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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第4章 水晶
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迷わせウサギ

閲覧ありがとうございます。


夏に近づいてきましたね。我が家では、夕食に冷やし中華とスイカが登場しました。

紗季の額は手が焼けそうなほど熱い。

光は周りを見渡すが、近くに建物などはやはりなかった。草木が生い茂っているばかりだ。


「大丈夫。歩けるよ!」


紗季は歯を見せて笑っているが、その顔はもう無理、と言っていて、泣きそうな感じだった。


「歩きましょう」


背後の声を聞き取って、光は激しく苛立つ。

紗季が歩けるわけないだろ!


「お前、紗季を見て言っていてんのか?」


光は、後ろに強く鋭い視線を送った。

しかし、うさぎさんは動じない。

返ってくるのは、ただ平坦な感じのする声だった。


「はい」


それを聞いた瞬間、光は鳥肌がたった。

そして気づく。

うさぎさんは水晶さえ帰ってくれば、仲間の事なんて気にもとめないのだ。たとえ、紗季の具合が悪化しても。


光は決めた。

うさぎさんは頼れない。だったら、自分がしっかり紗季を看ると。

どうするのが今の紗季にとってベストなのかはわからない。けれど、出来るだけのことをやると決めたのだ。


「光? いいこと教えてあげましょうか」


は?

いいこと?

突然のうさぎさんの言葉にそう思ったが、光は敢えてうさぎさんには問い掛けない。うさぎさんとは今話したくないのだ。

それより、一時的にここを離れて、建物を探すべきか。それとも、滴達に助けを求めるため、頂上へ行くか。ここにずっといて、紗季を見ているべきか。

雨は強くなるばかりで止みそうにない。


「……聞きたくないの?」


うるさい。

良いことならさっさと言えよ。


「光達は『追放ゲーム』やってるんでしょ?」

「!」


何故知っている?

誰かがうさぎさんに教えたのか?


うさぎさんは光が驚いたように固まると、得意気に目を細めた。


「私、コンピュータが誰か知ってるよ。…………それはね……」


「……やめろ。聞きたくなんかない」


にやりとするうさぎさんとは反対に、光は耳を塞いだ。

読んでくださりありがとうございました。

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