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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第2章 家の外へ
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占い

閲覧ありがとうございます。

滴達は次にイルカショーを見ることにした。

イルカがいる場所は、魚がいるところから少し離れたところである。


「ちょっと遠いんだね……」


プリちゃんが口を尖らせている。


「で、でもさ、あの変な魚達から逃げられると思ったら良くない? 居心地最悪だったし」

「……それもそうだね」


イルカと言うからにはそのまま普通のイルカなのだろう。

今までの魚は皆変な名前のものばかりだった。

「ニタニタ」とか、「おいしいよ」とか……。ちなみに光が見ていたのは「白骨化」だ。


って、そんな情報要らないし!


「お姉ちゃん達、お久しぶり」


ふと呼び掛けられて横を向くと、何日か前に会ったあのおばさんがいた。


「ひぃ……!」

「あら、怯えなくて良いじゃない。今回も許してあげるから。こんなところで本性出せると思うの?」


滴はブンブンと顔を横に振る。

すると、おばさんはほっとしたように目を細めて、滴達を手招きした。

滴達はおばさんについて行く。

少し歩くと、机1つと椅子2つがポツンとあるのが見えた。まるで学校にある木製の机と椅子のような感じである。


「占ってあげる」


おばさんがニヤリと笑った。


「おばさぁん、占いできぅの?」


愛がおばさんの顔を覗き込む。


「出来なかったら言わないわ」


そう言って、おばさんは愛を占い始める。


「どうですかぁ?」

「……そうねぇ、あなたはもう少し自分を大切にすると良いわ。本当の自分を隠しちゃ駄目よ?」


愛は目を大きくする。


「えぇ? おばあさん、……も、もう、隠してないよぅ」


何故か後半の台詞が消えそうなくらい小さい。本当は愛ってどんな子なのだろうか。


「次」


おばさんは愛の手を話して短くいった。


「じゃあ、私!」


そう言ってプリちゃんが椅子に座る。


「……あなたは願いが強い子ね。見た目によらず、意外だわ。きっと今後はそれが役立つこともありそう。頑張ってね」


おばさんはプリちゃんに笑いかけた。


「ありがとうございます!」


次に座ったのは紗季だ。


「……あなた、日頃からテンションあげすぎよ? あなたの体がそれについていけなくて疲れてるみたい」


滴達はそれを聞いてプッと吹き出した。

だって、自分でテンションあげてるのに、それに体がついていけてないとか、面白すぎでしょ?

紗季は恥ずかしそうに頭を手でかく。


「お、お願いします……!」


波が緊張した面持ちで椅子に座った。


「……あなたは優しい子ね。それを続けてれば、人はあなたを大切にしてくれるわ。これからも続けていってね」

「あ、ありがとうございます!」


波は頬を紅潮させて椅子から立った。


「宜しく」


光がスッと座ると、おばさんはため息をついた。


「……あなたは前の子の真逆。もうちょっと人に優しくしたらどう?」


光はムッとしたように椅子から立ったが、滴達は笑わないように気を付けるので大変だった。

特に愛は。目から涙が出ている。


最後は私だ。


「お願いします」


おばさんは、滴がそういうのと同時に言った。


「……あなたは、皆に大切なことを隠してるでしょ。そう、皆の生死を分けるようなね」


生死、そう聞いた滴達はびくりと肩を震わせた。

一斉に皆が私を見る。その目は確かに怖いものを見る目だった。

……ちょっと待ってよ。私、何にも隠してないよ。


「おばあさん、いくらですか?」


そんな目を振りきるように、私はおばさんに微笑みかけた。上手く笑えていたかは自信がない。


「ううん、今回は料金もなしで良いわよ。ある人に頼まれてやったんだから」


おばさんは滴に微笑み返してくれた。けれど、どこかその笑みが黒かったのは気のせいだろうか……。


「え、良いの!? おばさんありがと!」


紗季がそう言い、滴達はおばさんに手を振ってイルカショーへと向かったのだった。

読んで下さりありがとうございました。

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