お菓子作り
閲覧ありがとうございます。
今回は予告通りお菓子作りについて書きました。
10時になると、キッチンにはエプロンをつけた全員が集まっていた。
「うわぁ、光のエプロンかわいー!」
プリちゃんが光に駆け寄る。
「……いや、これは母親の趣味だから突っ込むな」
「え? 可愛いのに嫌なの?」
「当たり前だろ!」
光がつけているエプロンは、白い生地にフリルがついたものだった。光が美人なだけによく似合っている。まぁ、口を開けばあれだが。
「んでぇ、なぁにつくるの?」
愛がプリちゃんに駆け寄る。
「えっとね、クッキー!」
これなら皆作れるよね、とプリちゃんが続ける。
「なぁんだぁ、簡単簡単」
愛は何故か自分に言い聞かせるようにいう。
「じゃ、作るぞー! クッキーだっけ?」
紗季が皆に呼び掛けた。皆、一斉に紗季の方を見る。
「う、うん。でも3人ずつで分けて作った方がいいんじゃないかな? ほら、6人で作るってちょっと人数多いと思うの」
波が提案する。
滴もそれに賛成だ。
「ん、そうしよっか。くじで分ける?」
「それでいいと思う……!」
「オッケー」
紗季が紙にあみだくじを書き、皆が始める位置を決めた。
「じゃあいくよー?」
………………。
結果は、紗季と愛とプリちゃんのチーム。滴と波と光のチームだった。
「波と光、宜しくね?」
「一緒に頑張りましょ……!」
波が気合を入れているのと反対に、光はどこが違うところを見ている。
「光? どうしたの?」
気になって声をかけたが、光はなんでもない、としかこたえなかった。
……?
場をとり直すように、波は苦笑いをしてつくろっかといってくれた。
滴も光の事は気になったが、いつまでも気にしていても仕方がないと思い、気をとり直す。
レシピは、波が紙に書いてきてくれたのでわかっている。
卵や小麦粉などを出し、作る準備を着々とすすめる。
気づくと、光も準備をしていた。
そうして作り出し、ハンドミキサーで材料を混ぜていると、どこかで悲鳴が聞こえた。
滴と波は、慌てて悲鳴が聞こえた方へ走る。
「ど、どうしたの!?」
それこそ悲鳴じみた声で滴が聞く。
「な、何でもないよぉ。 気にしないでぇ……?」
明らか大丈夫そうではない。ボウルを持っている愛の服やエプロン、顔などには薄い黄色のものがついていて、床には割れた卵が落ちている。
「……なにやってんだか」
はぁ、と光がため息をつく。
「……光んにいわれるとぉ、ちょおムカつくんだけどぉ!」
あーあ、また愛と光が喧嘩しちゃうなぁ……。
滴は、その場にいた愛と光以外の3人と彼らの言い争いを聞きながら掃除を始めた。
このお菓子作り、ちゃんと終わるのだろうか。
滴は心配していたが、両チームともどうにかこうにかお菓子は出来上がった。向こうのチームのが黒かったのは仕方がないと思う。こっちのチームは、波のお陰かきれいに出来上がっていた。
出来上がったお菓子を皆で3時のおやつの時間に食べてみる。
滴は、とりあえず自分のチームのものを食べてみた。予想通り美味しい。家で作ったのよりも美味しくできたのは、やっぱり波のお陰だ。
光も食べてしきりに頷いている。
「そ、そっちの食べていい?」
「い、いいよ! 出来れば全部!」
波が聞くと、紗季とプリちゃんはどこかへ走り去ってしまった。
どうしたんだろ、と波は呟きながら紗季達が作ったクッキーを口へ運ぶ。
「……………………」
波まで紗季達と同じ方向に走っていってしまった。
「……」
現在ここにいるのは3人だ。滴は数える。
恐らくだが、紗季達が向かったのはトイレだ。しかし、しかしである。食べないわけにはいかないじゃないかっ!
滴は決意をして、そのクッキーを掴み、口にそっと入れた。1、2回噛み、向かう先はやっぱり
……トイレだった。
読んで下さってありがとうございます。
私は昔、砂糖と塩を間違えてスイートポテトを作ったことがあります。スイートポテトにたくさんの塩を入れて作りました。そのあと、しょっぱいのを隠すため、砂糖を大量にいれたのですが、余計に不味くなりましたよ!
やってみたい人はやってみてください。材料を無駄にしないで欲しいですが。