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新しいデザート☆その名は・・・プリン! ~中編~

すごい、本当にすごいです。


「今の魔法はどうやったのですか」

「ああっと、待った、セリアテス様」


そう言って料理長が先ほどの部屋の方に行きました。戻ってきた時には手に布を持っていました。

それを私に差し出しました。


「これで髪を隠してください。その髪は目立つから外から覗かれたらわかってしまうだろう」


確かにそうです。渡された布で髪を包むようにしました。


「それにしても、なんてお嬢様だよ。身代わりを作って抜け出すなんて」


そういうと、料理長は盛大に笑い出しました。他の料理人もつられて笑い出しました。


「いやー、いいな、その発想。俺も子供の時に知っていればやったのに」

「やってどうすんだよ」

「あー、病気のふりしてベッドに寝て、こっそり抜け出して遊ぶに決まってんだろ」

「いいな、それ。俺も今度やってみるか」

「おい。まさか、仕事をさぼって遊ぶ気か」

「ち、違いますよ。そんなことしません」


などと、ワアワア、騒いでいます。料理長が笑いを収めて時計を見て火を止めさせました。


「それで、こちらの保存用はどうすればいいですか」

「あっ、ざるにあげて水分をきってください」


私の言葉にみなさんが動いていきます。他の方はバットを用意して砂糖を入れています。もちろん空のバッドも用意されました。

そして、煮上がったリンゴを砂糖の中に入れてまぶし、空のバッドに並べていきます。

料理長はそれを見ながら私に聞いてきました。


「こんな感じでいいですか」

「そうですね。いいと思います」

「あとは乾かすか。お前たち出来るな」

「出来まっス」

「では、こちらは奴らに任せて、ちょっとそちらに」


料理長が私を別の台の方に誘いました。


「さき程気になることをいってましたよね」

「なんのことでしょうか」

「王宮で食べた料理のことを「塩味ばっかりで工夫が足りない」といいましたよね。ということはあと一工夫で美味しくなるということですよね」


うっ、なんか鋭いです。確かにおもいましたもの。ソースがあればと。

うちで昼食会の時に出たものにはソースがついていたし・・・?!


