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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第5章 休憩
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伝えるべき事

閲覧ありがとうございます。

そう、一緒にしたかったのに、滴は勝手に無理だと判断したのだ。愛は、滴の言葉の端々から、滴が自分と一緒に料理をしたくないのだろう、自分に料理をさせたくないのだろう、と思ったに違いない。だったら、それは違うと伝えるべきなのではないだろうか。確かに、させたくないというのは本当であった。けれど、一緒にしたくないというのは、頑固として違う。むしろ、滴は愛と、いや、皆で料理をしたかったのだ。


何故、出来ないなんて決めつけたの?

滴はあの時の自分を恨んだ。


「滴?」


唇を噛んで俯いていると、ふと紗季に名前を呼ばれた。

ビックリして顔をあげると、そこには困惑した様子の紗季がいる。チラリと紗季から目を外すと、他の3人も紗季と同じような顔をしていた。


「っわ! ごめん、どうしたの?」


慌てて表情を作り替えると、光が眉を寄せた。


「どうしたの? じゃ、ないだろ? さっきから一人で黙っといて」


そうきつい声で言われ、滴は苦笑いするしかない。

気付けば、話題も変わっていたようだ。どのぐらい黙ったままだったのだろう。結構な時間だったのは分かったが、話が変わっても気付かないなんて。


その時、ドアに何かが体当たりしているような音が聞こえた。


「?」


瞬時にハテナマークが頭に浮かぶが、波がスノーとアンバーではないか、と言ったことで疑問は解ける。


紗季の合図でプリちゃんがドアを開けると、予想通りスノーとアンバーが雪崩れ込んできた。


「ご飯受け取ってもらえないです!」

「愛、要らねぇーっつってんぞ?」


同時に言われて上手く聞き取れなかったが、スノーとアンバーはこんなことを滴達に伝えた。


「……え?」


紗季が体を硬直させた。そして、どういうこと? と言葉を紡ぐ。

紗季には、愛について何も言っていなかったのだ。


スノーとアンバーは、そんな事はお構いなしに息も絶え絶えで続ける。


「今は、食べたい気分じゃないそうです!」

「とにかく、今日は食べねぇーっつってんぞ!」


唯一話に付いていけていない紗季は、一人、戸惑ってオロオロしている。


「どういうこと!? 朝御飯、もうみんな食べたんじゃないの!?」

「……そ、その、ね……?」


困ってこちらを見上げてくる波。小柄な彼女がそうしてくると、つい滴も、可愛い、なんて思ってしまうのだが、今はそれどころではない。

他の3人も、困って周りを見渡している。

だから、私が言おう、と滴が決めたとき、プリちゃんが勢いよく叫んだ。


「……愛と、喧嘩しちゃったのっ!」


肩で息をして頬を紅潮させるプリちゃんに、紗季が驚きの目を向けて唖然とした。






読んでくださりありがとうございました。

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