2日目 〜集合〜 前編
朝が来た。
目を開けると知らない天井。
台所からは包丁の音が聞こえた。
おばあちゃんの作ってくれた朝ご飯を食べて、僕は約束通り10時に駄菓子屋へ向かった。
駄菓子屋に着くと眼鏡をかけて本を読んでいるイケメン男子がいた。
年が同じくらいだったのですぐにハルの友達だと気づいた。
声をかけようか悩んでいると
「君がリョウくん?」
先に話しかけてくれた。
コミュ障の僕からしたらすごくありがたい。
「は、はい!」
「ハルがごめんね。嫌じゃなかった?」
「大丈夫です!むしろ嬉しかったです。」
よかった。優しそうな人だ。
彼はツヨシという名前らしい。
自己紹介をしていると曲がり角から男女が出てきた。
「おつかれ〜。おっ!君がリョウくんか!よろしくね〜」
少しチャラそうな男の子。
これまたイケメン。
この2人は手を繋いでいた。
「わたしがルナでこっちがカズマ!よろしくね!」
みんないい人そうで安心した。
「ハルこないね~」
「またかよ」
どうやらハルは遅刻の常習犯らしい。
みんなでハルの家に迎えに行くことになった。
5分ほど歩くと昨日見た小さな神社についた。
この横にある家がハルの家。
ハルは神社の娘らしい。
玄関に着くとカズマがドアを開けて言った。
「おばさ〜ん!おはよ〜!」
家の奥からハルのお母さんらしき人が出てきた。
「いつもごめんねぇ。こらハルー!起きなさーい!!」
どうやらハルはまだ寝ていたらしい。
少しすると2階から眠たそうなハルが降りてきた。
「みんなおはよぉー・・・そうだった今日リョウの日じゃん!!急いで支度するから待ってて!!」
ハルはドタバタと支度し始めた。
「おまたせぇ!今日はなにしよっか?」
いつも遊ぶ内容は集合してから決めるらしい。
「今日はリョウくんに島を案内してあげない!?」
「いいねいいね!」
ルナの意見にみんな賛成した。
みんなは僕に3箇所案内してくれた。
通っている学校。
よく大物が釣れると噂の堤防。
神社。
神社の椅子に座って休憩しているときハルが言った。
「この神社はね、島のみんなを守ってくれる神様がいるんだぁ。」
「神様かぁ」
「お願いしたら叶えてくれるって噂もあるよ。あんまり大きなお願いはダメみたいだけどねぇ。」
僕はあまりそうゆうたぐいのものは信じてはいなかった。
その後もみんなと色々な話をした。
都会での流行りモノや友達のことや恋愛事情など質問責めにあった。
答えられるものはほとんどなかったけどみんなとの時間は楽しかった。
しばらくするとカズマが伸びをしながら言った。
「腹減った~。ぱんぷきんでも行くか~。」
時計を見ると既に14時だった。
ぱんぷきんとは港の近くにある島出唯一の喫茶店。
早速みんなで向かった。
(カランカラン♪)
「いらっしゃ~い」
「キョーコさん!今日は5人だよぉ!」
「あら珍しい。ゆっくりしていってね~」
カウンターには綺麗な女性とニコニコしたおじさんがいた。
親子で経営しているそうだ。
店内はカウンター席が5つ、テーブル席が3つの小さな喫茶店だった。
お昼ご飯には少し遅い時間だったからか、お客さんは僕たちだけだった。
「リョウは初ぱんぷきんだねぇ。なに食べる?」
メニューにはすごく沢山の料理が載っていた。
王道の料理から変わったものまで。
「じゃあオムライスにしようかな」
「おぉーわかってるねぇ。ここのオムライスはすっごく美味しいんだよぉ。わたしもオムライスにしようかなぁ」
ツヨシはそれを聞いて呆れ顔で言った。
「しようかなぁって。ハルがここでオムライス以外のもの頼んでるのみたことないけどな。」
ハルはオムライスが好きらしい。
結局みんなオムライスを頼むことになった。
「キョーコさん!オムライス5つくださーい!3つは大盛で!」
「はーい」
しばらくして5人分のオムライスとオレンジジュースが到着。
高校生以下はオレンジジュースがサービスでつくらしい。
とろとろの卵にデミグラスソースがかかっているオムライス。
見るからにおいしそうだ。ただ量が多い。
「いただきます」
スプーンを刺して一口食べた。
うまい。うますぎる。
ハルがこれしか頼まないのにも納得だった。
みんなお腹が空いていたせいか無言で食べきった。
一番最初に食べ終わったハルが言った。
「おいしかったぁ。やっぱこれだよねぇ。」
満足そうな顔をしていた。
二番目に食べ終わったルナが言った。
「このあとなにしよっか!」
「あ、そういえば家にスイカあったな~。デザートがてらみんなで食べるか?」
「カズマんちしょっちゅうスイカあるよね笑」
「隣のじいちゃんがよくもってきてくれるんだよね~」
「これたぶん田舎あるある」
「かもな笑。そんで夜は学校に忍び込んで肝試しやらね~?」
「いいね!やろやろ!」
「まじか・・」
ルナもハルもノリノリだったがツヨシだけ乗り気じゃなかった。
その後カズマの家でスイカを食べて夜まで解散することになった。