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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第2章 家の外へ
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迷子

閲覧ありがとうございます。


その日の夜、それにしても不味かったよねー、とプリちゃんと、滴の部屋で笑い合っていた。


「異物混入してたのかも!」

「絶対そうだって」


あのあと、辛うじてお腹は壊さなかったが、愛と光の喧嘩を止めるのが大変だった。そう、滴が二人を置いてきぼりにしてしまったためである。それについては、滴も反省していた。


「だってあの味は凄いよ?」


滴達の笑い声は絶えることがない。


翌朝、滴達はアナウンスによって目を覚ました。


「おはようございます。昨日は大変楽しくお過ごしになったようですね。羨ましい限りです。そうそう、今日は報告をしに来ました。玄関にドアを、部屋や通路には窓を設置したので、今日は皆でお出掛けされたらどうですか? では、引き続き…」

「──待って」


滴は朝の動かない頭を総動員させて、相手を呼び止めた。一昨日名前を聞くと決めてから、ずっとアナウンスをまっていたのだ。


「あなたの名前を教えて?」


少し威圧感を出しながら低めの声でいう。


「分かりました。でも、あなた達にお教えすることは出来ません。そのうち言うと思うので、それをお待ち下さい」


「……はい」


全くの期待はずれだった。

聞きさえすれば、簡単に教えてくれるものだとおもっていたのだ。


「では、引き続き頑張って下さい」


アナウンスは切れた。


そして朝ごはんの時間、たべながら紗季が外に出ようと提案する。


「いいんじゃないかな?」


滴も賛同した。

ずっと家の中で遊ぶのも嫌なのだ。


「じゃあ、ご飯食べたらすぐ行くよ!」


紗季がニシシと歯を見せて笑った。



「お待たせー!」


荷物を持って玄関に向かうと、滴が最後だった。


「……遅い」


光はお怒りのようだ。

ごめんね、と軽く苦笑いをする。


「んじゃ、早くいこ?」


紗季がドアを開けると、そこには絵にかいたような綺麗な景色が広がっていた。コンクリートやアスファルトの色に慣れた私達現代人にとって、その景色はあまりに美しく見えたのだ。

外は全く舗装されていず、ただ大きな木々と青い空があった。空は向こうの世界よりも明るく青い。


「行こう……!」


ちょっと嬉しそうに波が言う。


「うん」


返事をして、滴達は歩き出す。


しばらく歩いて、プリちゃんが声をあげた。

もうなんだかんだ言って3時間も歩いている。


「ねぇ、ごめん。ちょっと休も?」

「さ、賛成!」


近くにあった大きな岩の近くで足を休める。


「……なぁ、来たは良いけどちゃんと戻れるのか? 地図もないし、他の人も見当たらなくちゃヤバイんじゃないのか?」


光は他の子とは違い、疲れた様子もなく言う。

どこか運動部に入っていたのだろうか。


「さ、探してればなんとかなるさ!」


紗季、そんな言い方したら迷子になったって決定じゃん。まぁ、もう迷子になってるってわかってるけど。

滴は小さくため息をつく。

本当に帰れるのかなぁ……。


小説の主人公達は、このまま歩いて夕方に町を見つけていた。このまま歩いていれば、どうにかなるのだろうか。


「とりあえず歩こう? 町とか見つかるかもしれないし」


小説通りに事が進むとは限らない。けれど、引き返すことももうできない滴達は、進んでいくしかないのだ。

読んで下さってありがとうございます。

今回6人は迷子になってしまいました。そりぁあ、地図も持たずに歩き出したら当たり前です。

今後も宜しければ応援宜しくお願いします!

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