光ちゃん
閲覧ありがとうございます。
愛ちゃんと光ちゃんは、特に個性が強い子ですが、嫌わないで欲しいです。
「……チッ」
イライラしてした舌打ちが、今は暗闇の中に吸い込まれていく。
無音。こんなに人を寂しくするものはない。
強がっている心も今はキリキリと痛んでいる。その傷口を無音が抉ってゆくのだ。
いや、無音というと少し語弊があるかもしれない。確かに外の雨の音は聞こえるのだから。
だが、今はそんな雨の音も光の心を遠慮もなく抉る。
なんなんだよ、と心の中で言う。
イライラして仕方がない。
あの時、滴が何かを隠している、そう思った。けれど、それを姫が否定した。
考えてみれば、当たり前のことなのかもしれない。姫は滴を慕っているのだから。
だが、光はそれに対して背を向けたくなる。
なぜ?
自分自身にそう問いかける。
いや、本当は理由なんてわかっているのだ。
小さなコンプレックスが生んだ、大きな穴。まさにそれだ。
別に強がるのは良いと思う。が、しかしである。それでいて性格が悪いのでは、人は離れて行く。
光は自身をそれの典型的な人だと思っていた。
強がって、強がって、人が不快になるようなことを言って。
あのおばさんにもこんな性格を見破られてしまった。
頭の中では理想像が出来上がっているのだ。ポニーテールが頭の中で揺れる。
そう、私の理想像、それは滴だ。
あの子は優しいからかよく作り笑いをする。作り笑いは決して誉められたものではないが、それの多くが場の雰囲気を和ませる為のものであったりする。
なぜ?
光はもう一度自分自身に問いかけた。
優しくしたい。
何故たったそれだけのことが出来ないの?
強がって行くなかで失ったものを光は取り戻したいのだ。
光はそっと立ち上がって窓を開けた。いつもの月の光は、分厚い雨雲に覆われてしまって見られない。
その時風がさっと吹き、光を雨が濡らす。と同時に部屋の床にもそれが降り注ぐ。
まぁ、雨が降っているときに窓は開けるものではない。
光は顔をしかめて、窓を閉めた。
タオルを手に持ち、がしがしと髪に付いた水滴をとる。
服も多少濡れたが、そちらは大したことがなかった。
水滴は以外にもしつこく髪に付いていた。お陰で光のロングヘアーはしっとりしてしまってる。
光が思わずため息をつくと、部屋に光が一瞬だけ入ってきた。本当に一瞬だが。
それを光は確認し、今夜は荒れてるな、と思うのだった。
やっと20話が書き終わりました。長かったです。
え? 1話1話が短い?
そんなこと、知ったこっちゃないよ? とりあえず、私は20話書いたのです。
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これからも書いていきたいと思うので、宜しければ宜しくお願いします。




