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悪魔っぽい英雄

 

   視点 ヴラド

   場所 安芸の国

 周りが騒がしい

 私は、体に襲いかかる異常な圧迫感を振り払うように伸びをする

ガキーン

 鎖がちぎれるような音と

みしみし 

縄を引き裂いたような音

周りを見渡すが鎖や縄のようなものが落ちているわけではない

多少大きな音ではあったが、それほど気にするべきではないだろう

 何があったのだろう

 周りを見渡すと、アマテラスのところで見たような和室、青ざめた顔で私を見る黒髪の少女とその黒髪の少女に一方的に話しかけている。金髪の少女

えーっと、何があった…………?

 私は目をつぶり、眉間あたりに指を持ってきて、頭の中にあるであろう、記憶を思い出す。

 私が、あの部屋から出て、意識を取り戻したとき、私の目の前には白と黒の和服を着た坊主がおり、いきなり黄色の光の塊を打ち出し攻撃してきた

 その僧兵は、本願寺の所属の、妖怪憑きに対しての敵という情報

 さらに、アマテラスの与えられた知識は、その攻撃に対する理解を瞬間的に与えられる

 魔術の基礎には、攻撃側は防御する側の体に展開する魔力以上の魔力を撃ち込まなければ、多少魔力を削れたとしても、肉体的な被害を与えることはできないようだ

 属性とかによって多少の修正がされるが基本はそんな感じ、そして私の纏っている魔力が目の前の光の塊に劣っているということはないだろう

 アマテラスの言っていた、最初のうちは戦うなといっていたがこれならいけるだろう

 あたっても問題ないような魔力、よけるのが一番楽なのだろうが、さすがに無理そうだ

 顔をめがけて飛んでくる光の塊を手ではじく、多少なりと手に力を受けたが、瞬間的にその光の塊は爆ぜて目の前の真っ白に染め上げる

 まあそうしますよね

 私はまぶしさに目をつぶる

 先の魔術ルールがあるため、持っている魔力が弱い場合、遠隔攻撃で私を倒せない

 この状況での選択肢は、逃げるか接近するであり、僧兵は、妖怪憑きにとっての存在そのものに対する敵であるため逃げるということはありえない。

選んだのは私の横、光の塊で目を奪い、側面から攻撃

 であるが、わかっているのならば対処はたやすいことだ

 魔力の感知と呼ばれるものがあり、それを使えば敵の位置はだいたいつかむことができる

 あとは、槍を使い対処すればいい

 ……こうゆう場合、アマテラスの言っていた、串刺し君主カズィグル・ベイとかと呼ぶのがいいのだろうが、多少抵抗がある。今後、慣れたら呼ぶようにしましょうか

 僧兵は、手に持っている錫杖とか呼ばれる杖みたいなもので殴りつけてくるが、槍で受け止める

 杖には幾何学模様が刻まれている

 木製であるはずの杖で、多分鉄なみに固い槍を叩いて折れないのは、違和感を覚えるだが、魔力を流し強化すればこれほどまで硬度を上げることをできるのだろう

 武器に魔力を流せば、どんなものでもある程度の武器になるらしい、だがそれなりの技術がいるようで私にはまだ使えていない

 いや、そんなもの全く必要なかったのだろう

 杖は折れこそしなかったが、槍にかかった力はあまりにも弱く感じる。多少力を込めて振り払うと簡単に僧兵が下がり、力を込めて槍で殴りつけると多少槍が曲がったが僧兵の杖を砕きそのまま僧兵を飛ばすことができた

 槍はいくらでも作れるから問題ないでしょう

 力の差は歴然、武器に魔力を込めるとかはできないが、単純な身体能力の差で圧倒できる。

 吸血鬼だかの化け物の力によるものなのね

 あとは、僧兵を練習ということで適当にいたぶっていたら、大量に仲間が集まってきてがんばったら空を飛べたから逃げてたて囲まれて

 その時も、吸血鬼の不死と呼ばれる力のおかげで何度か攻撃されてもその部位を膨大な魔力を使い再生することができたが、魔力切れでそのまま落ちて……

 最後の方はだいぶ適当だったが、あんなにたくさんで攻撃することは戦士として恥ずかしくないのか

 そのあとはどうなったのだろうか

 目を開けると目の前には、真っ白でぷにぷにとした白魚のような的なたとえが使えるようなかわいらしいちいさな私の手 ?

