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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第6章 ヘザー
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ヘザー記念館 2

閲覧ありがとうございます。

中に入ってみると、そこはひんやりとした空気に満たされていた。大勢の人が館内にいるにも関わらず、そこは静かだった。聞こえるのは、歩く度に鳴る靴音ぐらいのものだ。


「……」


滴達はこの場所の雰囲気に圧され、口を閉ざした。

何かを話そうと思っても、口を開こうとするだけで、実際に声を出すのは躊躇われる。


パンフレットを手にし、展示物を見て回る。

そこにあるのは、多くの文書、そして、この世界の歴史の説明だった。

そして、入り口から奥に進んでいく間に、滴は理解した。

ここは、この世界を作ったとされる神、「ヘザー」の記念館なのだと。だからここにあるのは、ヘザーがやったこと、成し遂げたこと、それによってこの世界の人が受けた恩恵についての説明文だった。

ここに書かれていたことによると、ヘザーは人間のような形をした美しい存在であったらしい。あえてヘザーを存在、などというのは、そのヘザーが人間では出来ない数々のことをやって来たからだそうだ。

例えば、この世界に生命を作ったのはヘザーである。ヘザーが、何億年も昔に、その手で作り出したと言われているのだ。まさに神である。


そうして、滴達は、進んでいくと明らかに雰囲気の違う場所に辿り着いた。そこは、今までの明るい場所とは異なって、薄暗く、壁の色も暗い色で塗られていた。

滴達は、そこの文書も読む。

そこに書いてあったのは、この世界の歴史の謎だった。

歴史の謎ってどういうこと? と、思うかもしれないが、そのままの意味である。

そう、ヘザーがどこかへ閉じ籠ってしまったのだ。

どうしてそんなことになったのかも今は分かっていない。ただ、そのヘザーが、今はどこにいるのかさえわかっていないのだ。つまり、生きているのかどうかさえ分からない。

ヘザーが閉じ籠ってしまったとされるのは、今から約3000年も前のことであった。


人々は、今も世界を作ったとされているヘザーを敬い、呼び戻すため、その存在を崇め続けているらしい。


ここまで読んで、滴は思った。今日のお祭りが、ヘザーという神を祭ったものであるのは間違いない。では、本当にヘザーという存在自態、あったのか。大昔に誰かが考えた存在なのではないだろうか。


しかし、さらに進むと、その考えは打ち消される。

ヘザーと実際に言葉を交わした当時の人々の記録が、たくさん掲示されていたからである。


「精密に作られた物のように美しいヘザー様が、月光を浴びて光り輝いている。鳥や昆虫、獣なども従え、花はヘザー様が通れば、はらりと開く。私達もヘザー様に従う生き物の1つだ」


その場でヘザーと話したことのある人々の資料を、滴は何度も読み返し、不思議な気持ちに襲われた。






読んでくださりありがとうございました。

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