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第1話

キラキラ輝く太陽の下。今日から新しい春が始まる。

私の名前は『早川(はやかわ) (あずさ)』今日から高校1年生になる。

今日から新学期。双子の兄の(みやび)と一緒に家を出たのだけれども。


(あずさ)、遅刻しちゃうよ。早くしてよ。」


「ちょっと待ってよ」


ちょっと道端の猫に気を取られているうちに、雅は長い足でスタスタと歩いて行ってしまう。


せっかくの新学期、兄妹そろって学校に行きたい。しかもこれから通う学校は、普通の学校ではないのだから。置いていかれないよう、駆け足で雅を追いかける。


「はぁ、追いついた。早いよ」


「置いていかれたくないなら、ちゃんと歩いてよ」


そういいつつも、私を待ってくれる雅はいい双子の兄だ。つくづく魔力が私たち両方にあってよかったと思う。これから通う学校は魔力がなければ入学許可が下りないのだ。雅がいない学校生活なんて考えられない。


「どんなところなんだろうね。『有魔山(ありまざん)学園』」


「外部には一切情報が出てないからな。怪しすぎるよ。」


「でも、学園を卒業した卒業生たちは立派な魔法師(まほうし)として世界で活躍してるんだよ。わくわくするね。」


「まーな。日本で、魔法師になるには、この学園を卒業するのが一番の近道だからな。梓は魔法師になりたいんだもんな。頑張れよ。」


「うん!」


私の胸は道の世界へ飛び込む緊張と不安で胸がドキドキしている。私は、父の影響で魔法師に憧れている。父は魔法師の中でも警備を担当する魔法警備隊に所属する魔法師だ。魔法師にもいろんな働き方があって、便利な魔法は世界の中になくてはならない存在になっている。ただし、魔法を使える人間は全人口の1/100ほどだ。魔力を蓄える臓器が体にないと、魔力は拡散して逃げてしまい、自分の意志で魔法を使うことは出来ないのだ。


「雅は魔法師にはならないの?」


「さあな。まだ決めてないよ。」


「そっか。まだ高校生だもんね。これから目標が見つかるよ。」


たわいもない話をしながら、学校へ向かう。雅からは特に魔法師になりたい話は聞いていない。魔法師になりたくなくても、魔力が扱える人間はこの学校に強制的に通わなくてはいけない。それは、魔力の制御の問題だったり、出来るだけ魔力を扱える人間は魔法師になってほしいという政府の思惑だったりするのものが働いているらしい。


桜の木が咲き乱れる山道を進んでいくと、開けた広場にあたる。広場には四方におよそ3メートルほどの石でできた柱が立っている。


「ここか、一番近いポータルは。」


「ここが、ポータル?石以外には何もないね。」


私は石の柱を調べてみるが、特に何かが彫ってあるわけでもなく、本当にただの石の柱のようだ。


「梓、こっち来て。」


雅は四方の石のちょうど対角線でぶつかる真ん中に立っている。


「ほら、これ持ってね」


雅に近づいた私に、雅は一枚の紙を渡す。


「あ、これ入学許可証だ。」


「そうだよ。いっせーのせで、これ破るから。雅も自分の破ってね。」


「えっ!」


「いっせーのせ!」


雅が合図に合わせて、入学許可証を破ると強い大きな光があたりをおおい、まぶしくて私は目をつぶった。日の裏に焼き付いた光が収まったかなと思い目を開ける。


「あれ、雅?」


雅がいなくなっていた。


「あぁ。私もこれ破らないといけなかったのかな」


雅がいなくなって急に不安になる。え、でもこれ破るだけで本当にいいのかな。雅なんか呪文とか言ってたかな。全然思い出せない。一度破ってしまったらやり直しきかないかもしれない。


不安になり立ちつくす。ほんとに私、雅がいないとなんも出来ないなぁ。


「ねえ、ちょっと。行かないならそこどいてくれない?」


声がして振り向くと、私より少し身長の低い男の子がネコ目の目でこちらを睨んでいた。


「行くもん」


「あっそ、なら早くしてよ。」


「ふん」


男の子にせかされるように、私は自分の手にある入学許可証を見る。うーん、特にここをやぶれっていうマークがついているわけじゃないし、ほんとにただ破ればいいだけなのかな?


