チート転生〜前世のフォロワー数無双〜
「やあ、君かい?噂の転生者ってのは。ああ、そんなに驚かなくてもいい、かくいうボクもそうでね……というか、ここそんな奴ばっかりだよ。転生者多すぎて異世界なのに、ほとんど前世の世界━━君も多分同じだろ?うん、同じみたいだね。他の奴もそうだから安心すると良い。ところが、君も気づいているように、ここだと妙な力が我々には宿っていてね。そう、魔力。あれは、どうやら前世のSNSでのフォロワーの多さに準拠するみたいでねえ。突然胡乱な目になったね、ボクも昔はそうだったさ。あれを見給えよ。あの指名手配書類さ。うん、お察しの通りあれは前世でフォロワー数2500人で━━暗黒面に落ちたSNS使い。こっちは暗黒面に落ちたフォロワー数12000人のネタツイッタラー。こっちは暗黒面に落ちたフォロワー数560人のリアフレ意外フォローしないタイプのSNS使いさ」
異世界転生した俺、いつも通り冒険者ギルドに行くと、変な女に話しかけられたでござる。
初対面に対してもこの息継ぎが全くなく、こちらの反応を気にせず話し続ける感じは、間違いなくコミュ障の類だったんだろうなと察せされる。それゆえに、こいつの発言にも妙に説得力がもたらされてしまっていた。
こいつは多分、かなりできる冒険者だろうし、多分前世はSNS──それもテキスト主体のやつで息をしてたタイプだろう、コミュ障しかやらないしあれ(偏見)
「なんでもいいけど、なんで今世で闇落ちしてる奴らばっかになるんだよ」
「そりゃあ、もともと承認欲求の固まりみたいなシステムがそのまま力になるのだから、凝り固まってしまうだろうね。固まりまくった蠱毒─蠱毒塊みたいなものさ」
固まり過ぎではないだろうか。因みに、こちらの世界の人の平均魔力が、5くらいだとすると、この指名手配されてる連中の魔力は8くらいある。何でわかるかというと、やらかした規模で大体のあたりがつけられるのだ。
「にしても、フォロワー数にされると、なんか中途半端だな……」
「これくらいのフォロワー数が一番承認欲求おばけになりうるからねえ」
なんかこう、理論的にガバガバそうなのに、はっきり言い返せるだけのエビデンスがないのが腹立たしい。
「ふむ、君のその言動よく練られている」
ナチュラルに思考を読んでませんか。
「まあ、読めるよね、ボクの魔力量なら余裕で。ざっくり1000くらいは魔力あるわけだし」
つつぬけかあ。弁護士さんに頼んで開示請求とかする必要ないの羨ましいなあ。
「ふむ、今ので確信したよ。君は確実に一日中、ネットを巡回してた口だ。前世でのフォロワー数は何人だい?ああ、もちろん、フェアじゃないからボクの分も明かしておくよ、命に関わるからね。ボクの総フォロワー数は━━53万さ」
「フォロワー数が命に関わる世界やだなあ……16万とかだけども」
「前世何者!?」
「こっちのセリフだよ!」
ネタ投稿アカウントだったらしい。むしろ、それで53万いくって何もんだよ。もう、芸人とか目指せよ、前世。