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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第8章 あの方
92/100

危ないと分かっていても

閲覧ありがとうございます。

「…………」


滴が夢の内容を語ると、5人は目を見張って滴を見た。

おそらく、夢の内容があまりにもリアルで、怖いものであったため、5人も驚いてしまったのだろう。実際にその夢を見た滴も、未だに気持ちが落ち着かない。


「……とりあえず、今日はスノーたちを外に探しにいくの止めよう?」


プリちゃんが、静かな声で5人に言う。

滴たちは、その声におもむろに頷く。

滴たちも夢の話が話なので、今すぐ外に出ようとは思えなかった。正夢になってしまいそうな気がしたからだ。


滴の夢の中に出てきた女性は、ヘザーに異常なほどよく似ていたが、ヘザーとは関係があるのだろうか。ただの夢であるなら、関係ないであろう。しかし、もし関係があるなら、ヘザーに聞けば何か分かるかもしれない。


「ねぇ」


そんな夢をみた本人が、こんなことを言い出すのはおかしいのかもしれない。けれど、言わなくてはならないと、滴は思う。そうしなければ、いつまでも状況は変わらず、下手すると悪くなる一方だと思ったのだ。


滴が不意に言った言葉に、5人は滴の方を見る。


「……ど、どうしたの……?」

「う、ん。あのね、明日、ヘザーの所に行かない? あの人、ヘザーに凄く似てたから、もしかしたらヘザーなら何か知ってるんじゃないかと思うの。ヘザーがどこにいるか分からないけど、きっと探してたら会えるんじゃないかって思う。何となくだけどね」

「……探している間に、その危険な女にあったらどうするんだ?」

「滴の気持ちは分かるけど、危ないと思うよ」


滴の意見に誰も頷くものはいない。それは、滴の身を案じているからであろう。けれど、滴もここで引き下がるわけにはいかなかった。いつまでもここにいても、未来が良い方向に変わるとは思えないからだ。


「……危険だって分かってても、もしかしたら、死んじゃうかもしれなくても、ずっとここにいるわけにはいかないよ。外に出ないでずっとここで過ごすつもりなの? もう、この世界から出たいとは思わないの?」

「そ、そんな事思うわけないじゃんっ!」

「出来ることなら、愛だって早くここから出たいよ? でもね、滴が死んじゃったら、愛は、愛は元の世界に戻った後、どんな顔で生きていけば良いのか分からないんだよ……」

「……だ、第一、何で一番あの女の人の危なさを知ってるはずの滴が、明日外に出ようって言えるの……? わ、私、滴のこと、明日は絶対外に出さないからね……!」


「……明後日だったら良いの……?」


波が、ハッと口元を両手で覆うのが見えた。





読んで下さりありがとうございました。


嘘嘘を編集いたしました。編集内容については活動報告に投稿しております。編集内容について知りたい方はそちらをご覧くださると、幸いです。

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