限界
母を一人に出来ないと思い、母と二人で暮らすようになった俺だけど……。
会社と実家との往復だけではなく、介護保険のことで役所に行かねばならない時があった。
その時は休むしかなかった。
誰かに手伝って欲しいと切望した。
誰も居ない……。
心臓が良くないだけでなく、母は段々と歩くのが難しくなった。
自宅で転倒したからだ。
俺が会社に行っている間に事だった。
その結果、骨折した。
トイレに行くのが大変になった。
俺が会社に行っている間だけオムツをして貰っていたのに……
日に日に衰えていく母。
いつしか、母は終日、オムツを着けるようになった。
「ごめんね。」と言う母に「俺のオムツを替えてくれたのは母さんだよ。」と応える。
でも……正直な所、母親のオムツを息子が替えるのは、母も嫌だろうと思った。
これが、父ならお互いに無理なく出来たのではないかと思った。
親子と言えども性別での違いは……あるかな?と思うようになった。
家事、仕事、介護……。
もう限界かなぁ~と思うようになった。
そんな時でも妻は電話で言うのだ。
「もっと収入を上げてよ。貴方の責任でしょう。」と………。
直接、母を介護して欲しいなどとは思っていない。
ただ、役所関係などで少しでも助けて貰っていれば、同じ言葉を妻が言っても「頑張るよ!」と言えたのかもしれない。
でも、もう何も言う気力がなくなった。
本当に疲れた。