うさぎ
閲覧ありがとうございます。
滴達は慌てて草むらの方を見る。
その正体は……ウサギである。
ただ、やはり普通のウサギとはちょっと見た目が違う。
そのウサギは雪のように真っ白な毛に桜色の鼻、アクアマリンのような澄んだ青い瞳だった。
その目を見つめていると、気が狂ってしまいそうになるくらい青い。
「あ、ウサギだ!」
紗季がウサギに駆け寄る。
「か……可愛いね……!」
波も紗季に続いてウサギに近づいた。
その時だった。
「……うるさいですね。もう少し静かにできないんですか?」
そう、確かにウサギから聞こえたのだ。
「しゃべったぁ?」
愛が目を丸くする。
「喋って何が悪いのですか? それから、ウサギと呼び捨てにしないでくれます?」
結構気が強いウサギらしい。
「じゃあ、なんて呼んだらいいの?」
プリちゃんが困ったように首をかしげた。
するとウサギはその綺麗な青色を小さく揺らした。
「……ゴホン。うさぎ様、とか……?」
「却下」
見ると、光が豪速球でそう返していた。
まぁ、「様」はないよね。
「ねぇ、うさぎさんでいいんじゃない?」
プリちゃんは面倒臭いといったように溜め息をついている。
「……わかった」
ちょっとうさぎさんが寂しそうに目をそらした。
可愛そうだけど、「様」はない。
「それで、うさぎさんはどうしてここまで来たの?」
紗季がうさぎさんに身を乗り出す。
「えー? 聞きたい?」
うさぎさんは鼻をひくひくと動かす。
「……ふーん、じゃあ聞かない」
紗季が横を向くと、うさぎさんはピョコンとその場で跳び跳ねた。
「……や、やっぱり聞いて!」
そんなうさぎさんを見て、やっぱり可愛いなぁ、と滴達は思うのだった。
読んで下さり、ありがとうございました。
嘘嘘をローファンタジーに登録しました!
ローファンタジーであってるか気になります。ハイファンタジーにはいるかな?
もし、意見がありましたら感想にお願いします。




