アラクラーダの神子の真実
アラクラーダの神子について
・カメリク・エンテールの手記
私の名前はカメリク・エンテールといいます。
この手記を読んでいるということは、あなたも転生者ですね。
アラクラーダの神子ではないかと言われていることと思います。
すみません。ご迷惑をお掛けしてしまいました。
何故こんなことになってしまっているのか、お伝えするために手記を残しました。
私の生まれた時代はまだ、各国は小さく分かれていました。
中国の三国志や、日本の戦国時代といえばお分かりいただけるでしょうか?
そうなんです。争いの絶えない時代でした。
私はその中でも小国の一領主の娘として、生まれました。
私は生まれた時から前世の記憶がありました。
おかげで、何もない生活が生きにくくて、生きにくくて。
何とかしようとしていろいろやらかしました。
この紙も私が伝えたものです。
だって、信じられます?
羊皮紙や木の板に文字を書いてるんですよ。
場所はとるし、書きにくいし、良いことないのですもの。
おかげで、この地方の小国の中では一歩抜きんでることができました。
あと、あれですね。
魔石の使い方。
この世界の人は、今まで魔力を持った石があることはわかっていたけど、その使い方も使い道も知らなかったのよね。
それを偶然にも・・・いえ、嘘を書いてもしかたないですね。
はい、ご想像の通りにゲーム知識の転用です。
魔石の色で何系かはわかるので、あとは力を引き出して制御する方法を見つけるだけでした。
それが、何故か女神の神子扱いになってしまいました。
あ、すみません。これも嘘ですね。
私は女神の名前を活用しました。
女神のお告げで紙の作り方と魔石の使い方がわかったということにしたんです。
おかげでアラクラーダの神子となってしまいました。
本当は女神の名前はアラクラーダではなかったのです。
この世界では女神の名前はいくつかあり、統一されてはいませんでした。
ですが、私が告げた名前がこの世界で統一された、女神の名前となりました。
もう、お分かりかとおもいますが、私が告げた名前は前世の名前です。
新木蘭子といいました。
それがこちらの世界で言いやすい言い方になったのがアラクラーダです。
まあ、簡単に書きましたが、これ以上いろいろやらかしたことを書いても仕方がないので省きます。
なので、私がアラクラーダの神子としての功績は、紙の作り方を伝えたことですね。
魔石のことはおまけかな。
あなたもこれを読んでいるということはいろいろやらかしてることでしょう。
ですが、それでこの世界の文明が進んでいくと思えば、悪いことではないと思います。
ただ、出来ることなら、あの世界の銃火器を、この世界に持ち込まないでください。
あの、悲惨な戦争をこの世界で起こしたくありません。
その代わりといっては何ですが、この世界には魔法があります。
魔法も使い方を間違えれば、大きな災害となります。
ですが、転生者の私達は魔法の便利さも怖さも分かっていますよね。
より良い方法を見つけてください。
お願いばかりですみません。
あなたが生きている時代は今より住みやすくなっていると良いのですが。
それから、このあと、次のアラクラーダの神子の手記が続きます。
彼の話も聞いてあげてください。
・ゲラント・ポシュナーの手記
カメリク様より手記を引き継ぎました、ゲラント・ポシュナーと申します。
私はカメリク様より20年ほど後に生まれました。
幸いにもカメリク様がおられた国の、隣の国に生まれることが出来ました。
今の私はその幸運にとても感謝しております。
私はカメリク様のように、生まれた時から前世の記憶を持っていたわけではありません。
あれは5歳の時です。近所の子供達と木登りをして遊んでいて、飛び降りた時に上手く着地できずに、転んで頭を打ち付けました。
そして、思い出したのです。前世のことを。
幼い私はわけのわからない記憶に混乱し、周りの大人に訴えましたが、分かってくれる人はいませんでした。
それどころか、たいそう気味悪がられ、周りから差別を受けるようになりました。
親も守ってくれるどころか、自分を山に捨てる有様です。
7歳になっていた私は、獣に襲われたりもしましたが、幸いにも山を越え、保護してもらうことが出来ました。
そして、驚きました。
紙があることに。
保護してくれた村人に紙のことを訊いたりしていましたら、村長に話がいき、そこからカメリク様にまで、私のことが伝わりました。
興味を持たれたカメリク様とお会いすることが出来ました。
私と話しをしたカメリク様は私を引き取ってくれました。
それから、時々前世の話などをしながら、数年を過ごしました。
相変わらず各国は争いが続いていました。
私が身を寄せたこの国も何度か隣国と戦うことがありました。
私が10歳になった時、カメリク様が魔石の制御の方法を発見しました。
それからです。あっという間に、諸国が膝を屈したのです。
カメリク様は周辺諸国に無理強いをしたわけではありません。
周りが認めたのです。女神アラクラーダのお告げを伝える神子であると。
私が15歳になった時、鉱山で黒鉛を発見しました。
私は前世で鉛筆を作る会社に勤めていました。
それも作る側です。
数度の試行錯誤の末、鉛筆が出来上がりました。
それよりも消しゴムの方が開発に苦労しました。
わたしには心残りがあります。
万年筆などのペン先の開発やインクの改良は出来ましたが、ボールペンを作ることが出来なかったことです。
もしくは、カートリッジタイプにしてインクをつけながら書かなくてもいい物を作りたかったです。
それには、ポリやプラなどが必要になりますが、この世界では発明されるまで、まだ、時間がかかるでしょう。
どうか、この夢を叶えてくれる方がいらっしゃることを願います。
まずは、アラクラーダの神子 2人分の手記です。
アラクラーダ様の神子は他にも何人かいます。
他の人の手記はまた、後日書きたいと思います。
補足を!
本文に書きそびれましたが、書いてある文字は日本語です。
もちろん、漢字、ひらがな、カタカナが混在してます。
なので、転生者しか読めません。
本編ででた聖別とはこの手記が読めるか読めないかのことです。