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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第5章 休憩
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ケーキ作り

閲覧ありがとうございます。

「──と、言うわけで、これからケーキ作りしよ!」


満面の笑みを浮かべながら、紗季が提案した。

紗季も熱は引いたことだし、参加することも可能だ。


だけれど、


「取り合えず、朝御飯ね」


忘れてたようだけど、と滴は付け加える。

あ、と紗季は固まった。

完璧に忘れていたらしい。









「愛ー! これ混ぜといて!」

「まかせといてぇ! だけど、愛だけで大丈夫ぅ?」

「……だ、だめ! 光、付いといて!」

「は? ……仕方ないな」


滴達は、前回のクッキー作りと同様、二つの班に分かれてケーキ作りをしていた。

実は、今日は波の誕生日だったらしい。波も一緒に作っているためサプライズにはならないが、作るものは満場一致でケーキに決まった。


「愛、それ、箸で混ぜるんじゃない」

「えぇ? 違うのぉ?」


傍目から見ると、漫才のボケでもしているようにも見えるが、少なくとも愛はわざとではなく、本気である。

そんな愛に苦笑を隠せないが、これもこれで楽しかった。やっぱり皆でやると違うらしい。なにが、とは言えないが。


「ねぇ、今なに作ってるの?」


今、滴は向こうの班の会話に耳を傾けている。


「え? スポンジだよ」

「スポンジ? スポンジって……」

「ん?」


突然言葉を止めた紗季に、プリちゃんと波が首をかしげている。


「スポンジって食べれたんだっ!」


何やら結論を出した紗季。

プリちゃんと波は、しばらくポカンと口を開けて、それからハッと意識をもどした。


「……な、なんか勘違いしてない……!?」

「絶対してるよね」


二人は、何かに気付く。そして、確信した。


「……ま、まさかとは思うけど……、……スポンジって、掃除とかに使うのじゃないからね……?」


恐る恐る紗季を見るプリちゃんと波。二人の前には、再び驚きの表情をしている紗季が。


「じゃあ、そのスポンジって何!?」


無言で紗季を見つめる二人は、紗季の常識のなさに飽きれを通り越して悲しみを覚えていた。


「……ケーキ、食べたことあるよね?」

「うん! もちろん!」


紗季は元気よく頬をあげる。


「スポンジって言うのは、ケーキの生地だよ。基本的に、薄い黄色のやつ」


プリちゃんが、ざっとイメージにあるスポンジを紗季に説明する。


「あ、あれがスポンジ……!」


それがスポンジだよ、と滴達は溜め息をついて、楽しげに笑った。

読んでくださりありがとうございました。

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