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安芸の状況とか

    視点 トラ 所属 毛利家

    地域 安芸の国、瀬戸内海付近の山城 桜尾城(さくらおじょう)

時間は、昼を少しすぎた頃

厳島、江田島に区切られたように存在する湾、その湾に面するように作られた広大な都市

都市は活気づき、多くの船が往来している。

安芸の海上交易の中心、現在毛利家の経済の中心点

現在の毛利家当主、毛利隆元様の居城、桜尾城であるため、桜尾と呼ばれている。

毛利元就様の代(毛利隆元は3年位前から当主ではあるが、毛利元就の影響力が圧倒的に強く生きている間は、毛利元就様の代といえる)は毛利家が鎌倉のことより根を下ろしていた地域の山城、吉田郡山城を居城とし、すべての軍をまとめ、国のかじ取りを行っていたが、毛利元就様の死後

隆元様の

「ここだと、統治が面倒」

などと言って、軍も首都機能も移動させた。

桜尾城は安芸の西側、大内家への陸上、海上ともに守備の前線としており、大量の商船の護衛をおこなっている。水軍の拠点となっている。

もともと、瀬戸内海に面し海上交易に優れ、現在の安芸の国に張り巡らされた交易路の中心、

そして、厳島の魔法石(魔力の塊、魔術符や、武器への魔術の付属、錬金術によって鉄などといったほかの物質に換えることができ、地域によるが基本的に貴重品)を加工する商業、工業都市となっている。

そんな城の一室、金髪の中にところどころ黒髪の混ざった髪を持つ少女

見た目年齢は15歳ほど

名はトラ

……毎回この名前を呼ばれるたびに猫か何かの様にふざけた名前だと思う。

そんな名前を付けたのは、この城の主であり私を召喚した存在

毛利隆元

使役しているのは私を含め3体

黒い髪を持った、クロ

金髪を持った、シャム

そして、私、トラである。

全員、猫のような名前

たく、もっとカッコイイ名前はなかったのか

私なら、黒い稲妻、ブラックサンダーとか、ついでにほかのやつの名前も

それを言ったら、クロ、シャムは真っ向から否定し

隆元はこの圧倒的なネーミングの前にポカーンとしていた。

くそ、シャムもクロもわかってねー

そんな感じで、私たち3人には自分の意思がある。

ものには何十年、何百年の年月を経たものには、意思が宿るらしい、それに大量の魔力を与え、人としての考えを持たせるため、人の意思を交ぜ合わせてつくられた召喚獣

自同律と名付けていた高度な魔術によって作り上げられた召喚獣である。

だが、そんな高度な魔術ほとんど魔力を持たない隆元様のみでは作れない。

隆元様曰く、師匠とか呼んでいる女性が魔力、設計図を担当し、隆元自身が召喚したといっていた。

まあ、共同召喚であるため、隆元様とその師匠の考え方をもっているらしい。

これって、隆元様の娘的な何かなのではないのだろうか、と毎度思うが……

まあ、気にしていないのだろう……多分

というより、師匠とか呼ばれている人がどんな人なのか私を含めほとんどの人が知らない。

聞いた限りでは、凄腕の陰陽師らしく女性、シャムや私の髪の色から金髪だったのだろう。

この世界で、髪の色が黒以外の人は割と多いものでそれだけで特定することはできない。

隆元様は魔力がめちゃくちゃ低い(その辺の農民に劣る)だが高い精神力(魔術を制御できる上限)を持つため、召喚際してしまえば魔力を自動で回復し、精神力以外に負担のない自同律の召喚獣は極めて相性がいいようだ。