 私の手…? だよな

 私は驚きつつ自分の小さくなったその手で顔を触り、自分自身の体を見る

 10歳以下位の小さな童女に私はなっている?

 だがそんな疑問の答えも簡単に理解することができる

 意識がなければ魔力の回復は行われない、それでも不死を持つのはその中でも生命を保つために無駄と思われる部位をそぎ落とす。その結果として私はここまで幼い姿になってしまったのだろう

 だが、それでも全くなかった魔力の中で、体の部位をそぎ落としたとして生き残ることは可能なのか、私の意識のない状態では魔力の供給できる魔術は存在しないはず

 どんな方法で私は助けられた。

てか、ここはどこよ

 えーーーーーーっと

 わからないならば聞くのが一番だ、幸い私の近くにはさっきの少女たち

 こんな状態で少女とか言った呼び方はおかしいといえなくもないのだが、今は小さな話

 いまだに完全に固まってしまった黒髪の少女に一方的に話しかける金髪の少女

 私がそちらの方を見ると、黒髪の少女は少しだけ動きを取り戻し、ぎこちない動きで私の方に指を向ける

「な、何を言いたいのかよくわからないわね」

金髪の少女の声

私が起きていることにまったく気が付いていないのだろうか?

「ちょ、ちょっと、で、出てくるわ」

金髪の少女は、足でもしびれているのだろうか何度か経つことに失敗しながらもなんとか立ち上がり、こちらを向かないように横歩きで出口の方に

 あの子、私のことに気付いているわよね

 やっぱり、私のことが怖いのかしら、これだけ幼い姿を持ったとしても

 そのまま出ていこうと障子に手をかけ、そのまま外へ

 その動きには全くよどみがなく、さっきまでたつことさえも手間取っていたようには見えない

 開け放たれた障子からは、朝日が差し込み金髪の少女はさながら希望にあふれた絵のよう

 そうだな、題名は希望への一歩とかでいいかしら

多分少女も満面の笑みを浮かべているのだろう

 だが、部屋の外へ一歩足を踏み出した瞬間、前足が廊下にめり込み、そのまま、前に倒れこむ

 何があったのかよくわからなかったが、足を取られた瞬間にさっきまで完全に固まっていた黒髪の少女が金髪の少女の腕をつかみ元いた部屋に引きずり込んでいく。

 哀れだな

 金髪の少女は、部屋の外にとどまろうとしているが勢いを殺しきることができず部屋に引きずり込まれ、開け放たれた障子が黒髪の少女によって閉められる

 希望から絶望へ

 あげて落とす

 なんだか、どこかの怪奇映画でも見ているかのような場面

 原因は私にあるのだろうが、少しかわいそうだ

「はなせ、私はまだ、死にたくない」

 前言撤回だ、そんなことをするわけないだろ、失礼な奴ね

 そんな言葉とともに、抵抗しているのだが時間がたつと少しずつ落ち着きを取り戻し、

金髪、黒髪の少女は2、3度言葉を交わすと意を決したようで私に2つの双眸を向けてくる

「ええっと、大丈夫かしら」

 私の声に、少し体がピクリと動き、驚いてようだ

「いえ、見苦しいところを見せてしまい、申し訳ありません」

 そう、黒髪の少女

「ごめんなさい」

 両方の外見は髪色、髪型以外かなり似ており、いや、ほとんど同じといってもいいほどであり、姉妹のように見える。

 落ち着きのある姉と少し落ち着きのない妹といったところだろう

「いや、気にしてはいないのだけど、いろいろと説明してくれるわよね」

「はい、任せてください」

そう黒髪の少女は、金髪の少女の肩をたたく

 金髪の少女は黒髪の少女の方を向き、だいぶいやそうな顔をしつつも話を始める

「まずは、あなたの名前は?」

そうね、金髪の少女、黒髪の少女じゃあ呼びづらいものね、でも

「名前を聞くのなら、まず自分の名前を名乗るのが礼儀ではないかしら」

 金髪の少女は、顔に出していやそうな顔

 黒髪の少女は、表情に変化なし

「そうですね、私の名前はクロと申します。以後よろしく」

 とクロ

「シャムよ」

シャムは、短め

「はじめましてよね ? クロ、シャム、私はヴラドよ。私はどれくらい眠っていたのかしら」

ちょっと間をおいて、クロがシャムの方を向いたのち

「ええ、初めましてです。寝ていたのは半日ほどですよ。ヴラドさんは、ここに来るまでのことで何を覚えていますか」

 とクロ

 半日でここまで回復できるのは、吸血鬼の力によるものなのだろう

 さっきまで話していたシャムはそっぽを向いている。

 少し苛めすぎたかしら、後悔はしていないのだけど

「ヴラドでいいはその方が楽だし、あの本願寺の僧兵たちに襲われてからはよく覚えていないわね。ここはどこかしら?」

 多少驚いている感じ

「ヴラドですね、はい、あのここに逃げてきたのはないのですね?」

「違うは、逃げている途中でここがどこなのかわからなくなってしまったのよ」

 最初からわからないのだがアマテラスの知識には、今まで追加された状況を考えて、そのものを見るか、そのものの名前を知らない限り、知識を得ることはできないのだろう

 わりと不便なのだけど、それはそれで楽しみがあるわね

「そうですか。ここは毛利家の領土、安芸の桜尾城にございます。それにしてもあなたは幸運な方でございますね、ほかの周りの国では、妖怪憑きに対してあまりいい印象を持っていませんので」       

  安芸

 毛利家が初期に持っていた。領土の一つであり、毛利元就の死以降毛利家に残された最後の領土でらしい

そして、この辺の中国地方の大名家の中でたった1つの妖怪憑きを保護している大名家の1つ

「本当に私は運がいいようね。」

 ついでに、桜尾城についても知識が出てくる。瀬戸内海に面した土地に魔法石の加工で栄えた都市「桜尾」があり、それを陸路、海路の両方を守れるように作られた城であるらしい。