「あれ?」

「どうかしましたか」

「あの、うちにアルンスト家とルートガー家が来た日の昼食会。えーと、私がうちに戻ってからの・・・」

「ああ、リチャード様達が朝早く来た日ですね」

「そうです。その日の前菜。あれについていたソースは何で作ったのですか」

「ソース?ああ、野菜につけるようにしたあれか。・・・これですよ」


料理長は瓶を出してきました。中にはやはりアンチョビのような魚が入っています。


「塩漬けにした魚を油の中に入れて保存したものだな」

「オイルサーディンですか」

「そんな、名前じゃなかったぞ」

「・・・そうですか。すみません」

「いやいや、謝らないでください。セリアテス様。で、これが何か?」

「えーと、王宮でも同じような茹でた野菜がでたのですが、うちで食べたように野菜につけるソースがあれば良かったなと思ったのです」

「・・・ほう。ソースというのか」

「えっ?わかっていたから用意したのではないのですか」

「・・・違うな。前にいたところでこれを使って味付けをしていたのを思い出して、何となく作って見ただけだ」

「それの方がすごい気がします」

「では、セリアテス様ならどのようなソースを作りますか」


あれは茹でた野菜だからマヨネーズが会いますよね。


「わたしなら・・・マヨネーズを作ります」

「マヨネーズですか?それはどういったものですか」

「えーと、確か卵の黄身に酢を入れて混ぜ、そのあと少しずつ油を入れます。白く乳化したら出来上がりです。味は塩とコショウで味を調えた・・・でいいと思います」

「ほう。それだけで作れるのですか」

「はい。泡だて器があると作りやすいのですが」

「泡だて器?それのことですか」


私達の会話を聞いていた料理人の方がそれを持ってきてくれました。


「泡だて器はあったのですね」

「・・・それで、卵の黄身だけを使うのでしたね」


料理長はボールに黄身と白身を分けて入れて行きます。5個卵を割ったところで、手を止めました。


「酢と言いましたがこれでいいですか」


渡されたものは、ワインビネガーでした。多分作れないことはないと思いますが、ワインの香りのマヨネーズ?でも、お酢ですよね。いいのかな。


悩んでいたら逆にきかれました。


「これが駄目ならレモンの果汁はどうだ」

「あっ!」


そうです。レモンの果汁。それを入れて作ったものを知っています。


「いいえ。それなら、両方作ってみませんか」

「両方ですか?いいでしょう」


料理長は若い料理人を呼ぶと、ボールと泡だて器、卵を用意させて、同じように黄身だけを入れさせました。


「それで、分量はわかりますか」

「確か、卵黄1個にお酢が大さじ1杯で、サラダオイルが150CCで、塩が小さじ1杯だったかな」

「大さじ、小さじ?CC?」

「あっ、そうか。計量スプーンやカップがないのでしたよね。どうしましょう」

「計量スプーン?酢を量るのに必要なのか」

「そうなのです。うーん・・・」

「とりあえず、これとこれでいいか。それからカップはどれくらいのものがいいんだ」


料理長が大きいスプーンと小さいスプーン、それからコップをいくつか並べてくれました。


「・・・そうですね。これと、これで。カップはこれくらいがいいですかね」

「じゃあ、カップはこれを2つだな。ところでサラダオイルとはなんだ」

「あっ(またやっちゃいました。代用品を聞かなくては)油には種類はありますか」

「ああ、木の実から採ったやつと草の種から採ったものが2種類ずつあるぞ」

「では、香りがあまりしなくて色が薄いものを」

「じゃあ、こいつだな」


料理長が油が入った瓶を置きました。これは薄い黄色で彼女がよく使っていたものに似ています。


この後は、ワインビネガーとレモン果汁を、それぞれ大きいスプーンで5杯量り入れ、塩も小さいスプーンで5回入れて(もちろんすりきりにしてもらいました)泡だて器でひたすら混ぜてもらいます。白っぽくなったので、泡だて器で塩がざらざら当たらないのを確認します。


さっきのコップに3分の1くらいまで油を入れてもらいます。それを少しずつボールに入れて混ぜて貰います。1杯目を入れ終わり、油を同じくらいをカップに入れもらって、また混ぜてもらい・・・。5杯の油が卵と混ざりました。きれいに白くなってます。