だが、隆元曰く、召喚の外見を作るのに1つ1つ作るのが面倒なようで髪の毛と多少の年齢以外はほとんど変わらないようになった。

何という適当さ

もし、あれで能力もなかったら攻撃するか反抗しかねないが…

机の上に積み上げられた大量の案件と報告用紙

あれだけの数を半日経たずに片付けてしまったようで

私を含めほかの内政官もそんな書類といまだ格闘中だろう。

それなりではあるが能力があり、三食昼寝つきさらにおやつもついている状態で雇ってくれている。

そういう意味では、ここはかなり居心地がいい。

それにただの召喚獣であるこの私が、その辺に生きている人間以上の生活をしているのだから、文句を言ったら罰が当たりそうだ。

「入るぞ」

聞き覚えのある声

「どうぞ」

私が返事をすると、白髪混じりの髪をした初老の男性

「元保殿、どうかなさいましたか?」

「ああ、隆元様は戻られたか?」

きょろきょろと私の部屋を見渡す。

この方は、赤川元保

元就様が隆元様の世話役として付けた武人の将

武人としての実力は下の下もいいところだが、政治、内務に明るい将だ

ほかの武将曰く

「隆元には武人としての才もなく、妖怪憑きでもないだから、才のない将が与えられた」

とかいっていた。

ははは、ざまーみろ

言ってしまえば期待されていない将である。

その言葉は暗にというか真正面から隆元様の侮辱としてとらえられるが隆元様はそういうのには寛大というか言ってみたら笑っていたので気にしていないのだろう。

毛利隆元の現状配下といえる武人は目の前にいる元保様のみ

毛利元就の生きていたころには毛利家には

元就様の武人を中心とした戦闘と侵略を担当する武人派

隆元様が毛利家の勢力拡大後に商人たちの保護、内政能力の向上を主目的とした商業派

の2つに分かれており、元就様の死後もその勢力状況が続いており、武人派は吉川家当主の吉川元春様が継いでいる。

この世界において武人はとても貴重である。

 武人は基本的に血筋によって生まれる。

ごくまれに例外として凡人の家から生まれることもあるがその確率は極めて低い。

そして、武人はとても強力。

武人は武力以外にも、内務においても高い効率で書物を書き上げることもできる。

だが、こんな戦国の世である。

いくら効率的な魔術、装備品の開発、戦術の向上によって一般兵の能力が向上しているものの、武人の力は今現在であっても、1体で10以上の敵を屠ることができる。強いものならば100以上の敵を相手取ることもできる。

そんな力を内務に使うことは少ない。

だが、この世界は生まれながら決まった階級に属する強い縦社会

武人中心

内務であってもそれなりの高い地位には武人がいる場合が多く。

場合によっては武将が兼任する。

というよりその場合がほとんど

そのため戦になれば内務官も減り国によっては下級の官によって国を動かされる内政機能に不足が出るとこが多い。

まあ、内政をないがしろにし、戦いに明け暮れる戦国大名にとってはどうでもいいことなのかもしれないがそれによって国に生きる民たちは苦しむ。

それを隆元様は望まないのだろう、多分

だからこそ、この毛利家の内務官のほとんどがその辺にいるような魔力をほとんど持たないもの、多くの人がそんな存在を武人と同じように凡人と呼ぶ。

武人が上で、凡人が下

隆元様自身が凡人であるためそんな考えを嫌っているのだろうか?

