ヴラドへの考察
視点 クロ 所属 毛利家
地域 鳥籠城
疲れた
今、いえるのはその一言だけだろう
なんだかんだで、話していたが、その魔力はただただ恐ろしい
味方になってくれたのはいいが、今後どうすべきか話し合っておかないといけないだろう
ヴラドに関して言えば、持っている魔力に対して完全に練度が不足している。
魔力に対してしっかりとした練度を持っていれば、あれほど恐れられることはない
練度の高い武人や妖怪憑きはしっかりと魔力を抑える力を持っており、練度によってはその辺にいる凡人と同じくらいの魔力しか感じ取らせないようにすることもできる。
特殊な術を体に組み込めば、魔力の吸収を強制的に抑え込むことで外へ出る魔力を減らすことが可能だが、それだと回復が遅くなるために完全に回復するまではそれは無理だろう
だが、ヴラドの世話をどうするかが今後の問題だろう
毛利家の商業派には、武人は堀立のみで、凡人をあの部屋に行かせるのはダメだろう
「シャム」
隣を歩いているシャムに話しかける
「なんですかwww。」
いまだあのこけたことを笑っているよこいつ
こけたことに関しては、あの恐ろしさから解放されて気を抜いていたからであり、私はドジではない
少し思い出して、自分にダメージを負っている間に、シャムが話し始める
「あの穴、しっかりと直しておいてくださいね。」
そうしたいのは、やまやまなのだが
「それに関してなんだが、すまないのだが、仕事があるから修理とか頼んでいい。」
少なくとも同じ存在3人の中で一番負担が少ないであろうシャムへの願い
「ええ、めんど…じゃなくて、私だって仕事があるのですよ。」
本音が漏れていますよ。シャムさん
「それはわかっているが、一応、城の中にいるなら誰かに頼んどいてくれよ。」
私の担当は外に出ないといけないので、ついでにめんどくさいので任せたい
「わかりましたよ。」
仕事を押し付けられてよかった
「隆元様に頼めばやってもらえるかな。」
つっこみまちだろうと思われるシャムのつぶやき
「隆元様に頼むな、その辺に暇そうなやつに頼めよ。」
シャムは隆元様を尊敬しているのか適当に扱っているのか私にはよくわからん
「それだと私くらいしか選択肢にないんだよな。」
大丈夫なのかこの国は、かなり忙しい時期にあるはずなのに商業派では階級最上級の人と幹部が暇とかダメだろそれは
「隆元様が城下とかで出歩いているっていうのは聞いていたが、シャムは何で暇なのか」
率直な疑問
「暇ってわけではないのですよ。ほかの子たちは、試作の魔術の実験の準備してるんだけどさ…ね…さ。」
何が言いたいんだよ。必死に言い訳をしようとしているのはわかるが
「まあ、何でもいいや、あの穴だけは頼む。」
仕事が減ったから、いいだろう
「穴ってなんか卑猥だよね。」
「知らねーよ。」
唐突すぎる。思春期か、てめーは
「てか、そんな話をしたかったのですか」
…めっちゃ、脱線してますね
「ああ、言いたいことは、ヴラドを…、逃げるな」
来た道を逆走し始めるシャムの襟を後ろからつかみ捕まえる
「あなたみたいに誰かあの穴に落ちたら大変じゃないですか、すぐにでも直しに行かないと」
「だったら、ついでにヴラドの世話とかも頼むは。隆元様には私からしっかりと報告しておくから」
めんどくさいので、仕事を押し付けつつ
目の前に半径40センチほどの真っ暗な穴をあける。
私の魔道具、名前は泥沼
その能力は、目の前にある真っ暗な穴と設置してある離れた穴を瞬間的に移動できる能力
城の地下に存在する移動陣と能力とか原理はほとんど同じだが、少量の魔力で操作ができ、陣となるものの設置が簡単、私の持っている能力からすればかなり強力なものだが、多くの制約をつけることによって私にも扱いやすくなっている
私はその真っ暗な穴に足を入れると底なし沼の様に穴に私の体が呑み込まれていく。
「えっ、ちょ、待って…」
シャムから私を呼び止めるような声が聞こえたが、耳まで穴に沈み込んでしまうと何も聞こえなくなる。
一応、魔道具の能力について説明をしておくと、真っ暗な穴と穴をつなぐ空間移動能力を持っているのだが、前に言った通り、制約がある
出口は2つのみ、一度、陣と同じようにその地点に設置しなければならない
入口は1つのみ、私を中心に4メートルほど範囲に数秒ほどで設置が可能
移動できるものはその魔道具の保有者と少々の装備品のみ
移動するためには繊細な魔力操作が必要であるため、戦闘中には使用は現在の私の能力では不可能
移動は瞬間的に移動するのではなく、少々の時間差が存在する
その5つ
どの魔道具にも言えることだが、保有しているだけでも魔力を消費されていく
くわえて、一度魔道具を作ってしまうと消すことができないため、使わないのに魔力だけを消費するという状況になりえる
