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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第8章 あの方
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家に帰って

閲覧ありがとうございます。

ヘザーと洞窟から出た滴たちは、お爺さんと会った。


「えっ、お爺さん?」


どういうわけか洞窟の前で滴たちを待っていたお爺さんに、滴たちは驚く。ヘザーもお爺さんが目の前にいることに驚いたのか、一瞬ぼんやりと立ち尽くした。そして、ヘザーはお爺さんへと駆け寄る。


「長老……っ!」

「ヘザー……様……っ!!」


手を取り合い、嬉しそうにするヘザーとお爺さんに、滴たちはにこりと微笑むと、背を向け、滴たちは家へ向かおうとした。空は薄暗いというわけでもないが、そろそろ日が沈みそうである。


「お、お嬢さん……達……、ありがとう……ございました……! また……こうして……ヘザー……様……と……会う……事……が……出来て……、本当に……ありがとう……ございます……!」


滴たちは、お爺さんの感謝を聞き、嬉しさに満たされながら、家へと向かう。何度も何度もありがとうと繰り返され、滴たちはお爺さんを手伝えたことを嬉しく思った。


家に帰ると、スノーとアンバーが6人の帰りを待っているだろう。仲の良い2匹のことだから、滴たちが留守にしている間も楽しく遊んでいるかもしれない。遊んでいる2匹を頭の中で描きながら、滴はくすりと笑った。






「ただいま~!」


家に帰ると、いつもの雰囲気が滴たちを包み込んだ。そうして、スノーとアンバーの2匹が滴たちを出迎え、遅かったですよ、と言われる…………、はずだったのだ。


だが、そこには2匹の姿はなく、家の中は空っぽ。誰も何もいなかった。何日も静寂が続いていたような家に、滴たちは茫然とし、首をかしげる。


「スノー達は?」


プリちゃんがスノーたちを探し始め、滴たちはそれに釣られるように探し始める。家の中は勿論、家の周辺も探した。けれど、スノー達は見つからない。名を呼んでも、答える気配もなく、滴たちは絶望を抱く結果となった。

外は既に真っ暗で、これ以上外を探すのは危ない。

滴たちはそう判断し、周辺の森の捜索は諦めた。


「ど、どういうことなの……?」


「まぁ、どっかで遊んでるんだろ? 一応あいつらウサギだぞ? 何日も外で遊んでてもおかしくないだろ」


光の言う通りではある。スノー達はウサギなのだから、別に居なくてもそう問題ではないのだ。けれど、居心地が良いといっていたこの家から、そう簡単に出ていくだろうか。


外では、ぽつりぽつりと雨が降りだし、やがて本格的に降りだしている。


「明日はきっと帰ってくるよ! 心配とか要らないからね、あの2匹ならさっ!」


元気付けるようにそう言っている紗季。滴たちはそれを聞いて、余計に不安になった。


読んでくださりありがとうございました。

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