ただいま!
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何だかんだしながらも、滴達はやっと長い登山を終え、家に着いた。
家に着くと、何故だか家に懐かしさを抱く。何日かしか空けていないのにも関わらず。その何日かが、どれだけ濃い時間だったのかを滴達は改めて感じた。
家は、出てきたときとほぼ変わらない。
「ここがテメェーらの家か?」
アンバーも相変わらず口が悪い。こんなに綺麗なウサギが他人のことをテメェーと言うなんてちょっと所でなく似合わないのだが、滴達は慣れてきたためか誰も気にしない。
「そうだよ」
プリちゃんは、アンバーではなく、家を見上げながら言う。
滴は、やっと無事に帰ってこれたということに感動しながら、家の鍵を開ける。
「ただいま!」
「……ちょ、ちょっと……! 靴は……!?」
靴も片付けずにそれぞれの部屋へと向かう滴達に、困ったような波の声が届く。
部屋のベッドが恋しくて、皆玄関に靴を脱ぎっ放しにしたのだ。
「……もぉ……」
頬をぷっくりと膨らませた波は、泥だらけの靴をチラと見る。
「……わ、私も寝る……!」
結果的に、波も靴を脱ぎっ放しに部屋へと走っていった。
当たり前だが、後に残されたスノー達は挙動不審になった。
このままお邪魔していいのか、山に戻るべきなのか。いや、普通だったら山へ戻るのが当たり前なのだろう。だが、スノー達は家に上がる気が満々だった為、溜め息をつく。
……諦めるしかないか。
そう思ってドアを閉めるに為体当たりをしようとしたとき、プリちゃんが玄関まで走ってくる。
「か、勝手に上がってて良いよ!」
そう言うなり、プリちゃんはまた部屋へと戻っていく。
スノー達は、プリちゃんに感謝しながら家に上がるのだった。
「……家ですね」
家に上がったスノーは、開口一番にそんな感想を漏らす。
「そうだな」
アンバーは、スノーの独り言に応じ、言葉を繋げる。
スノー達も疲れていないわけではない。が、基本的に山を駆け回っているウサギ達であるためか、滴達よりは疲れを感じていなかった。
「……あの方、滴達をどうするつもりなのでしょう」
そんな事をぼんやりと言うスノーを、アンバーは軽く小突く。
「どうするって、どうするかオメェーも知ってんだろ?」
すると、スノーはクスクスとヒゲを震わせながら笑い出す。自分の言葉を馬鹿にするように。
「そうですよね」
小さく呟くスノーに、アンバーは首を傾げる。
「……他に何かすんのか?」
「さぁ? アンバーこそ、他に何か企んでるのでは? 私にはそう見えますが」
どこかとぼけているかのように見えるスノーに、アンバーは不信感を隠せない。だから、とりあえず今は警告だけをする。
「さぁな。だが、あの人には迷惑かけんなよ?」
「もちろん。アンバーこそ気を付けなさい? あの方に迷惑をかけないように」
「……フッ」
どこまでも釣れないスノーに、アンバーは笑うしかなかった。
さすが、××だ。
読んでくださりありがとうございました。
昨日、今日とご迷惑をおかけしまして、誠に申し訳ありませんでした。




