寝坊
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翌日、顔に当たる暖かな日の光によって、滴は目を覚ました。
太陽の位置から考えると昼間のようだ。朝はとっくに過ぎてしまったよう。
確認のため驚いて時計を見るが、その短針が指しているのも12時。やはり昼間である。
滴は慌てて部屋から飛び出る。
すると、プリちゃんと廊下の角でぶつかった。
「うわわっ!」
「ご、ごめん!」
滴とプリちゃんは尻餅をつく。お互い、朝から廊下を走るからだ。
それからキョトンとお互いを指差し、滴とプリちゃんは声をあげて笑う。
「もしかしてさっきまで布団のなかだった?」
「滴も?」
クスクスと笑い、お互いに手を取り立ち上がる。
「なんだ。私だけじゃなかったんだね、起きられなかったの」
「フフッ。タイミングぴったりだったね、私達」
「本当だ! 起きるタイミングほぼピッタリ!」
お互いが指差したのは、その格好だ。寝癖はピョコピョコとあっちこっちに跳ね、服装は寝間着のままだ。それに加えて、顔もどこが眠そうであるのだから、さっきまで寝ていたのは誰でもわかるほど明白だった。
「じゃあ、滴も朝ごはん食べてないってこと?」
「……そういうことになるね」
「今、お昼ご飯の時間だね」
「……そうだね」
そんなやり取りをし、ふたりは溜め息をつく。今日も朝早く起きてくれたであろう波を思って。朝御飯を食べに来ない二人を、波はどれ程怒っていただろうか。容易に想像できる光景に、二人は両手で目を覆う。
「駄目だね。とりあえず謝りに行かないと」
「……そうだね」
結果的に波と会うのは避けられない。だったらこちらから謝るべきである。
そう結論付けて、滴とプリちゃんは波の部屋に体を向ける。そして、さっき反省したにも関わらず、また二人は駆け出した。
「……ひゃあッ……!」
「うわわっ!」
「……いてっ」
二人はまたさっきと同じ事を繰り返していた……。
──相手は波であった。
滴とプリちゃんは、無言でお互いを見やる。
だって、波の格好も二人とほぼ同じような感じであったから。
「……ご、ごめんね……!」
謝る波を見、二人は唖然とする。
「これってもしかして、全員寝坊?」
滴の視界の端に怒って駆け寄ってくる2匹のウサギが映った。
読んでくださりありがとうございました。
これからちょっとは、こんな感じのフワフワした話が続くかもしれません。




