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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第2章 家の外へ
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水族館

閲覧ありがとうございます。

あの日から何日か過ぎた頃のことだ。

滴達は地図を持って町を観光していた。


「ねぇねぇ、次どこ行くぅ?」

「うーん、……こことかどうかな……あ、でも……」


地図を持った波が小さく唸っている。

要するに、観光と言っても行けるところがないのだ。徒歩で観光するのだから、大変なのは当たり前である。とにかく観光地から観光地までの距離が長い。


「あ! ねえここは? 遠いと思うけど、面白そう」


紗季の目がキラキラと輝く。

紗季が指差しているのは、水族館だった。


「はぁ? 水族館ならここじゃなくても良いだろ?」


光は反対のようだ。


「いいや、水族館には女のロマンがつまってる!」

「え? 女のロマン?」


プリちゃんを含めた紗季以外の子は、不思議そうな顔をする。

それにしても紗季は結構な水族館押しのようだ。水族館の魅力はどうだとか、長々しく説明している。


「……じ、じゃあ、水族館にしよっか?」


あまりの長い説明に飽きてきた私達は、紗季のいう通り水族館に行くことにした。




「ね、ねぇ紗季? これに女のロマンあるの?」


滴は水槽を指差している。


「あ、ある、よ? ……多分」


滴達が行った水族館は、普通ではなかった。

そう、水槽の中にいたのは、有り得ないほど気持ち悪い魚達(?)だったのだ。人ようにニタニタ笑うヤツやさばいた状態のようなヤツ、何故か出っ歯なヤツ……。

女のロマン?

どこにあるんだよ、そんなの!


「き、きっとかわいい魚もいるよ!」


プリちゃん、そんな震えた声で言っても説得力ないよ?


「あれ? 光は?」


そう言えば光が居ない。

滴はキョロキョロと辺りを見回した。


「いたよ……?」


波に言われた方を見ると、以外にも光は水槽に見入っていた。

なに見てるの?、と声をかけようかと思ったが、滴は止めた。

愛がこっそりと光に近づく。


「なぁに、してるのぉ?」


愛が声をかけると、光は小さく跳び跳ねた。


「……いきなり話しかけるなよ」


うわぁ、機嫌悪そー。


「ちょっ、なに見てるのぉ!?」


愛が指差したのは、体が透明で骨と目だけが白く見える魚だった。光がさっきから熱心に見ていた水槽である。


「うるさいな。別に良いだろ!」


光はさっさと歩いていってしまった。

滴達はまだ呆然としている。

まさか、光の好みがああいうのだったとは……。

読んで下さってありがとうございました。

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