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メイドは今日も忙しない

稲荷 杏 (イナリ コウ)

     +25歳。

     +執行人acht-8-。

     +青髪で丸いサングラスを掛けた関西弁の男。

     +女の子が好きで、マリアにも甘い言葉を掛けてくる。

     +常に回転式拳銃を所持している。

     +好きな物:果物、魚

     +嫌いな物:チョコレート、騒音

コンコン


静かな廊下に、ドアをノックする音が響く。


「弥士様」


マリアの部屋に杏が現れた同じ時、叶色は弥士の部屋を訪れていた。


「叶色さん?どーしたの?」


「お2人がお連れになった、マリア様の事なのですが……」


「あぁ………


 とりあえず入って。部屋の中で話そ。」


ドアを開き、叶色を招き入れる弥士。


「瀬奈様はあの方を新しい仲間、と仰ってましたが、あれは本当なのですか?


 あんなにも部下や仲間をお作りにならなかったお2人が考えを変えられたのですか?」


「あー、えっとね………


 とりあえず、お茶淹れるね!」


「私が致しましょうか?」


「ううん!叶色さんはソファに座ってて!」


茶葉を用意し、お湯が沸くのを待ちながら弥士は悩んだ。


マリアについて、本当の事を叶色に伝えるべきか。


(叶色さんはボクたちが唯一信頼している人だし、


 それに皆同じお家に住むんだもんね……


 隠しながら過ごすより教えちゃってもいいかな)


瀬奈に相談したいと考えたが、伝えてしまうなら同じだろうと


弥士は叶色に伝える事を決めた。


ティーカップに紅茶を淹れ、叶色の前に差し出す。


叶色が紅茶を口にする様子をじっと見つめる弥士。


「弥士様?」


「あっ、ごめん。」


「いえ。それであの……マリアさんの」


「そ、そうだよね!


 叶色さん、前に兄さんが稲荷杏から奪ったオプファーの事覚えてる?」


叶色は顎に手を当てる。


「稲荷様から……確か34番目のオプファーの方の資料でしたよね。

 

 名前は確か……加藤優美さん、でしたか。」


「うん。」


「その方がどうかされたのですか?」


「え、っと、


 マリアは、その加藤優美なんだよ。」


「………はぁ。」


信じていない様子の叶色。


「って、叶色さん冗談だと思ってるでしょ!」


「すみません、どうも信じにくいお話なもので。」


(ーーーー加藤優美。)


叶色はその名前について考える。


(34番目のオプファー。


 稲荷様がキープしていた加藤優美の資料を瀬奈様が奪ってきたと。


 その話を聞いた時は、瀬奈様が何を考えて盗んだのか分からなかったけれど。


 どうして殺すはずの相手を仲間に?


 他に理由があって、隠す為に弥士様が嘘を付いている?


 でも………)


叶色はチラリと横目で弥士を見る。


弥士は一点を見つめて少し震えていた。


(弥士様が普段楽しんで冗談を言われる時は、両手を頭の後ろで組まれるけれど、


 今はそんな様子は無いし………)


「ですが弥士様のその様子、冗談じゃないみたいですね。」


「う、うん………」


そう伝えると、少し震えていた弥士の震えが止まった。


「瀬奈様がお決めになった事なのですか?」


「うん。」


「それでこの屋敷にマリアさん、加藤優美をお連れになったのですか?」


「弥士様はお止めになられたのですか?」


頷く事しか出来なかった弥士だが、自分は止めたのか、という叶色の問いに


頷く事も、答える事も出来なかった。


(ボクは………兄さんが決めた事ならって、


 否定する事も、説得する事もしなかった。


 これって良くなかったのかな、ボクはどうしたら良かったんだろう………)


弥士は頭の中で考えを巡らせる。


額には汗が浮き出ていた。


(ボク、ボクは………)


考えれば考える程、何が正しいのか分からなくて、弥士の目の前がどんどん真っ暗になっていく。


「弥士様。」


「はっ………」


暗くなっていた視界が、叶色のひと声で晴れた。


「ごめん、叶色さん。ボク………」


「いえ。しんどい気持ちにさせてしまってすみません。


 この事は、私から瀬奈様に聞いてみます。


 教えて頂きありがとうございます。」


ソファから立ち上がる叶色。


ティーカップに注がれていた紅茶は既に飲み干されていた。


部屋から立ち去ろうとする叶色を呼び止める弥士。


「ねぇ、叶色さん。


 ボク、ボスに怒られるのかな………」


「らしくありませんね、弥士様。」


ニコッと笑いかけて、叶色は弥士の部屋を後にする。


(瀬奈様は一体何を考えていらっしゃるの………?)


瀬奈の部屋に足を進めていると、見た事のある青い髪の男が目の前に現れる。


「稲荷様?」


叶色の呼びかけに気付いた杏はスキップしながら叶色に近付いてくる。


「あれぇ、雪兄弟のメイドちゃんやん!こんにちは~」


「お久しぶりでございます。


 いらっしゃっているのならお声掛け頂ければお茶をお出ししましたのに。」


杏はニコニコと微笑みながらサングラスを上げる。


「相変わらず丁寧で優しいわぁ。


 俺専属のメイドさんなってくれたらええのになぁ。


 お茶も楽しみたかってんけど、今日は時間無くてなぁ。


 また今度淹れてくれる?」


「えぇ。いつでもお待ちしておりますよ。」


杏を見送ろうと玄関までついていく。


(稲荷様はマリアさんが加藤優美である事を知っていらっしゃるのかしら……)


「あの、稲荷様。」


「んー?」


「マリアさんの事なのですが………」


マリア、という名前を口に出した瞬間、杏はサングラスを外し叶色の襟元を掴む。


「ちょっ………稲荷様っ!」


「雪瀬奈に言うといてくれ、あの子は俺の女にするってなぁ!!!


 あいつが全部持っていくなんか許されへん、


 絶対、絶対や……」


そう言い捨てると、杏は走って屋敷を去って行った。


(俺の女………!?何、どういう事……??)


結局、杏にマリアについて詳しく聞く事が出来なかった。


(なんだかずっと騒がしいわね………


 早いうちに瀬奈様に聞きに行こう。)


叶色は玄関の扉を閉めて、瀬奈の部屋に向かった。




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