それにしてもこの知識というやつは便利なものだな

「あの桜尾城といってわかりますか?」

「ええ、なんとなくだけど聞いたことがある。瀬戸内海付近の城であっているかしら?」

「はい」

 あのくじによって、この国の付近に来ることが決まったのならば、それは幸運なのか、不幸なのかは、現毛利家の当主がどんな奴かによるけど

「あなた方に助けられたのかしら」

「ええ、厳密に言えば、安芸と石見の国境あたりを歩哨していた兵たちが見つけてここまで運んできたのです。」

 なるほど、ということはこの子たちは毛利家所属の兵士なのかしら

「ああ、そういえば説明しておりませんでしたね。私は毛利家当主、毛利隆元様の召喚獣なのです。ついでにシャムも同じです。」

 とクロはとなりで仏頂面のシャムの方を向く

 これが、ここまで似ている理由なのだろう

 つくられた存在であり、私に対する警戒なのだろうが、当主自らの召喚獣がここにいる理由はなんとなく理解できる

 召喚獣、それもここまで人間に近いものとなるとこの少女たちは毛利隆元に完全に操られている。ないし、少なくともそれなりの制御下にあるはずだ

 だがここまで人間らしくなるのだろうか

 召喚獣は感情が希薄である場合が多い、同じ存在が操っているのなら、行動や言動に同じ変化が起こるはずなのだが、今現在の状態は多少不自然

「毛利隆元だかは、あなたを使って私を監視しているのかしら」

 戦いの世において、私の持つ力はかなり魅力的に見えるのだろう、その不自然さを除けばこれが基本的な考えなのだが

「いえ、私は自律しており、隆元様は関係ありません。」

 召喚獣の自律

 かなり珍しい技術であり、使えるものは限られている。

 魔力よりも精神力の方が貴重であるため、あまり効率が良くないというのが理由らしい

「自律とはなかなか珍しい存在ね」

 クロは多少驚いているようにも見える

「ヴラドは魔術に対して深い理解をお持ちのようですね。その知識はどこで?」

「まあ、いろいろあるのよ」

 神から知識を与えられました

 なんて、本当のことを言うわけにもいかない

 その辺に何かの理由を感じたのだろうか、これ以上のこの話に対する質問はなし

「だったら、あなたたちの目的は何かしら?」

 不自然な召喚獣たちに対する質問

 この世界で絶対善意はありえない

 私が、前の世界を含めよく理解したこと

 それもここまで私を恐れている少女をここに押しとどめる何かがこの子たちの感情に存在しているはず

 それは主人に対する忠義か、この毛利家に対する忠義なのか、それともほかのものなのだろうか

「あなたたちは、私を助けて何か利益があるのかしら」

「それはもう、戦いにおいてあなたの持つ力は極めて魅力ですから、ですが、あなたには選択肢があるのです。」

「どんな選択肢なの?」

「傷が癒えたのち、わが国で兵として働くのか、好きなような生活をするかです。別に仲間にならなくても構いませんよ。治療費出せとか言いませんし」

 選択肢を与えるのは、なかなか、甘い考えね。

「それで、今私は選択すればいいのかしら」

「いえ、少し今現在の毛利家の話を聞いてからにしてください、今現在の毛利家は何というか不安定な状態ですので」

 クロ、シャムの両方は少し小声で話し始める

「少し長くなりますので」

 さっきまでそっぽを向いていた、シャムは前置きをしつつ話し始める

「機嫌は治ったのから」

