仲直り
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今の状況について滴が説明すると、波と光は「……はぁ」と気の抜けたような声を漏らした。
「だからか」
「……そ、そりゃぁ、怒るかもね……」
二人も沈んだように表情を暗くした。
愛が怒ってしまった大きな原因は、今日の滴とプリちゃんの言動と昨日の4人の言動で間違いないだろう。
つまり、愛は皆で料理をしたかったのだろう。その機会を勝手に奪おうとしたのは、他でもない滴たちだ。愛が嫌がっているにも関わらず、勝手にキッチンから追い出したのだから。
確かに愛の料理は危なっかしいし、不味い。けれど、一緒にやりたいと思ってくれているのに、それを踏みにじるなんてことはやってはいけなかったのだ。
自然な流れで愛をキッチンから追い出してしまったが、本当は愛に注意しながらやれば、皆で料理できたのではないだろうか。
そんなことにも気づけないなんて、友達として、仲間として、失格だ。
「……私、愛の部屋に行ってくる」
滴は決心して愛の部屋の方に体を向けた。
「待って! 私もいくよ」
慌てたように滴の手を引っ張って引き留めるプリちゃんは、少し怒ったような顔をしていた。
「……滴だけに行かせるなんて、おかしいじゃん」
しばらくの沈黙のあと、
「……そうだよねっ」
滴はそう言って笑った。
それを見たプリちゃんも晴れやかに笑う。
「なに二人だけで行こうとしてんだ? こっちも一緒にいくからな?」
「……わ、私達も謝らなきゃ、だし……」
あとから他の二人も滴達の方に駆け寄ってきて、滴達は愛の部屋に皆でいくことになった。
コンコン。
まずは、ドアを叩いてからだ。
硬く聞こえる音に、滴達は思わず背筋を伸ばす。
今更緊張が訪れてきたのだ。
「愛、入っていい?」
そう声をかける。
その時、滴達の緊張を一気にほどくような声が聞こえた。
「滴ー! ご飯はまだなのですか?」
「二日連続で朝飯なしか!?」
滴達は突然聞こえた声に目を剥く。
「……ちょ、ちょと!」
「はぁ?」
「なにやってんだ?」
スノーとアンバーは、ドアにへばりつくようにしている滴たちを不審な目で見つめる。
結果、
「……部屋の前でうるさいんだけど。 入って来ないで!」
滴達は、愛に追い払われてしまった。
滴達は無言で、元凶となったスノーとアンバーを睨む。
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