占い
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滴達は次にイルカショーを見ることにした。
イルカがいる場所は、魚がいるところから少し離れたところである。
「ちょっと遠いんだね……」
プリちゃんが口を尖らせている。
「で、でもさ、あの変な魚達から逃げられると思ったら良くない? 居心地最悪だったし」
「……それもそうだね」
イルカと言うからにはそのまま普通のイルカなのだろう。
今までの魚は皆変な名前のものばかりだった。
「ニタニタ」とか、「おいしいよ」とか……。ちなみに光が見ていたのは「白骨化」だ。
って、そんな情報要らないし!
「お姉ちゃん達、お久しぶり」
ふと呼び掛けられて横を向くと、何日か前に会ったあのおばさんがいた。
「ひぃ……!」
「あら、怯えなくて良いじゃない。今回も許してあげるから。こんなところで本性出せると思うの?」
滴はブンブンと顔を横に振る。
すると、おばさんはほっとしたように目を細めて、滴達を手招きした。
滴達はおばさんについて行く。
少し歩くと、机1つと椅子2つがポツンとあるのが見えた。まるで学校にある木製の机と椅子のような感じである。
「占ってあげる」
おばさんがニヤリと笑った。
「おばさぁん、占いできぅの?」
愛がおばさんの顔を覗き込む。
「出来なかったら言わないわ」
そう言って、おばさんは愛を占い始める。
「どうですかぁ?」
「……そうねぇ、あなたはもう少し自分を大切にすると良いわ。本当の自分を隠しちゃ駄目よ?」
愛は目を大きくする。
「えぇ? おばあさん、……も、もう、隠してないよぅ」
何故か後半の台詞が消えそうなくらい小さい。本当は愛ってどんな子なのだろうか。
「次」
おばさんは愛の手を話して短くいった。
「じゃあ、私!」
そう言ってプリちゃんが椅子に座る。
「……あなたは願いが強い子ね。見た目によらず、意外だわ。きっと今後はそれが役立つこともありそう。頑張ってね」
おばさんはプリちゃんに笑いかけた。
「ありがとうございます!」
次に座ったのは紗季だ。
「……あなた、日頃からテンションあげすぎよ? あなたの体がそれについていけなくて疲れてるみたい」
滴達はそれを聞いてプッと吹き出した。
だって、自分でテンションあげてるのに、それに体がついていけてないとか、面白すぎでしょ?
紗季は恥ずかしそうに頭を手でかく。
「お、お願いします……!」
波が緊張した面持ちで椅子に座った。
「……あなたは優しい子ね。それを続けてれば、人はあなたを大切にしてくれるわ。これからも続けていってね」
「あ、ありがとうございます!」
波は頬を紅潮させて椅子から立った。
「宜しく」
光がスッと座ると、おばさんはため息をついた。
「……あなたは前の子の真逆。もうちょっと人に優しくしたらどう?」
光はムッとしたように椅子から立ったが、滴達は笑わないように気を付けるので大変だった。
特に愛は。目から涙が出ている。
最後は私だ。
「お願いします」
おばさんは、滴がそういうのと同時に言った。
「……あなたは、皆に大切なことを隠してるでしょ。そう、皆の生死を分けるようなね」
生死、そう聞いた滴達はびくりと肩を震わせた。
一斉に皆が私を見る。その目は確かに怖いものを見る目だった。
……ちょっと待ってよ。私、何にも隠してないよ。
「おばあさん、いくらですか?」
そんな目を振りきるように、私はおばさんに微笑みかけた。上手く笑えていたかは自信がない。
「ううん、今回は料金もなしで良いわよ。ある人に頼まれてやったんだから」
おばさんは滴に微笑み返してくれた。けれど、どこかその笑みが黒かったのは気のせいだろうか……。
「え、良いの!? おばさんありがと!」
紗季がそう言い、滴達はおばさんに手を振ってイルカショーへと向かったのだった。
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