内務においてはいくら強い魔力を持っていても高い知識があれば魔力がなくてもそれなりの人数さえいればいい。

内政官は高い地位のものでも凡人のみである。

よく言うのならば実力主義といえなくはないが、武人からすればあからさまな凡人贔屓と見えるため現在、武人派と商業派には大きな溝がある。

数少ない武人に大量の金をかけるより、大多数の凡人を訓練しそれなりの金で雇った方が効率的でいいといっていたが

だが、この頃の隆元様の遊びに出歩いているのを見ていると自分の仕事を減らすためだったのかもと思う。今日この頃

「そういえば、戻っていませんね。」

もうそろそろ戻るころだろ

ついでに言うのならば、こうゆう時、ただの召喚獣であるならば主の居所を探したりできるのだが、完全な自同律型であるため、隆元様の居場所を探すことができない。

何かを感じ、考えるという行動ができ便利ではあるがこうゆうときには不便だ。

隆元様からなら、居場所を見つけたり、遠く離れたところから指示を出したりすることが可能

もし何かあるなら、私のところに連絡があるはずだ。

「何かあったのなら、もう少し時間がかかるときもありますよね。」

「ああ、だが、今日は話し合いたいことがあると伝えていたはずなのだが」

そうなのか、そうゆうときの隆元様は早めに戻ってくるはずなのだが

考えているとふすまが開く

金髪の長い髪、顔の感じはほとんど同じ17歳ほど、少しのんびりとした雰囲気の女性

「シャム、どうしたの?」

私と同じ召喚獣のシャムである。

顔の感じは似ているというかほとんど同じだが、雰囲気は少し違う。

生まれた後、人間のように肉体的に成長することはないのだが、精神的に成長し、そう感じるのだろう。

シャムは少しゆっくりとした動作で私の部屋を見渡す。そして同じように

「隆元様はどこにいるのかわかる?」

オマエモカ……

まあ、いいか

「いや、いないが何か用事でもあるのか?」

まったく、どこいった。

「それがね、隆元様から連絡が着たの」

シャムの方に珍しいな。

「治療をおこなうから部屋に大量の魔術符、魔方陣とかその他もろもろ用意しといてだそうです。」

「それくらいの準備なら、1人ですぐだよな」

「ええ、準備完了したのだけどどこにいるのかわからなくて」

私らと隆元様との連絡は一方的だからな

「聞かなかったのか?」

「いや……、あははー、すぐ切られちゃったもので。急いでいたようですし」

ということは傷ついた妖怪憑きでも拾ったのか

「治療か、妖怪憑きでも拾ったのか?」

「多分、そうだと思いますが、地下の空間移動陣に反応はありませんでしたよね。」

空間移動陣

魔力を使い大地に刻まれた魔方陣と魔法陣とを瞬間的に移動する魔法

移動するもの距離が大きければ大きいほど、大きな魔方陣を作るための平らな土地、莫大な魔力が必要になるが一枚の魔方陣と座標の固定さえしてしまえば、使う魔力を大地から自動で供給できるため魔力を使わず。精神力のみで移動することのできる便利な魔法

毛利元就様は、空間移動によってこの中国地方をすべての都市を結び、武人のような強力な戦力を効率的運用しようと考えていたが、質量が大きくなれば起動するために膨大な精神力が必要になり、選りすぐりの武人たちを複数合わせて人形を使用した起動実験を行ったとき、不安定であったがために次元の中で切り刻まれ、無残な姿になって目的の地点に現れた

もし、それが人であればすべて死んでいた。

精神が高いものであったとしても、自分自身ともう一人、その二人の装備品の加重が限界が現実的な限界であるらしい

そんな事例があるため、毛利家での空間移動を利用する計画は頓挫している。

だが、現在も小型の空間移動陣は複数存在しており隆元様が適当に遠くに行くときに使用されている。

そのうちの一つが、この鳥籠城の地下に存在する。

そして、私には地下の空間移動陣の監視を担当している。

そのために術式が組み込まれている。

「噂をすれば、ですね。」

地下に感じる魔力の流れ

外出時と帰宅時、全く変わらない魔力の流れだが、もう一人、極めて高い魔力を持った、妖怪憑きだろうか

「来たの?」

「ああ、二人だ、多分手負いの妖怪憑きだろう早く行ってあげたら」

「わかった、んじゃ、行ってくる。」

シャムは小走りで出ていく

「うむ、今日は無理そうだな」

と元保

「すいません、明日ということで伝えておきますので、急ぎの用事ではありませんよね。」

「ああ、兵力の増強についての話で、ある程度まで訓練が完了した、あとは最終調整についてなのだが、まあ、明日でも構わないだろう。」

兵力の増強

あまり戦いを好まない隆元様が発案した国防計画

毛利家の現状保有する兵力は四千ほど守備隊などを入ればもう少しいる、昔は守備隊抜きで3万以上の力を持ち、そのほぼすべての指揮を行っていたのが、武人派であったが

今は、商業派が四千ほど

武人派が二千ほどである

豪族の持つ兵力もほとんどが武人派の指揮かであったが敗北以降、商業派も各都市においていた守備隊などを失っているが、数的多少追いついてきた

だが、二千のうち三百以上の武人と、四百名ほどが妖怪憑きであるため質において圧倒的に高い

商業派、武人派も含めた毛利家の兵の質に関しても、兵力は少ないが装備品、練度において他の国を圧倒的に凌駕しているだろう。

だが、質だけでは戦いで勝つことはできない。

戦いは数だよ。アニキ的なやつである。

徴収兵は少々の訓練を積んだ兵

まあ、少々といっても、兵士となる以上魔術の習得が必要であるため、それなりの期間がかかるのだが

数は二千ほど

数の水増し程度にしか意味はないと私は考えているが

隆元様は、今後の防衛用の兵力の確保+安芸では多くの流民を抱えており、そんな流民に働く場所、住む場所を与えられる。

という理由から強行しようと計画している。

私は反対だが、隆元様は実行しようとしている。

こういうところが、自同律の違いであり、育つ中での隆元様との違いなのだろう。

「そうですね、その辺のことは隆元様に伝えておきます。」

「ああ、そうかならば頼のむ。」

そういうとそのまま、直正様も私の部屋から出て行った。

……まあ、この仕事が終わったら、報告ついでに隆元様のところに行かないといかんな

そう心で思うが

机の上に積まれた書類の山を見てため息をつく。

…面倒だ。


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