私は思い切って、目をつぶる。3・2・1で破ろう。


3


2


1



…あれ?別にまぶしくない。

そのまま目を開けてみると、先ほど目を閉じた時と同じ風景だった。


「あれ、なんで?」


「俺のほうが聞きたいよ、あんた何やってるの?」


「何って…。破ってみた」


「だーかーら。破るときに魔力流さないで何やってるのさって話。」


え、魔力を流すって何だろう。特に私も雅も意識をして魔力を流したことなんてない。魔力を使えることは体の中の魔力値測定をしたときに分かっているし、魔力の扱いは学校で教えてもらえると思っていた。


「魔法師も人間も通常の状態だと魔力は流れている状態なの。なのに今は君、意識的に魔力を流していない状態なわけ。」


えっ。特に意識して魔力を流していない訳じゃない。


「わかんない…。」


私はわかんなくなって、涙がこぼれてしまった。意識して流していないわけではない。全然理由が分からない。さっきの雅の合図でちゃんと破れていたら、何か違ったのかな。


「あぁ、もう泣くなよ。」


涙の向うで、男の子の声が聞こえる。そうだよね、いつまでもこの場所にいたら迷惑だよね。


「ごめんね。」


そういって、場所を譲ろうとすると、男の子がぐいっと手を引いて私を元の真ん中の場所に戻した。


「あぁ、もう新入生だよな。後で恨むなよ。」


そういって、手をぐいっと引っ張られると、自然と私の体は男の子のほうへ向かい、ぎゅっと顔が近づく。


(チュ)


あれ、今のって。

キス!!!!キスされた!!!!


「雅ー!」


「なんでキスされて他の男の名前呼ぶんだよ!」


男の声が聞こえるが今はそれどころじゃない。あれ、心臓がドクドク言ってるのが聞こえる。体が熱い。全身がボォっと発熱してるのが分かる。


「え、ちょっと何したの?」


「ほら、破れよ」


「えっ」


「ほんとノロマだな。入学許可証破れって」


そういって彼は私の破れた入学許可証を二つ重ねて私に渡してくる。どうしよう。とりあえず私は破れた私の入学許可証を受け取り、彼を見る。

彼は私と目が合ったら軽くうなずいてくれた。よし。

心を決めて目を閉じ入学許可証を破ると、目の裏に光がうつる。やった成功だ。


しばらくし、光が落ち着いた後目を開くと先ほどとは違う世界が広がっていた。

目の前には大きく城のような壮大な建物群が広がり、緑豊かな山の中の植物は普段見ている植物より2倍ほど大きく感じる。そして何より、雅がいた。


「雅ー」


泣きながら雅のほうに駆け寄ると、雅は不思議そうな顔をした。


「梓、ずいぶん遅かったな。また猫でもいたか。」


「猫じゃないよ。破ってもこれなかったの。もう説明してよ。」


そうだ、雅は知っているはずだ。私が来れなかった理由。だって入学許可証を破ったら来れることを知っていたのは雅なのだから。


「説明って。入学許可証と一緒に入ってた案内文に書いてあったじゃん。ポータルで破ればこれますよって。」


「え、でも私…」


破ってもこれなかったし、でもあの人にキスされたら来れた。どういうことなんだろう。思い出すと顔が火照ってしまう。だ、だって…ファーストキス。


「あれ、梓、顔赤いけど?」


「な、なんでもない」


ずっと一緒にいた双子の雅にも知られたくない。異性の双子だけどいままで隠し事なんてしたことなかった。


双子の中での初めての隠し事ができてしまった。

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