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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第1章 始まり
8/100

愛ちゃん

閲覧ありがとうございます。

今度は愛視点での滴を書いてみました。考えてみると、滴だけ見た目とか書いてなかったんですよね。

食卓に着くと、波が言った通り、愛と光が席に着いていた。

食卓には6つの椅子がある。どこに誰が座るとかは決まっていないようなので、滴達は好きな場所に座った。滴は端の席で、プリちゃんと隣だ。昨日の夜の話で仲良くなったのだ。


「遅いよぉ」


愛が頬を膨らませている。


「なら、手伝えば良かっただろ?」


光は少し苛だたしげに愛を見る。


「光が手伝えばぁ、もぉっと早く出来たじゃん?」

「は? そう言うのは自分が手伝ってから言えよ」

「愛わぁ、この後のお料理のためにぃ力を温存しているのぉ」

「はいはい、わかったからその喋り方止めたら?」

「ひっどぉーい。可愛いのにぃー」

「……ふ、どこがだよ」


愛と光は仲が悪いようだ。というより、光が愛を嫌っているのかもしれない。

滴はプリちゃんと顔を見合わせ、苦笑する。

まぁ、滴も愛の喋り方は好きではないが。


「とりあえずさ、食べようよ!」


紗季が空気を変えるようにいう。


「……う、うん、そうしよ……?」


波も紗季に合わせる。


二人のお陰か、滴達はやっと朝ごはんを食べ始められたのだった。


そして、食べてから部屋に着くと、9時だった。

9時かぁ、あとの1時間どうしよう?

滴は小さなため息をする。

お菓子作りをするためにキッチンへ集合するまで、あと1時間もある。朝ごはんを食べる前に、やるべき事はもう終わらせてしまっている。歯磨きはついさっきやってしまった。


「……誰か終わってない人いるだろうから、手伝いに行こっかな」


確か、小説では愛だけが終わっていなかったはずだ。小説の中の主人公は片っ端から部屋をノックしていた。


「じゃあ、いきますか……」


滴はドアを開けて、愛の部屋へと向かった。







コンコン。

誰かがドアを叩く音がする。


「入ってぇ」


自慢の語尾伸ばしで相手を部屋に入れる。

けれど、はっきりいうと語尾のばしは愛自身好きではないのだ。高校入学時に友達を作るとき、何か個性がほしいと思ってするようになった。結果、友達はたくさんできた。ただし、愛にとっては性格があまり合わないタイプの子が。しかし、友達がたくさんできたのが嬉しく、今はこの喋り方が自分の中で一番になっている。


部屋に入ってきたのは滴だった。

高い位置で結んだポニーテールを、ゆっくりと揺らしながら歩いてくる。艶のある長い髪は、仄かにシャンプーの香りがした。


「愛、掃除とか終わってないでしょ? 手伝いに来たの」


そう言って滴は微笑む。


なぜ終わってないのを知っているんだ?

愛は滴をじっと見つめる。

しかし、滴は愛を答えを待つように見ているだけだ。そのままお互いに見つめ合ってしまったので、やがて堪えきれないように滴は笑いだした。


「どうしたの?」


クフフ、と声を溢しながら、ちょっと困ったように首をかしげている。

まぁ、なぜ知っているかはもうどうでもいいや、と愛も思い直し、いつの間にか固くなっていた表情を和らげ、滴にこたえた。


「手伝いに、来てくれたんだよねぇ。ありがとぉ!」

「どういたしまして。なにしたらいい?」

「ええっとぉ、掃除とかぁ?」

「わかった!」


愛はこの6人の中で一番滴がしっかりしていると思う。2番目は紗季だろう。紗季はおちゃらけキャラだが、何気に5人をまとめてくれている。


「掃除終わったよ」


少しして、滴が洗濯物を干している愛に伝えてきた。

早っ。愛はついそう思ってしまった。

実は、愛は家事的なものは得意でないのだ。それも、桁外れに……。お菓子作りも本当は得意でない。


「ありがとうぉ! あとは愛が自分でやるからぁ、大丈夫だよぉ?」

「そっか、わかった。じゃあ、戻るね」


滴は愛に背を向けて帰っていった。


また部屋に静寂が戻る。

寂しいな、と愛は小さく呟いた。




読んで下さってありがとうございます。

次はお菓子作りについて書きたいと思います。

宜しければ応援宜しくお願いします!

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