3日目 〜ふたりで〜
目が覚めた。
木造の天井、台所でおばあちゃんが朝ご飯を作ってくれてる音。
起きてぼけーっと朝ご飯を食べる僕。
ふと思った。(今日も集合するのかな?)
昨日あんなことがあったから集合しないかもしれないと思った。
スマホもないし連絡はとれない。
とは言っても家にいてもすることはないから一応駄菓子屋に行ってみることにした。
駄菓子屋につくとツヨシが本を読みながらベンチに座っていた。
「おはよ!」
「おはよう。昨日は大変だったね。」
よかった。いつも通りのツヨシだ。
でも昨日のツヨシのビビり様は正直面白かった。
さすがに言わなかったけど。
「おはよぉ」
ハルも今日は遅刻せずに来た。
続いてカズマも来た。
「おはよ~。昨日はごめんね~」
カズマは少ししょんぼりしていた。
「大丈夫だよぉ。ルナと仲直りした?」
「いや、まだしてない。何度か連絡したけど全部無視されてる・・」
「まぁあんだけ怒ってたからねぇ」
「ちょっとやりすぎたかなって反省してます・・」
ルナはこなかった。
カズマは仲直りしたい様なので、みんなでルナの家に行くことにした。
(コンコンッ)
「おはようございま~す」
(・・・・)
返事がない。
「わたしがルナの部屋行ってくるよ」
ハルはそういって家に上がっていった。
僕たちは家の前で待っていた。
30分くらいしてハルが出てきた。
ハルの後ろには不機嫌そうなルナがいた。
「ルナごめん!!今回はちょっとやりすぎた!」
カズマは土下座までして謝った。
するとルナはもじもじしながら言った。
「もうあんなことしないでよね・・」
それを聞いたカズマの顔はパァっと明るくなるや否やルナに抱き着いた。
「わたしに感謝してよねぇ。ルナ説得するの大変だったんだから。」
「ハル様!ほんとにありがと~!」
「んで!今日はなにしよっか?」
「バーベキューとかどう?迷惑かけたお詫びに奢ります!」
「いぇーい!」
というわけで今日はバーベキューをすることになった。
既にケロッとしているルナがカズマに話しかけた。
「場所どうする?」
「俺んちでもいいけどいつもうちだもんなー」
「たまには気分変えて他のところでする?」
「うーん・・そうだ!リョウのばあちゃんちとかは!?」
「えっ!?僕のおばあちゃんち!?」
「そうそう!ダメそう?」
「たぶん大丈夫だけど・・」
「じゃあ決定!」
僕のおばあちゃんの家でバーベキューすることになってしまった。
おばあちゃんは優しいし断るはずがないだろう。
その後みんなでスーパーで買い出しをしておばあちゃんの家へ向かった。
(ガラガラ)
「おばあちゃーん!!」
「友達連れて来たんだけど、庭でバーベキューしてもいい?」
「ええよぉ」
当然OKもらえた。
カズマとツヨシが庭にバーベキューセットを出して火起こしを始めた。
さすがに手馴れてる。
「おばあちゃん!台所借りますねー!」
ルナは野菜を切り始めた。
僕はなにをすれば良いかわからなかったからとりあえずコップに飲み物を注いだ。
ハルはおばあちゃんのところに行って話をしてた。
少しして「なるほどねぇ」と言いながら帰ってきた。
「おばあちゃんと何話してたの?」
「んー。内緒!」
「えー気になるなぁ・・」
内緒と言われるとすごく気になってしまう。
友達のおばあちゃんに初対面で話すことなんてあるのだろうか。
気になりながらも僕はバーベキューを楽しんだ。すごく楽しかった。
この時すでに僕は帰りたくないと思っていた。
ずっとこの島にいたいと思った。
たらふく食べて炭が消えたころルナがごそごそと袋を漁りだした。
「じゃーん!!さっきこっそり買っちゃった!」
ルナはそう言って花火を取り出した。
ルナのファインプレーにみんなのテンションは上がった。
わいわい花火を楽しんでいるみんなを見ながら縁側でくつろいでいると隣にハルが座ってきた。
「ねぇねぇリョウ」
「んー?」
「明日ふたりで遊ばない?」
「ふ、ふたり!?」
ビックリした。どうゆう事かわからなかった。
島では男女ふたりで遊ぶのが普通なのか?
「明日ツヨシはお父さんの手伝いでこれなくて、ルナとカズマは仲直りしたから2人でデートするんだってぇ」
「あ、あー!なるほどね!」
「どしたの?」
「いや、ちょっとびっくりして・・」
「んー?まぁいいや。じゃあ明日は10時にうちにおいでね」
「う、うん!」
(女の子とふたりで遊ぶ約束をしてしまった・・しかもハルの家・・)
人生で初めてのことだった。
しばらくはしゃいだらみんな帰って行った。
僕はハルとおばあちゃんが何を話していたのかが無性に気になった。
我慢できず、おばあちゃんに聞いてみた。
「さっきハルと何話してたの?」
「んーさっきねぇ。なにを話したっけねぇ。」
「頑張って思い出して!お願い!」
「リョウのことだった気がするんだけどねぇ。ごめんねぇ。」
(そんなぁ・・)
余計に気になってしまった。