嘘吐き
閲覧ありがとうございます。
ひどく短くなってしまいました。
夜になり、滴達は壁に寄りかかってそれぞれ眠りに着いた。
うさぎさんは、部屋の角で丸まっている。
けれど、そんな小屋で誰かが鞄を漁っているのに滴は気付いた。
「だ、誰?」
泥棒でも入ったのかと思い、寝ぼけた状態でその人影に問いかける。
その時、その人影に月の光が射し込んだ。
紗季であった。
「どうしたの? 眠れない感じ?」
「ううん、そっちこそどうしたの? 眠れないの?」
なぜだか鞄を漁る姿は、どこか寂しげに見えて。
放っておけなかった。
「……な、なーにしてるの? なんでそんな暗い顔してるわけ?」
紗季は滴に笑いかける。
暗い顔してるのはどっちよ……。
確かに、暗い顔をしているかどうかは、こんなに暗くちゃ判断できない。
だけれど、滴にはそれが誤魔化しにしか思えなかった。
「まさか、トイレにいきたいけど、暗くて怖いから一人じゃ行けないとか?」
紗季は、悪戯っ子のようににやりとする。
しかし、滴はそんな紗季になにも言えない。
聞きたいけど、聞いちゃ行けないような気がしたからだ。
「……うん。でも、一人で行くから大丈夫だよ」
本当はトイレに行きたくて起きたのではなく、紗季が動くもの音で起きたのだが、小さな嘘をついて滴はその場を離れた。
トイレに向かい、戻ってくるとき、滴は聞く。
「……皆、嘘ばっかり。本当の自分の気持ち隠……………………。……なんで?…………………………………………の」
ところどころ聞こえない場所はあったが、滴にはそう聞こえた。
誰の言葉かは、判別できなかった。
滴は誰の言葉か気になって、そっと皆が寝ている部屋を覗いたが、全員寝ていて誰かわからなかった。
読んでくださりありがとうございました。




