表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

侵入者

相羽 叶色 (アイバ トイロ) 

      +年齢不詳。

      +雪兄弟の屋敷での家事全般を担っているメイド。

      +変装が得意で、あらゆるものに変身する事が出来る。

      +好きな物:牛肉、牛乳

      +嫌いな物:日の光、鉄

「ほんま、雪兄も隅に置けへんなぁ


 オシゴトもせんと女の子イチャイチャ………


 なぁんでこんなんがボスの1番のお気に入りなんや」


青髪のサングラスの男は左手に持った銃を日の光に当てて眺めながら言葉を続ける。


瀬奈はその男に警戒した眼差しを向けながらマリアにそっと囁く。


「マリア、私の後ろに下がって下さい。」


「えっ、ちょっと……」


「後で落ち着いたらきちんと説明します。今は私の後ろに。」


瀬奈はマリアの手を握りながら自分の後ろに素早く移動させる。


「なぁ雪兄、その子紹介してや~


 可愛い子独り占めなんてずるいやん、こんにちは、カワイ子ちゃんっ」


瀬奈の後ろに隠れるマリアにウインクして見せる男。


その表情に少し胸が熱くなるマリア。


一連の様子を見ていた瀬奈は眉を顰めながらその男が完全に見えなくなるようにマリアを庇う瀬奈。


「杏くん、どうされたんですか?


 この屋敷に来るのを嫌っているのに其方から尋ねて来て頂けるなんて。」


「相っ変わらず嫌味たらしい言い方するなぁ、俺はただ雪兄と仲良くしたいんやんか。


 君の弟君が嫌いやからあんまここ来たないねんけどなぁ。」


ゆっくりと足を進めるサングラスの男。


瀬奈の1歩手前で足を止めて瀬奈の顔を覗き込む男。


「俺の狙ってたオプファー横取りしたん、君やろ?」


「何の話でしょうか?」


マリアの手を握る瀬奈の手に力が入る。


「とぼけても無駄やで、ボスから聞いたんやから。


 君が俺のキープしてた資料夜中にこっそり取っていったってな。


 ほんま、とんだ泥棒猫やわぁ。一言言ってくれたらよかったのになぁ」


「私が直接杏くんにご相談したところであの子を大人しく引き渡して頂けたとは考えられませんが。」


「よく分かってるやん」


その男が左手に持っていた銃を瀬奈の額に当てる。


「俺のモン奪ったんやから、それなりの覚悟出来てるやんな?」


「瀬奈っ……!」


慌てて二人の間に入ろうと身を乗り出すマリア。


しかし瀬奈が強い力で抑えてくる。


「安心してやぁカワイ子ちゃん。


 雪瀬奈が居なくなっても俺が可愛がってあげるからな♡」










ガタッ


「はぁ。杏くんの暇つぶしに私をつき合わせるのも大概にして頂けませんか。」


瀬奈の額に当てられていた銃はいつの間にか床へと落ちていた。


「あっははは、やっぱり瀬奈くんには敵わんなぁ。


 今日の所はこれくらいにしてあげるわ。


 でもそのかわいい子だけ紹介してくれへん?」


「挨拶だけでしたら構いませんよ。」


「ありがとっ」


瀬奈は握っていたマリアの手を離した。


その一瞬の隙を見逃さず、マリアの手を両手で包み込むサングラスの男。


「こんにちは~!初めまして~!


 俺稲荷杏!25歳!よろしくな~!」


「初めまして、えっと、私はマリアです。


 色々あって、このお屋敷に住むことになりました。」


「ん?」


何かが引っかかるのか、杏はマリアの顔をじっと見つめる。


「な、なんですか?」


「君、瀬奈君の彼女ちゃうん?」


「え?」


「さっきめっちゃチュー寸前やったやん!?


 てっきり瀬奈君の彼女かと思ったけど、ちゃうん?


 てか君の顔どーっかで見た事あるような………」


ぐんぐんマリアの顔に近づいてくる杏の顔。


「っ……」


飄々とした態度ながら端正な顔立ちの杏に心臓の鼓動を早くさせるマリア。


(どこかで見た事あるって………


 私はこの人と会った事はないと思うけど………)


「ほんまに可愛いなぁ、今度一緒にご飯でもどう?


 これ、俺の連絡先、いつでも連絡してな!」

 

小さなメモに杏の電話番号が書かれている。


それを受け取ると床に落ちたままだった銃を拾うと部屋の外へと歩いていく。


「またな~雪兄、次は絶対ブチ殺してやるから待っとけよ。


 今度は二人で会おうな~マリアちゃん!ばいば~い!」


銃を左右に振りながら屋敷を後にする杏。


嵐が去った後のように、部屋には沈黙が流れていた。


その沈黙を破ったのはマリアだった。


「はぁ……ちょっと瀬奈!


 あの男は誰なのよ」


マリアは瀬奈の方を見る。


瀬奈の目には光が宿っていなかった。


「せ、瀬奈………?」


「その紙、捨てて下さい。」


「えっ?」


「あの男と連絡なんて取らないで下さい。


 あの男の事を今すぐ忘れて下さい。


 何でここに……会わせたくなかった………」


ゆっくりと瀬奈の目に浮かんでくる涙。


「ちょっと、瀬奈っ、何で泣くのよ……!」


マリアは慌てて瀬奈の目から零れる涙を手で拭った。


「お願いだから………そのメモを捨てて」


初めて耳にした瀬奈の砕けた喋り方に、余裕が無くなっている事を感じさせられた。


「うん。連絡なんてするつもりは無いわ。


 あんな関西弁の良く分からない男怪しすぎるもの。


 だから早く泣き止みなさい、私に屋敷を案内するんでしょ?」


普段通りの口調で言葉を並べるマリア。


(相変わらず非現実な事ばかり起こるのね、


 認めたくないし、適応する気もないけど、


 瀬奈が不安に思う事があるのなら、それを感じさせないようにしてあげなきゃ……)



「そうでしたね、取り乱してすみません。


 着替えてきます、少し待っていて頂けますか?」


「えぇ。あまり長い時間待たせないでよ」


待たされるのは嫌いではないが、先程の関西弁の男が戻ってくるかもしれない。


あまり1人で居たい気分ではなかったマリアは瀬奈を少し急かす言葉を選んだ。


「ふふっ、はい」


心情を汲んだのか、瀬奈は小走りでマリアの部屋を後にした。


その後姿を見送ったマリアは、手に持っていた杏からのメモを


ベッド横のサイドテーブルに置き、ベッドに寝転んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