 そして、シャムを煽っていく私

「おかげさまでね。話を進めるけどいいですよね」

「ええ、構わないは、どうぞ」

 多少、怒りが残っているようにも見えるが、話を進めることが優先か

「毛利家は、もともと、この安芸の小さな領土を治めるだけの小大名であったが、毛利元就様という天才によって強大な大内家、尼子家と争いながら、それを倒し、豊前、長門、周防、石見、安芸、出雲、備後、備中を勢力下におさめる大名家でした。ですが、先代の当主毛利元就様が尼子家に最後に残された月山富田城攻略戦にて尼子家残党の矢を受け、死亡すると急速に伸ばした領土にほころびが生まれ、今現在、当主となった毛利隆元様が尼子家残党に敗北すると、石見、出雲、備後、備中の諸侯が尼子家に加勢し、豊前、長門、周防、石見の西側を九州の大友家の力を借りた大内家に奪還されたため、今、毛利家の領土は安芸のみをなっております。」

 シャムはつらつらと毛利家の現在までの歴史

 その辺も、アマテラスが与えた知識の中にあり、わかっているが、今は聞いておく

「それで、その毛利隆元の敗北した話が、今関係あるのかしら」

 その毛利家の没落は毛利隆元によっておこされたと考えていい

 主人である以上、けなせば怒ってくるのかと思っていたが

「経緯をわかっていただいた方が、理解しやすいと思いますので」

特に何もなし

「主人をけなされても、怒らないのね。」

「それは本当のことですし、その辺は、隆元様も理解されていますので。」

「割とドライな関係なのね。」

 召喚獣は、主人の完全な味方である、そうでないと裏切りとかもありえてしまうため、それは自律という自分の意思を持つ召喚獣でも同じことのはずだが?

「話を戻しましょうか、大分脱線し始めている」

とクロ

「ああ、そうだな、えっと、そんな一代での急速な拡大を可能化させたのは、妖怪憑きを武人くらいに優遇し、仲間に迎えたためであり、今でも妖怪憑きの保護をおこなっております。」

 妖怪憑きが迫害の対象となる理由は、異形の姿や、高い魔力だけではない。高い魔力だけ見れば武人などの様に血のつながりに依存せず、土地や家の制約を受けないため、今の様になりやがりによって急速な拡大にした大名家にとっては高い戦力となるのだが、妖怪憑きは妖怪の意識を持っているため、それなりの訓練を積まなければ制御できない。場合によって暴走し味方さえも殺す。

 さらに制御できたとしても、家や土地といった制約がないため、裏切りを起こすものが多い。

 そんな2つの要素があり、制御できるように訓練するにもそれなりの経験が必要であり、訓練するにも指導するものは、死と隣り合わせ、もし、しっかりと制御できたとしても、家臣としてそれをつなぎとめるのは難しいという状態にあり、歴史の中でも、妖怪憑きの裏切りによって死ぬ者は多い

 妖怪憑きを家臣とするのは懸念材料が多く、制御できないのならば制御できないうちに殺せ、制御できるのならばおかしなことをする前に殺せという教えが、本願寺から流布されているとか

 元就は妖怪憑きであり、さらに、武人であったらしい

私と同じように2つ以上の属性を持つ存在

そして、当主となる前に、多く妖怪憑きを訓練し、力によっての妖怪憑きを家臣として、勢力を伸ばしたようだ。

「毛利家では、元就様の代では妖怪憑きであったとしても、その力を制御できるすべを与えております。ですが、今では、昔ほど妖怪憑きを実力相応の地位に就かせるのは難しい状態にいます。」

