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少年の瞳と玉子焼き 3

久しぶりの更新~

 なりそうなお腹をごまかしつつあと数分で終わる4時間目の授業を受けている。

 授業終了のチャイムを待っているのは雪菜だけではなく、クラスメイトの大半が時計とにらめっこをしていた。


 キーンコーンカーンコーン


 ガタッと珍しく皆そろって立ち上がり礼を済ませるとおきまりのグループへとわかれた。雪菜も手作りの弁当を持って咲の所へ移動する。

 いただきます、と満面の笑みで早口に呟く。雪菜がお弁当のフタをあけると咲が自分のと見比べるように横からのぞきこんできた。

 そして感嘆しながら呟いた。

「本当、すごい。雪菜ってすこーしドジで、かなーり子供ぽいけど、料理すごい上手よね。味もだけど見かけも完璧だし。尊敬ー」

「・・・なんでかな、素直に喜べないのは」

 他愛ない会話をしつつ箸をすすめているうと、ふっと雪菜の視界が暗くなった。

 机の上には1人分の影。

 その主を雪菜が確認するより早く、影は雪菜の弁当箱から玉子焼きをつまみとった。

「うわあ、すげえうめぇ。これ、お前がつくったの?」

 雪菜は思わず口に入っているものを噴出しそうになった。

 雪菜の目の前にいるのは、間違いなく汲科奏斗だ。

「そ・・・だけど」

「へえ、すごいなあ。料理上手なんだ。今度俺にも作ってよ」

「はあ・・・?」

 何で、という反射で出そうになった疑問を無理矢理押し込める。冗談や社交辞令が通じない生真面目と思われたくはない。

 雪菜は対応に困った。男子と話すのが苦手なわけではないが汲科は特別だ。

 その目と向き合うのが怖い。

 平常心を保とうと普段使わない所から一生懸命に力をしぼりとってくる。

「えっと・・・なんか、用?」

「え?俺今日パンなんだよ、だからいいなぁって」

 答えになっているようでなっていない事を呟きながら汲科は流れるような動作で雪菜の弁当箱から玉子焼きを1つつまみとった。

「ぅわ、本当にうめー」

「へ?え?あ?あ――――!」

 雪菜が叫ぶと汲科はおかずをのどに詰まらせたらしく「ゴホゴホッ」とむせている。

 雪菜は苦しそうな汲科を思いきり睨みつけた。

「どうして勝手に食べるのー!しかも素手で!」

 汲科はむせて少し涙目になりつつも笑いながら雪菜を見た。

「ごちそうさまでしたー」

「な・・・!」

 悪びれない汲科の頭を雪菜は思いっきり叩いてやった。


 雪菜は不思議だった。そして申し訳なくも思った。

 勝手な苦手意識から汲科に線を引いていたことを。

 今でも、苦手意識が払拭されたかと言われれば答えは否だ。

 不意に目が真正面から向き合えば一瞬呼吸が止まる。

 けれど。それはあくまで汲科の外見に対する苦手意識だ。中身は雪菜たちと同じ中学1年生である事に雪菜はようやっと思い出した。



 その日から、雪菜は汲科と接する機会が多くなった。とは言っても、今までが今までだったから、ただのクラスメイトから仲の良いクラスメイトになっただけという感じだった。

 ただ、雪菜の作った玉子焼きが汲科的にヒットだったらしい。玉子焼きの為だけに――と言っても過言ではない。絶対にない。――お弁当の時間はいつも一緒になった。

 雪菜も苦手だったはずの汲科と普通に話せるようになって少し舞い上がっていたのかもしれない。


 日に日に鋭くなっていく葵の視線に気付く事が出来なかった。



書いたのが一回消えてもう嫌になった泣

テスト期間中の現実逃避~笑

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