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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第6章 ヘザー
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騒がしい町

閲覧ありがとうございます。

滴達はその日、町を楽しみ、翌日情報収集をすることにした。もちろん「あの方」についてである。


今のところ「あの方」についての情報は、ほとんどないに等しい。わかっているのは、「あの方」がスノーにシャドーを送った張本人だということだけだ。


そこで滴達が睨んでいるのは、「あの方」が滴たちに「ゲームをしよう」などといきなり放送で言い出した人のことなのではないだろうか、ということである。そう思うのは、やはり滴達が彼女からシャドーらしき物を渡されているからだ。もし「あの方」が彼女と同一人物なのであれば、「あの方」が滴たちをこの小説の世界に連れてきた人である確率が高い。だから、「あの方」について滴達は調べる必要があった。


「滴、どうやって調べる?」


町に着くと、プリちゃんが滴を振り返った。

滴は小さく唸る。


どうやって? か。

「あの方」について誰か知ってるとは思えないし……。


そう思って滴は困るが、なにもしないわけにはいかない。

念のため図書館で調べてみるか、と思ったとき、紗季が突然声をあげる。


「ねっ、昨日は気づかなかったけど、もう少し歩いたところでお祭りやるみたいだよ! 行こうよ!」

「お祭りって……」


昨日、今日は1日遊んで明日は調べようね、と話をしたのを忘れのか、紗季は遊ぶき満々になっている。

だが、お祭りがあるのは本当なようで、壁には何枚ものお祭りのチラシが貼っているし、町はお祭りの場所からかなり離れているはずなのに騒がしい。町を歩く人はいつもより多く感じるし、誰も彼もがどこか浮き足立っているようだ。


「……大っきなお祭りなのかなぁ?」


愛が、昼間から酔っ払ってふらふらしているお爺さんを見つめながら言う。

滴達も、何やら仮装している女性を見つめながらそれを聞いた。

他にも、鼻歌を歌いながら歩く人、スキップやステップを踏みながら歩く人などもいる。お祭りだからと言って、そんなにはしゃぐ人も元の世界にはいないが、町に住む誰もがはしゃいでいるのはよくわかった。


一体何のお祭りなのだろう?

この世界では有名なお祭りだとか……?


この世界に来てそんなに日も経っていない滴達には分からないが、今日はこの世界の人にとって大切な日なのかもしれない。

ならば、観光だと思ってこの世界のお祭りを楽しんでみるのも良いのではないだろうか。


滴達は、1日遊ぶ期間を延長した。

読んでくださりありがとうございました。

これからは本題に戻って行きます。

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