 国内が不安定な中でそんな危険は冒したくないだろう

 実際それを可能としていたのは、毛利元就が妖怪憑きであったため、そして、ほかの妖怪憑きをおしこめることができるだけの力があっただけだろう

 そして、毛利隆元という存在は私の知識を見る限りそれほど力があるわけではない、妖怪憑きでもない。

「毛利家は1つの勢力ですが2つの別々の派閥が存在しています、それは、元就様の代からあり、今は亡き元就様の武人派と隆元様の商業派がという派閥です。」

「その辺の名前の通りでいいのかしら」

 その辺の知識もある以上、深く聞く必要はないだろう

「はい、毛利家にとっての領土拡張への原動力となった武人派とその拡張を支えた商業派、ですが、両方の間には大きな考えの違いがあり何度となく意見対立しましたが、元就様の方が圧倒的な力を有していたため、一方的に意見をとおしていました。」

 内政と侵略の両者の対立は、いつの時代でも起こるものなのだろうな

「ですが、元就様の死後、武人派はその力を大きく落としてしまい、その力は拮抗してしまい、今ではたびたび対立しきわめて険悪な関係にあるのです」

 一方的に大きな力を持っていれば戦いは起こらない。まあ、私みたいな無謀な奴も存在するのだろうが

「そして、今現在の毛利家では、武人派と商業派は両方が両方で不可侵として、影響を与えないという表面上の安定と水面下での権力争いをおこなっております。それが今現在の毛利家の姿であり、昔の強大な力をもった国ではなくなってしまっています。」

 私の中にある知識と照らし合わせても全く違いのないだけの情報

 だが、私を味方としたいのならば、言う必要もない情報

「あなたは本当に、甘い理想を持った方ですね。いや、あなたの主人、隆元はそんなに甘い理想でこの戦乱の世を生きているのかしら」

 多少、好感を持てないことはないが、善意のみでは戦乱を生きられないだろう

「否定はしませんよ、でも、それが隆元様のやり方です。」

 善意による統治には限界がある。

 いや、私の行った恐怖による統治だって、成功かと問われれば微妙

 それが人である以上の限界、だが、これほどの力を持った私なら可能だろうか?

それも無理だろう、アマテラスの言っていたように国がある程度固まっている以上、そしてほかの人間もそれなりの力を持っているのなら前世のワラキアと同じ運命をたどるかもしれない

「それで、あなたは毛利家に所属するのか、しないのか?」

 多少怒って、答えを急がせえくるシャム

「おっと、その前にほかにも言うべきことがありますよね?」

 それを止めるクロ

「……あと任せる。」

 そうシャムはいい、語り手はクロに交代

「ここまで話してきましたが、毛利家は現状、終わっていると考えていいでしょう。尼子家のこちらへ侵攻可能兵力は二万、大内家は一万五千万ほどであり、両軍は不可侵であり、毛利家を狙っています。

そして我が方に残っている兵力は商業派の五千、武人派が三千ほどで毛利家の方が質において圧倒していると思われますが、数でどうしようもないという状況です。」

 兵力の多寡によって、戦いは絶対に決まるわけではない、だが、それでも

「そんな状態で、ほかの兵たちはまともに戦うのかしら、それに守って何の意味があるのかしら」

 意識統一の行われていない状態では、質が高くても意識せずに足を引っ張り合いになりかねない

 それに敵だらけで、一度敵を退けたとしても

 「それでも私たちは、尼子家、大内家を倒す以外の選択肢はないのです。過去があるがゆえに和平は不可能、降伏すれば毛利家の家臣たちは皆殺しにされる。」

「そんなことしたら前の戦いのように諸侯たちは裏切るわよ。」

「その可能性はないとは言い切れませんでも、今残ってくれている兵士たちは、毛利家が安芸にいた頃より、ともに戦ったものたちにございます。」

 裏切る可能性は、極めて低いと考えていいのだろうか

「本当に最悪の状況ね。仲間になるような妖怪憑きはいるのかしら」

 それも、隆元の心情なのだろうか

「それなりにはいますよ。それに戦いの中で裏切られるよりはましです。それであなたはどうされますか」

「そうね、じゃあ、二つ質問なのだけど、何で得体のしれないこんな私を助けてこんな情報を与えたの、それと毛利隆元という男はどんな当主なのかしら?」

 クロが答える

「それは我が国には、人の心を読む力を持つ者がいます。その力はあまり使い勝手がよくないのですか、ほんの少し、あなたの考えが分かる程度でそれによればあなたはそれほど悪い人間ではないらしいからです。」

