秘密ともう1つの雪瀬奈
執行人ファイル:3
作成者:×× ××
Δボスと神、そして儀式についてΔ
・12人の執行人を束ねる”ボス”と呼ばれる存在は、神の意志を継ぐ者とされている。
執行人を占星術で選ぶのに対し、ボスは神がボスとしての適性等を見極めて選定した。
・140人のオプファーを神に捧げる執行行為及びその後に行われる儀式は100年に1度行われている。
そのたびに新しく執行人は選定されるがボスの代替わりは行わない。
・神が儀式を行うのに何故140人のオプファーの魂が必要なのかは儀式の直前に執行人に告げられる。
・過去の執行人に関しての情報開示は一切行われていない。
・140人のオプファーを執行するのに設けられている期間は1年間である。
・オプファー達の魂を捧げる為に神に謁見する事のみ許可されている。
それ以外の理由で神殿に入る事及び神への謁見は禁止されている。
・ボスの本名は不明。
・執行後執行人はボスに報告書を提出する事になっている。
それもあってか、ボスの書斎への出入りは基本自由である。
Δポイズンでの執行が禁止になった理由Δ
・執行方法については執行人に一任されていたが、ボスからの通達で2××2.01.××に禁止となった。
理由としては、魂に執行に用いた毒物・麻薬が混在し神に悪影響を及ぼす為である。
・これは15の誓約にも追記がされている。
「いいや、まだだ。雪瀬奈、貴様はもう1つボスや俺たち執行人に隠している事があるだろう?」
「ん?」
深夜に雪兄弟の元を訪れたゲオフ・フィガーは雪瀬奈に問いかける。
「俺が言ってやらなきゃ分からないか?」
先程まで目を泳がせていたゲオフは何か切り札を見つけたかのように口角を片方上げていた。
「見当もつきません。」
ゲオフはゆっくりと気付き瀬奈の耳元に口を寄せる。
「執行人eins-1-の殺害」
「っ………!!」
瀬奈はゲオフの口から発せられた言葉を聞いた瞬間、
ゲオフの首に両手を当て絞める様に力を込めた。
「くっ……………」
「何処から聞いた。」
「ふ、ふはははは!!!!」
首を絞められているにも拘らず、声を高らかに笑い声を上げるゲオフ。
瀬奈は鋭い眼付きでゲオフを睨みつける。
「やっぱり……これは本当だったのかっ………!
ははは、偽善者が………!
貴様が、einsを殺した時のように、俺の事も殺してみろ!!!!」
「はっ………」
瀬奈の耳にゲオフの声が再び届いた瞬間、瀬奈は手をゲオフの首から放した。
「ふははは、どうせあのバカ弟も知らないんだろう?
貴様、15の誓約を覚えていないのか?
それとも、ボスのお気に入りだから贔屓されているのか?
15の誓約、4,執行人同士の殺し合いを禁ずる。だろ?」
瀬奈は地面に蹲っていた。
全身からは汗が吹き出し、少しパニック状態になっているのか、小声で理解不能な言葉を呟いていた。
「良い眺めだぞ、雪瀬奈!!」
その様子を見て高笑いを続けるゲオフ。
「っはは、あの稲荷杏がまた気色の悪い話を持ち出した時は当てにしていなかったが、
たまにはあいつも役に立つものだ。
さて、雪瀬奈をボスのお気に入りから俺の奴隷にする最初のステップが完了したわけだが……」
ゲオフは蹲る瀬奈の腹めがけて足を蹴りいれる。
「ぐっ……!ごほっごほっ………」
「他の執行人達やボス、貴様の可愛い無能な弟に知られたくないだろう?
なら、何をすればいいか分かってるよな?」
ゲオフはしゃがみ込み、瀬奈を挑発する。
「まずはどうしようか、足でも舐めてみるか?いいや、俺が汚れてしまうな。
どうだな、この事を誰にも言わないで下さい、と犬のように強請ってみろ。
おら、立て。あぁ、犬は4足歩行だったな、じゃあお座り、やってみろ。」
ゲオフは瀬奈に対して命令するが、一向に蹲ったまま動かない瀬奈。
「おい貴様、もう俺の奴隷なんだぞ、奴隷の分際でご主人様を無視していいと思っているのか」
バンッ
ゲオフが瀬奈の顔を上げさせようと触れたその時、1発の銃声が響き渡る。
「なっ………」
瀬奈は何処からか拳銃を取り出しており、その拳銃を使い1発でゲオフの脳天を撃ち抜いた。
ゲオフの額からは血が噴き出していた。
彼の真下に位置していた瀬奈はその返り血を身体全体で浴びた。
「誰が奴隷だ、クソドイツ人」
瀬奈の視界が真っ赤に染まる。
瀬奈は覚束ない足取りで倒れたゲオフに近寄り、
手に持っていた加藤優美の執行報告書を粉々に破り捨てた。
「こいつ、どうしよう」
自らの屋敷の前で血に倒れるゲオフを見下ろす。
「誰にも”ソレ”はバレてはいけない。
お前が解いたんだ、ゲオフ・フィガー、お前のせいでっ………!!」
瀬奈はいつもの優しく丁寧な雪瀬奈を忘れたのか、怒りに任せ、
倒れているゲオフにもう1度拳銃を向ける。
「お前が悪いんだ、お前が!!!!!」
「せ、な?」
引き金を引こうとした瞬間、彼女の姿が見えた。
血まみれになり知らない瀬奈が拳銃を死体に向けている姿を
恐怖に染まった表情で見つめる、マリアの姿が。




