介護の始まり
母が入院したと電話が架かって来た。
病院からだった。
直ぐに病院へ向かった。
病棟で看護師に「来た」ことを伝えると、本人に会う前に医師との面談が先だった。
医師は「肋骨を2本骨折です。このままコルセットで過ごして頂くしか手がありません。」と言った。
病院でリハビリも行うが、長期間の入院は出来ないことも教えて貰った。
退院後の生活は誰かのサポートが必要だと言われた。
⦅俺しか居ない……。⦆
そう思った。
俺が一人っ子だから……看るのは俺しかいないのだ。
妻に電話をした。
「もしもし、俺だけど……。」
「あぁ、貴方。 で、何の用?」
「今、病院だ。」
「何故?」
「母が骨折で入院した。」
「お義母さんが……そう……で、どうなの?」
「しばらくの間は入院で、入院中にリハビリするそうだ。
退院後の生活をサポート」
「嫌よ! 私はしないから……。」
「お前にして欲しいと思ってないよ。」
「あ……そうなんだ。じゃあ、貴方がするのね。」
「あぁ……。母の退院後はしばらく家に帰れないから……。」
「分かったわ。……入院中の洗濯とかもしないから!」
「分かってるよ。」
「それだけ?」
「あぁ……。」
「じゃあ。」
電話は妻が切って終わった。
どうして、ここまで俺は嫌われてしまったのか……。
教えて欲しいと思う。