スプーンにすくって渡してくれました。恐る恐る少し口の中に入れます。

ああ、これです。マヨネーズ。この味です。

ワインビネガーもレモンのも、それぞれの味がしますがそれほど気になりません。


「どうですか、セリアテス様」

「はい。この味です」


それを聞いて料理長と作った彼が味見をしました。私の様子を見ていたからか、少しだけです。


「おい。そのアスパラ、茹でたのを持ってこい」


料理長の指示に料理人が持ってきました。そのアスパラを5センチくらいのそぎ切りに・・・。そうなのです。アスパラも大きいです。直径3センチのアスパラって・・・。

いや、もう、いいです。気にするのはやめます。美味しいなら大きくたって構いません。


「セリアテス様、これをどうぞ」


料理長が小皿に切ったアスパラにマヨネーズをつけたものとフォークを渡してくれました。

フォークにアスパラを刺して食べました。

う~ん!美味しいです。アスパラの甘味が引き立ちます。


「お前たちも食べてみろ」


料理人たちが作業を止めてアスパラとマヨネーズを食べていきます。


「うん、うまい」

「癖になる味だな」

「料理長、他に何が合うとおもいますか」


また、ワイワイ騒ぎだしました。


「ニンジンとこのアスパラにサトウエンドウがあったよな。それを茹でてくれ」

「了解しやっした」


料理人さん達のやり取りをなんとなくボーと見ます。

というか、しょっぱいもの?を食べたので甘いものが食べたくなりました。

そういえば、卵と牛乳であれが作れたな~。

甘くて黄色くて口どけのいい・・・。


「プリン」


はぁ~、思い出したら食べてみたいな。茶色いカラメルの苦甘い味が滑らかなプリンと合わさって・・・。


「セリアテス様、プリンとは何ですか」


えっ、声に出してました。

慌てて口を押えましたが・・・ニッコリと笑顔で私を見ている料理長と目が合いました。

ですが、目が笑ってないです。そのギラギラした目はなんですか。


「もしよければ教えていただけませんか」


恐るべし、食に関する知識欲。だから、料理人になったんですよね。


「でも、これ以上はお手を煩わせるわけには・・・」

「手を煩わせるかどうかは聞いてみないとわからないな。教えていただけますよね」


だ・か・ら。笑ってないです目が!ニッコリが怖いです。


「えーと、プリンというのはお菓子です。卵と牛乳と砂糖で作ります」

「その3つだけで出来るのですか」

「はい。卵の液を作って耐熱カップに流して、オーブンで焼くか蒸し器で蒸します」

「耐熱カップ? 火に直接入れるなら、ここら辺のか。蒸し器って、おい、倉庫から蒸し器を持ってきてくれ」

「えっ、蒸し器ってあるんですか」

「ああ。南のほうの国で使われてるものなんだが、使い方がよく判らなくて使ってなかったんだ。ああ、これだよ」


運び込まれたのは中華まんを蒸かすのに使われる竹?で編んである籠です。蓋もついてました。


「使い方がわかるのでしたら教えていただけませんか」

「これは・・・鍋にお湯を沸かして、その上にこの籠を置いて中に野菜などを入れて蒸すんです」

「その蒸すっていうのがわからないのだが、茹でるのとは違うんだよな」

「はい。お湯を沸かすと水は水蒸気になります。その蒸気の力で中にいれた物を蒸しあげます」


判らないのか首をひねっています。

ああ、もう、見せた方が早いです。


「すみません。人参はもう茹でてますか」

「いえ、まだです」

「では、茹でるのを待ってください。蒸したいと思うので」

「はあ~、わかりました」


私はそばにいる若い料理人(マヨネーズを作った人です)に指示を出します。


「この籠を載せられるくらいの鍋を用意してください」

「・・・こちらでどうですか」


籠を載せて貰いよさそうなので、鍋に水を入れて火にかけてもらいます。

籠の中にニンジンを並べようとしたら・・・やらせてくれません。

お湯が沸いたので、籠を載せて貰い、蓋を渡そうと持ち上げようとしたら・・・重いです。持ちあがりません。7歳の私には重すぎます。料理人さんが笑いながら持ち上げて籠の上にのせました。


「これで、15分から20分で蒸し上がります」

「茹でた方が早くないですが」

「蒸した方が甘くなりますよ」

「本当か」


その言葉に料理長が反応しました。って、あれ、今まで料理長は・・・。

声がした方をみたら、卵に牛乳、砂糖と量り、それから耐熱容器?のカップが何個か置いてあります。

作る気満々です。


仕方がないから教えましたともさ。卵と牛乳と砂糖を合わせて卵の液を作ってもらいます。

分量がわからないから大体です。


それをしている間にニンジンが茹で上りました。

これを切って、茹でたニンジン(比べるためにいつもの茹で方をしたものを用意してもらいました)と食べ比べです。


「味がこんなにも違うのか」

「茹でた方が味が薄いよな」


うん。わかってくれたようです。

鍋の水の量を見て、もう少し水を入れて貰います。もう一度沸騰したら、いよいよプリンを蒸します。


「何分くらいですか」

「う~ん。10分から12分くらいですね」


鼻歌交じりに蒸し器を見ていて、何か忘れている気がします。

えーと、黄色いプリンに茶色の・・・。


「カラメルソース!」

「はっ?カラメルソース」


私はワタワタと慌てながら説明します。


「プリンにかけるソースなんです。砂糖と水で作るんですけど、カップに先に入れて・・・。あっ、後からでもいいのでした」

「それで、砂糖と水でどうするんですか」

「鍋に入れて火にかけるだけです。茶色くなったら出来上がりです」



まずは神殿編ででたマヨネーズを作りました。


プリンは・・・危ない。

カラメルも作らなくては!

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