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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第4章 水晶
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裏切りと約束

閲覧ありがとうございます。

しばらく探しても紗季達がいないのを悟ると、滴達はそれぞれ座り込んだ。


「紗季達、まだかなぁ」


プリちゃんがせっかく着いたのに、と呟く。


その時だった。

うさぎさんのみが頂上まで転がってきたのは。


「…………ふぅ、やっと着きました!」


全速力で来たのか、うさぎさんは息を切らしていた。今まで光の背中にいたからか、体力を温存できていたようだ。










「それでは、滴! 取り返してください!!」





「えっ? 紗季達は?」

「二人はぁ?」


滴達は不審そうにうさぎさんを見る。

けれど、うさぎさんは真剣な目そのもので滴を見るだけだ。期待を込めた目で。


「……紗季達と合流するって話だったよね。それからカラスに挑戦するって」


滴の全身から静かな怒りが生まれる。直に触れたら燃えてしまいそうなほどの。

何故って、うさぎさんが紗季達を置いて来たのだから。そして、予定を狂わせて勝手なことを言い出したから。


それを見ていたプリちゃん達もうさぎさんを睨む。滴に負けないくらいの威力で。


「何で二人の居場所を真っ先に教えてくれないの? まずはそこからだよね? 水晶はその後でしょ?」


諭すようにプリちゃんが言う。

うさぎさんは、そんなプリちゃんから怯えたように目をそらした。


「そ、その方が効率的ではないですか」


滴達は言葉に詰まる。

確かに効率を考えると、その方が良いに違いない。けれど、紗季達がいない状態で滴が水晶を取り返そうとしても、紗季達への不安から注意力散漫になり、どこかしらでミスをするに違いなかった。いや、確かにそうきまったわけではないが、失敗する確率は格段に高くなるだろう。


「私は、紗季達がいない状態で取りには行かない。うさぎさんがなんと言っても」


滴の宣言に対し、うさぎさんはムッとしたようだ。


「じゃあ、二人が居さえすれば良いんですね……?」


不貞腐れたようにひげを動かす。


滴達はうさぎさんの案内で光達の元へと向かった。






うさぎさんが立ち止まった場所に行くと、そこにはぐったりとした二人がいた。

光が立ち上がり、滴達に近寄る。


「……紗季が熱を出した。助けてやってくれ」

「……ね、熱…………?」


小さく波は声をあげる。そして続けた。


「わ、私、風邪薬だったら持ってるよ……!」

「本当か?」


そう言った光は、これまでにないくらい嬉しそうな顔だった。

この際何故持っているかは聞かない。


「……うん!」


波が元気よく光に頷く。

読んでくださりありがとうございました。

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