそらく、夢の内容があまりにもリアルで、怖いものであったため、5人も驚いてしまったのだろう。実際にその夢を見た滴も、未だに気持ちが落ち着かない。
「……とりあえず、今日はスノーたちを外に探しにいくの止めよう?」
プリちゃんが、静かな声で5人に言う。
滴たちは、その声におもむろに頷く。
滴たちも夢の話が話なので、今すぐ外に出ようとは思えなかった。正夢になってしまいそうな気がしたからだ。
滴の夢の中に出てきた女性は、ヘザーに異常なほどよく似ていたが、ヘザーとは関係があるのだろうか。ただの夢であるなら、関係ないであろう。しかし、もし関係があるなら、ヘザーに聞けば何か分かるかもしれない。
「ねぇ」
そんな夢をみた本人が、こんなことを言い出すのはおかしいのかもしれない。けれど、言わなくてはならないと、滴は思う。そうしなければ、いつまでも状況は変わらず、下手すると悪くなる一方だと思ったのだ。
滴が不意に言った言葉に、5人は滴の方を見る。
「……ど、どうしたの……?」
「う、ん。あのね、明日、ヘザーの所に行かない? あの人、ヘザーに凄く似てたから、もしかしたらヘザーなら何か知ってるんじゃないかと思うの。ヘザーがどこにいるか分からないけど、きっと探してたら会えるんじゃないかって思う。何となくだけどね」
「……探している間に、その危険な女にあったらどうするんだ?」
「滴の気持ちは分かるけど、危ないと思うよ」
滴の意見に誰も頷くものはいない。それは、滴の身を案じているからであろう。けれど、滴もここで引き下がるわけにはいかなかった。いつまでもここにいても、未来が良い方向に変わるとは思えないからだ。
「……危険だって分かってても、もしかしたら、死んじゃうかもしれなくても、ずっとここにいるわけにはいかないよ。外に出ないでずっとここで過ごすつもりなの? もう、この世界から出たいとは思わないの?」
「そ、そんな事思うわけないじゃんっ!」
「出来ることなら、愛だって早くここから出たいよ? でもね、滴が死んじゃったら、愛は、愛は元の世界に戻った後、どんな顔で生きていけば良いのか分からないんだよ……」
「……だ、第一、何で一番あの女の人の危なさを知ってるはずの滴が、明日外に出ようって言えるの……? わ、私、滴のこと、明日は絶対外に出さないからね……!」
「……明後日だったら良いの……?」
波が、ハッと口元を両手で覆うのが見えた。
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