人の考えを読むかアマテラスは片手間で行っていた能力だが、与えられた知識によるとかなり高位の力らしく存在自体が貴重であり、読み取れる考えもあまり確実ではないらしい

そんなもので、私を助けたのか、隆元というやつはそこまでいくと、アホではないのか

「それともう一つの質問ですが……」

「世間の風評ではなく、あなたから見た感想がいいは。」

「風評でないのならば隆元様は優秀です。」

 召喚獣に聞いてもあまり意味のないことかもしれないが、自律ならある程度意思を持っている。そして、とても近くにいる。

 かなり贔屓目に見ているのか、本当にそうなのか判断に困る。

でも、どうしようもないくずということはないだろう

 それに多少だが信用されているようだ

「もし、どうしようもなければ勝手に出ていくは、毛利家が私の仕えるに足る場所なら、力を貸しましょう。」

 そういっておけば、多少ここにもいやすくなるだろう

 私の言葉に、シャムもクロも、驚いているようだ。

 それはそうだろう

 あれだけのことを知って仲間になると思っていなかったのだろう

「本当に、いいのか。」

 シャムは疑問を口に出す

「ええ、助けられたことに恩を感じています。それにこんな力持っていたら普通に生活をするのは無理でしょう。」

 最後に言った言葉に、クロもシャムも納得している様子

 私にとっても、ほかの場所でまともに暮らすことは、無理だろう

「そうかもしれませんね、それではよろしく」

 シャムもクロも頭を下げる

「よろしく」

 手を出して握手でもしようと思ったが、力の感覚がよくわかっていないのでやめておこう。今でもおびえているのに変なことをしない方がいい

 私のお腹のなる音 

 少し恥ずかしい

 この世界に来て何も食べていなかった。

「あとで、食事を持ってこさせましょう。」

 少し嬉しそうにシャム

「ありがとう。その前に意識を失っていたはずの私をどうやって助けたのか教えてくれない?」

 少なくとも私に与えられた知識の中にそんなことを可能にする知識は存在しない

「ああ、それに関しては知りませんか、それはそうかもしれませんね。」

 シャムは嬉しそう、そして、得意げに続ける

「その魔術は、隆元様の手でつくられたものだからです。」

 魔術にも流行や廃りがある。

 戦術や戦略が変わるごとに形を変えていくらしい

「それはどんな魔術なのかしら?」

 内容を知らなければ評価もできないが、少なくとも元あった魔術の焼き増しでしかない。新しい魔術よりも、独自のものである以上難しいはずだ

「魔術変換の護符、それを体に貼り付け空間維持の魔術で覆い、あなたに魔力を供給したのです。」

 なるほど、かなり簡単なことだが

「私を助けるために、どれだけの魔力変換の護符を使用したのかしらね。」

 護符と呼ばれる存在は、数十年程度前に開発されたものであり、作ることができる国はかなり限られ最高品質を誇る京の皇式スメラギシキなどは一枚買うだけの金で一つの家族が食うのに一生困らないほどの金額のものがあり、品質が低いものでもそれなりに高価なものだ

「私を助けるためにどれくらいの魔力変換の符を消費したのかしらね?」

「その代金を要求するつもりはありませんよ。」

 とクロ

「それはわかっているけど、なぜ、見返りもないかもしれないものにそれだけのものを与えられるのかしらね。」

 と私の率直な感想

 クロは苦笑い

「隆元様は優しい方なのです。」

 少し怒った調子のシャム

「そう」

 そこら辺はよくわからん

 一応、傷が残っていないか、衣服を開いて確認

 来ている服は、少し大きめの和服

「今後ですが、2~3日ほどは部屋の中でじっくりと休んでください。外傷は回復できていますが、内部の傷は深い。」

 とシャム

 あの僧兵たちと戦いで負った傷を考えれば、この回復は早すぎるのだろう

「病気と同じで治ったと思っても、体調を崩すかもしれませんので。」

 よくわからないのだが、魔力は完全に回復していないのだろう

「それじゃあ、仕事があるので。」

とクロ

「しっかり休んでね。あとで、ほかの誰かに食事を持ってこさせるから」

 とシャム

 そのまま二人は部屋を出ていく

 と思ったら、クロが前にシャムが引っ掛かった穴にはまり、前のめりにこけた

 えっと、その、声をかけるべきかと思ったが

 何事もなかったように、立ち上がっている。

 しっかり受け身が取れなくて、でこの辺りが赤くなっている

 少し顔を赤くしてかわいい

 そして隣では、後姿のみだが、肩を震わせて必死に笑いをこらえているであろう、シャム

 何事もなかったように、障子を閉め出て行った

 楽しいやつらだ。

 個人的な二人への評価

 そのまま食事が届くまでのんびりしていようかと思ったが、寝てしまっていた

 ……


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