素敵なお屋敷と
雪 瀬奈 (ススギ セナ)
+22歳。
+弥士の双子の兄。
+執行人fünf-5-。
+いつも丁寧な口調で話す。
+長い髪を綺麗に結っている。首に蛇のタトゥーがある。
+好きな物:コーヒー、銀細工
+嫌いな物:ワイン
白い外壁に、綺麗なシンメトリーの外観。
すぐ隣の庭園には真っ赤な薔薇が咲き誇っている。
噴水から流れ出る水は太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。
重厚感のあるお屋敷はまるで中世ヨーロッパのロマネスク建築を彷彿とさせる。
「凄い...........」
「ここがマリアの新しいお家だよ」
「こんな立派なお屋敷...........」
(1人で住むにはもったいなさすぎるわ、)
屋敷をゆっくりと見回すマリア。
「ボクらもここに住んでるんだよ~!」
優美の隣で悪戯な笑みを浮かべる弥士。
「今何て言った...........?」
「この屋敷はボスから私達に与えられたものなんですよ。
これから私達が貴方を他の執行人から守る為にも、
四六時中傍にいなければいけませんよね?」
当たり前だ、と言わんばかりの笑顔を向ける瀬奈。
「ちょっと待って!
私、貴方達と同じお家に暮らすの?」
「おや、嫌ですか?」
瀬奈は細い眉尻を下げてマリアを見つめる。
「嫌というか……私男の人と一緒に暮らした事とか、その………」
「無いんだ~?
意外と初心なんだね~」
弥士はからかうようにマリアの頭を撫でる。
「なっ……何よ!悪かったわね……」
「弥士、マリアをからかうのはよしなさい。
家の中は広いし、私達の部屋とは少し離れたお部屋を用意しますから。」
玄関の扉の方へ進むと、大きなお屋敷からメイド服を着た小さな可愛らしい女の子が出てきた。
「あら、瀬奈様、弥士様。おかえりなさいませ。」
「叶色さん、ただいま!」
弥士はその女の子に挨拶をすると屋敷の中に入っていった。
「さぁマリア。私達も入ろうか。」
「瀬奈様、そちらの女性は?」
女の子はマリアを疑うような目で見ている。
いつの間にかその子は入り口を塞ぐようにドアの前に立つ。
「あぁ。紹介しなければいけないね。
此方はマリア。私達の新しい仲間だよ」
「新しいお仲間……ですか」
「うん。私達が彼女のお家を燃やしてしまって住む場所が無くなってしまってね。
1番南の部屋が空いていたはずだから、そこを彼女の部屋にしてもいいかな?」
「えぇ。構いませんよ。
マリアさん、私はこの屋敷でメイドとして瀬奈様、弥士様にお仕えしております、
相羽 叶色と申します。どうぞよろしく。」
叶色は着ているメイド服の裾を持ち上げてお辞儀をする。
「よろしくお願いします」
「私は少しシャワーを浴びてくるから、マリアを部屋に案内してくれるかな?」
「かしこまりました。」
「マリア、少ししたら私が屋敷を案内するよ。
それまで部屋でゆっくりしていてね。」
「えぇ。」
瀬奈は笑顔をマリアに向けて屋敷の中へと足を進める。
「マリアさん、こちらです。」
叶色の後に続き、マリアは屋敷の中へ入る。
「あの、相羽さん」
「下の名前で大丈夫ですよ。マリアさんは私がお仕えしている主とほぼ同じなのですから。」
「じゃあ、叶色さん。
叶色さんはこのお屋敷に住んでいるの?」
「えぇ。このお屋敷の全ての家事を一任を受けていますので。
マリアさんも、何かあればすぐに私にお申し付けください。」
「メイドさんは叶色さんだけなの?」
「はい。」
叶色は少し歩いた先で足を止める。
大きな茶色の扉の横に立ち手を向ける。
「こちらがマリアさんのお部屋になります。」
マリアは大きすぎる扉を前に驚愕する。
「こんな大きな扉初めて見た……」
ふふっと叶色は笑い声を漏らして言葉を続ける。
「お部屋はとっても広いですよ。
向かいの部屋が私の部屋なので、何かあればすぐにお呼びください。では失礼致します。」
叶色は一礼すると部屋を後にする。
「凄い、こんな大きな部屋映画でしか見たことない………」
大きな開き窓、透明なガラスの花瓶に生けられた赤いバラ、
窓枠に止まる小鳥たち、爽やかに聞こえる噴水の水の音、
ここが日本だとは思えないほどの環境に少し心が躍っていた。
「夢を見てるみたい」
「君が嫌いな”非現実”な事を例えに出すなんて、もう私の影響を受けてくれてるのかな?」
「きゃっ………」
いつの間にか部屋の中に入り、マリアの横に立っていた瀬奈に驚くマリア。
耳に瀬奈の息がかかったのがくすぐったかったのか、耳を赤くして1歩後ろに下がるマリア。
瀬奈はシャワーを浴びてすぐなのか、いつも結っている髪は濡れたまま下ろされていて
先程までに綺麗なスーツを纏っていた上半身はタオルが肩に掛けられているだけで露わになっていた。
「ちょっと瀬奈!服を着てよ!」
「こういう私は嫌いかい?」
「好き嫌い以前に女の子の前でそんな恰好っ………
とにかく、早く服を着てっ!」
瀬奈の体を見ないように顔を隠しながらどんどん後ずさるマリアの腕を掴み、
腰を寄せて顔を近づける瀬奈。
「嫌っ……近いよ、瀬奈……」
「もしかして、男の裸を見たことはないの?
これも君の初めてなのかな?ははっ、嬉しいな」
「瀬奈っ、離してよ、」
「君と一緒にこの屋敷で暮らせるなんて、本当に嬉しいよ、」
瀬奈の濡れたままの髪から雫がマリアの頬に落ちる。
「君が経験した事の無い事を体験させてあげたいんだ。
他の誰でもない、私が直接ね。誰にも渡したくないんだ。」
「何言って………」
バンッ
瀬奈の唇がマリアの唇に触れる1歩手前で鼓膜を揺らす銃声が響く。
「えっ………?」
マリアが音のした方に目を向けると、サングラスをかけた青髪の男が立っていた。
「紳士ぶってるくせにえらい強引やねんなぁ、雪兄は。
職務怠慢やで、ボスにチクったろか?」




