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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第4章 水晶
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「あの人」の秘密

閲覧ありがとうございます。

滴の頭の中に浮かんだのは、ツルピカであった。

けれど、スノーのものは滴達のものと違い、一回り小さい。そして、輝きも滴のものとは比べ物にならないほど美しかった。


「ねぇ!シャドーってなんなの!?」


さっきまでずっと黙り込んでいた紗季が、アンバーに近寄った。元気がなさそうだった顔は、いつの間にか元気そうに輝いている。シャドーみたいに。


「あぁ、シャドーっつーのはな、所謂スノーの首輪だ。スノーの行動全てがあの人に監視されてるっつってもいいぐらいの」


睨むスノーを怖がることもなく、アンバーは簡単に「首輪」と言ってのけた。

スノーが放つものが、殺気に変わったのは言うまでもない。


「……ア・ン・バー? いい加減にしましょうね……?」


滴は、それを見て、アンバーのこの後の運命に祈りを捧げる。

死にませんように、と。

しかし、アンバーの言葉を聞きたかった滴達は、アンバーの話を聞くことをやめない。スノーが教えてくれない以上、アンバーに聞くしかないからだ。

それにしても、またしても出てきた「あの人」。前に聞いたときは、スノーが口にした言葉だった。

いったい誰なのだろう。スノーの時とは違う人物なのだろうか。

聞いたところでわからないだろうが、名前を言わず、代名詞で言われると気になる。


「怒られてるところ悪いんだけどぉ、『あの人』ってだぁれぇ?」


まるで滴の心を読んだかのように、愛がくるりとた可愛らしい目をアンバーに向ける。


「……それは教えられん。あの人との契約だからな」


やっぱりな。

そう滴は思った。

あの人、と言うからには、やはり名前を教えられないのだろう。

だが、ウサギと契約って……。

滴はクスリと笑う。人となら未だしも、ウサギとだ。今までの世界ならそんな事はあり得ない。人と人が契約する中でウサギが関わっていることはあっても、人とウサギが直接契約して約束を守りあうなんて、本当にファンタジーの世界だ。


「ねぇ、聞くけど、スノーが前に言ってた『あの人』も、アンバーがさっき言った『あの人』と同じなの?」


滴が聞くと、スノーはヒッ、と息を飲んだ。


「そ、そんな訳ないでしょ! と、いうか、あの人なんていつ言いました? 言ってませんよね!?」


ああ、同一人物なんだな、と滴達はスノーの言葉を片付ける。

考えてみれば、スノーとアンバーはどこか知り合いのようだったではないか。そう考えれば、契約によって知り合ったのかもしれなかった。

それだけスノーの顔には不安と焦りが見られる。

滴達は、お互いを見つめて頷き合い、爽やかに笑って見せた。


「つまりだけど、シャドーとこれって同じやつだよね? スノーに『あの人』がシャドーを渡したんでしょ? だったら『あの人』のところに連れていってくれるかな?」

「え! いや、それは無理ですっ!」

「馬鹿言え! テメェーら何しにあの方に会いに行くんだ!?」


目に見えて慌てるスノー達に、滴はキョトリとする。


「……? 元の世界に返してもらう為、かな」




読んでくださりありがとうございました。

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