挑戦
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「……なっ。いきなり睨んでなんですか!?」
「意味わかんねぇーぞ!」
ご立腹な様子になったスノーとアンバーに、滴達は睨む目を退けようとは思わない。スノーとアンバーが来なければ、愛と仲直りできたに違いないのだから。
あまりに睨むので、スノーとアンバーも気まずくなったようだ。
上目遣いで滴達に平謝りする。
「そのー……よく分からないけど、ごめんなさいね?」
「すまなかったな……」
少しだけしんみりした空気に変わり、滴達もこれ以上睨むのを止める。
スノーとアンバーが謝るのと同時に、プリちゃんのお腹がなったのも大きかった。
「……取り合えず、朝御飯にしよっか」
滴の一言で、5人と一匹は食卓に向かう。そうして、朝御飯にしたのだった。
「……ね、ねぇ、いつもと何か違う気がするんだけど……!」
けれど、食卓に着いた波が、申し訳無さげに滴達に言う。
それもそのはず。今日の朝御飯は、愛特製の朝御飯だ。見た目で美味しくないと判断するのもよくないと思い、朝御飯として、きちんと食べることにしたのだ。もしかしたら、見た目よりも美味しいかもしれない。
「まぁまぁ、そう言わないでさ!」
そう言って、滴は箸をもつ。
しばらくして、一人がポツンと言った。
「……滴。いつまでフリーズしてんだ?」
「……え?」
滴はその言葉に文字どおり、更にフリーズ。
食べようと言っておきながら、なかなか食べない滴に指摘したのは光だった。
光も光で、怖いものでも見ているかのような目で料理を見ている。実は、他の2人もそうであったり……。
「……た、食べるよっ?」
訝しげに見つめてくる3人に耐えられなくなった滴は、半ばやけくそになりながら、箸を料理に付けた。
3人の見つめる中、滴はゆっくりと料理を口に運ぶ。
そして、その切り詰めたような空気で、滴は感想を口にした。
「……作り直そっか」
前のクッキーよりは美味しかった。けれど、それはどうにか食べられる程度になっている。という評価に止まる。明らかに体に悪いであろう塩加減などを考えると、これ以上食べるのはやめておいた方がよいと判断した。
確かに前回のようにトイレへ直行、というほどではないのだが。
他の3人も料理を口にし、しかめっ面で頷く。
愛の料理が不味いのには変わりなかったのだ。お世辞も言えない程度には。
滴はキッチンに立つと、6人と2匹分の朝御飯を作り直した。そうして二人に料理を持っていくことにした。
しかし、ここで問題がある。
それは、誰が愛の部屋まで料理を持っていくか、ということである。
紗季の分は、特に問題もない。だが、現在喧嘩中の愛の部屋は、さっきの事もあって、難しいのではないだろうか。
持っていっても、ドアを開けてくれなければ渡すことも出来ない。
さて、どうするべきか。
滴達は静かに頭を抱えた。
読んでくださりありがとうございました。
愛の料理に関しては、1章の「お菓子作り」を参考にしてください。