だが、私の泥沼の魔力消費は、制約をつけていても同じ魔力の総量を持っているシャムとトラよりかなり多い
総評としては、強力なのだが私の身の丈にはあっていない
一応のついでになってしまうが、泥沼という魔道具の名は隆元様に着けてもらった名前
何というべきか適当
ただ、見た目が沼のようだからその名をつけたようだが……
お世辞にもいいとは言えないが、もらった名前であるからそれなりに気に入っている
そして、畳敷きの床に着地
足元には砕けた木の破片
忘れていた
この木の破片は、客間の前の廊下の穴を埋めていた木材
さっき、シャムをはめた穴を作ったのは魔道具の泥沼なのだ、つくる場所が少し下にすることで、その床板の木材を吸い込み飛ばすという事ができるのである
吸い込めるとっても硬すぎるものは無理で、力の限界は木の板ぐらいだろう
足にとげが刺さって痛い
ここは隆元様の部屋
当主の部屋となるわけで、ヴラドのいた客間より大きいはずなのだがところどころ積み上げられた書物やら書類やらのせいであまり広く感じない
その部屋の主である隆元様を探すが、部屋の中に姿は見えない
どこに行ってしまったのか、ふむ
障子をあけ外に出ると、トラの後姿、自分の部屋の方と歩いているのだろう
「トラ~、隆元様知らない?」
後ろからそっと近づき話しかける
ビクッとなって、ちょっと驚く
「なんだよ、いきなり」
トラの素の口調
反応が薄い
隆元様ならもっといい反応を見せてくれるのだが、残念だ
「いや、昨日運び込まれた妖怪憑きについてだ、聞いているよな」
たぶん、報告位はしているだろう
あれだけ遅くなった理由がなければ、怒られてしまうから
「ああ、聞いているが、隆元様はいつもどおりといっていたのなら、報告はいらんぞ。」
隆元様は、助けてきた妖怪憑きを全く干渉しないということはよく知っている。
実際、面倒だから逃げただけなのだろうが
「わかっているが、あれだけ傷を負っていたのだからしっかりと治ったことぐらい報告しておこうかなと思って」
という言い訳
「そう、一応、私から報告しとくは」
納得してくれたようでよかった
「それで隆元様どこ行ったの?」
この時間なら仕事が終わって部屋で本を読んでいるか、縁側でお茶でもしている時間帯なのだが
「限定のお菓子がほしいからと仕事終わってすぐ出ていきましたよ。」
トラはその言葉ののち自分の部屋の方へと歩いて行ってしまう
なるほど、隆元様らしいな
トラは何も持っていないが、できやがった書類やらを運んでいるところなのだろう
トラの持っている魔道具は、小さなファイル
本人の命名した名前は、アカシックレコードだかといっていたが別に世界中の知識が乗っているわけではなくそのファイルに魔力を与えることによってページを作り、そのページには別の空間が存在しており、本に対して大きなもの、重すぎるものでもそのページ内に入れて簡単に持ち運べるというものだ
その空間には人間などの生き物を入れることはできないようだが、それ以外なら何でもはいるかなり便利な力
ついでに言うのならば隆元様の召喚獣3人の持っている魔道具は3つとも空間に類するものである。
魔道具や魔術の基本的な知識となるが、魔道具や魔術の覚えられる速度、覚えたのちに得られる最大火力、コストパフォーマンスには個人差が存在することが、研究によって明らかにされている
さらに深く調べた結果だが、魔道具、魔術はある程度の分類が可能でその分類によって得意な分類、苦手な分類が存在するらしい
その分類は木、火、土、金、水の属性と空間、精神、生成、強化、召喚などの分類が存在するらしい
その属性、血統に遺伝するらしい
さっきから、らしいばかりだが、その知識は隆元様に教えてもらったものであり、その隆元様の知識も、私をともに作った魔術師に教えてもらったといっているのだから、一応らしいという言葉をつけている
その知識に当てはめるなら私ら3人の得意な分類に空間が入っているのだろう
人を見ただけで、その人の得意な分類を見ることはできず、魔術を覚える中で多少わかる程度なので、隆元様か魔導師かどちらのものが遺伝したのかよくわからないのだが……
必要と思って話してみたら、特に意味もない話になってしまった気がする
まあ、魔術を覚えるにも、魔道具作るにも血統によって左右されるらしい
最後まで、らしいばっかりだったが、人間にはいまだ魔術の完全な理解ができていない。その言葉につなげればそれっぽくなるのだろう
トラが目の届かない範囲に行ってしまった。
さて私はどうするべきか
う~む
そういえば防諜に関する報告書の作例してくれと隆元様に言われていたような……
口頭でも問題はないが、それなりの細部の報告を行う必要がこの頃出てきている
ヴラドの世話でもっと時間がとられると思っていたが、逃げたことによって時間がある。
まあ、それでもやることにしよう