キャンプ
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「ほんとだね……」
気づくと滴はそう言っていた。本当に我慢できなかった。この状況に。
「……じゃあ、こんなのおしまいね?」
紗季が鼻をすすりながら笑う。
プリちゃん達にも少し笑顔が戻った気がした。
やはり、紗季には敵わない。彼女には人を笑顔にさせる才能がある。
「んで、なんであんなに静かだったの?」
紗季が波を見る。
「そ、それはね――」
波は昨日の夜の出来事を紗季に伝えた。また、紗季が口にした薬の正体も。
「そ、そうだったの……!」
紗季は驚愕の顔をする。
だが、それは滴達も同じだった。薬の正体が「睡眠薬」だったとは。
「……う、うーん。昨日の夜、アナウンスの人に頼んで分析してもらったんだよ……」
なんと。
ということは、コンピュータの人は紗季を眠らせて、ツルピカを盗む予定だったのだろう。
それしか考えられない。
どうして紗季だけを狙ったのだろうか。
「とりあえずさ、疑うのはやめにしよ? 本当に生き地獄状態じゃ生きてる心地がしないから」
その提案に滴達も賛成する。
「疑わないで、現行犯で捕まえよ?」
「……コンピュータなんかに私達は負けない……!」
「疑ってたって疲れるだけだしな」
「愛だってぇ、皆のことぉ疑いたくないよぉ」
「よっしゃっ! じゃあ、仲直りの記念にキャンプしよっ?」
紗季の言葉に滴の胸が躍る。キャンプなんて久しぶりだ。
「……ここ自体キャンプ場みたいだけどな」
言われてみれば周りは木だらけだし、そうなのだが、テントでも張ればよりそんな雰囲気が出るだろう。
愛やプリちゃんの賛成により、今からキャンプをすることになった。
準備は大変であった。
食料や衣服、テントなどをリュックサックに詰め、キャンプをする場所へと移動する。
滴達は、家から少し離れた場所にテントを張るつもりだ。
ウキウキしながら歩いていくと、テントを張るのに丁度良い場所があった。
「ここにしたらどうだ?」
光がリュックサックを下ろし、テントを広げ始めた。
テントは3つある。
ふたりにつきひとつのテントを使うつもりだ。
ペアは、滴とプリちゃん
紗季と波
愛と光 だ。
愛と光は納得していなかったようだが、キャンプは楽しいものになりそうだ。
「じゃー、早速お弁当食べるぞー!」
お弁当は家で一人一人が作ったものだ。
さっき朝御飯食べたばっかりじゃん、と思うかもしれないが、準備をして、それから家を出てここまで歩いてきたのだから、もう既にお日様は真上にある。
滴達はお弁当を開き、それぞれのお弁当の味を比べる。
愛のお弁当を食べようとする勇者はさすがにいなかったので、愛はかなり落ち込んでいた。
まぁ、仕方がないのだ。今までの料理で色々と知ってしまったのだから。
皆でワイワイと騒ぎ食べていると、草むらの中から何かが飛び出してきた。
朝起きられず、投稿できませんでした……。
読んで下さりありがとうございました。




