表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

1日目 〜出会い〜

「早く準備しないとフェリーに遅れるよ!」


ぼやけた目を擦りながら時計を確認する。

5時・・・

3秒くらいフリーズしてやっと理解。


「なんで早く起こしてくれなかったんだよー!」


今日から夏休み。

今年の春から高校に通っているが、特に仲の良い友達もできていない僕は家で一日中ゲームをしまくる予定だった。それを先読みした母さんからの命令で、一週間祖母のいる島で生活することになった。

おまけにスマホも家に置いていけとのこと。最悪だ。


「車で待ってるから早く来なさいね」


前日から準備をしていなくて慌てている僕に母は呆れ顔。

僕はタンスの中の服を鞄に適当に詰め込んで急いで車に乗った。


一時間程車で走って港に到着。


「島に着いたらおばあちゃんが迎えに来てくれるからね」


母さんはそう言って僕を車から降ろした。

時間に間に合った僕は小さなフェリーに乗り込んだ。

少しドキドキしていた。

フェリーに乗るのは小学生以来だったからだ。

しかも今回は一人。


フェリーが出航してしばらくは海を眺めていたが、それもすぐに飽きてしまい席に座ることにした。


しばらくすると同い年くらいの女の子が話しかけてきた。


「ひとりぃ?」

「んヴぇっ・・」


急に話しかけられてびっくりした僕はすごく変な返事をした。


「笑。ひとりなの?」

「ひとりだよ」


すると女の子は笑みを浮かべながらデッキに出て海を見に行こうと誘ってきた。

(コミュ力高すぎ。可愛い。海はさっき見たけど。てかなんで急に話しかけてきた?)

色々なことを思ったけど黙ってついて行った。

二人で黙って海を見てた。なぜかずっと沈黙。

気まずい。

既に気付いているだろうが僕はコミュ障だ。


5分ほど海を眺めて彼女は突然話し始めた。


「自己紹介まだだったねぇ。わたしはハル!君は?」

「リョウです」


やっと沈黙が解けた。

白いワンピースにサンダル、おまけに麦わら帽子。

彼女は名前に反してすごく夏っぽい恰好をしていた。


「私ね、3日間だけ島を出た友達に会いに行ってたんだぁ。やっぱり都会はすごいねぇ」


どうやらハルは島の子らしい。

僕も島へ行く理由や経緯を話した。

するとハルは言った。


「じゃあ島にいる間遊ぼうよ!」


僕は嬉しかった。

なんせ一週間も島にいるのだから退屈で死んでしまうのではないかという不安があったからだ。


この後も他愛のない話をした。

するとポツポツと雨が降ってきた。

徐々に雨も強くなり、雷までも鳴り始めた。

さっきまですごい晴れてたのにと話しながら僕たちは船内に戻った。


席についてしばらくハルと話していたが、嵐で揺れる船のせいで僕は具合が悪くなった。

「寝てなぁ?」と言われ、お言葉に甘えて寝ることにした。


・・・・・・・


(ピンポンパンポーン~♪まもなく港へ到着します。着岸するまで席に座ったままお待ちください。)


船内アナウンスで目を覚ました。

隣にいたはずのハルは既にいなくなっていた。


船が着岸して島に到着。

さっきまでの嵐が嘘だったかのように晴れていた。

船を降りて周りを見回したがハルはいなかった。

(先に帰ったのかな?挨拶くらいしてくれればよかったのに)

そんなことを思いながらおばあちゃんの迎えを待った。

しかし30分ほど待っても迎えは来ない。

僕はおばあちゃんが心配になり、家まで歩いて行くことにした。

小さな島だ。20分も歩けば家まで行ける。

行く途中には喫茶店、スーパーや立派な神社があった。

どこを歩いていても海が見える綺麗な場所だ。

強い日差しの中汗だくになりながら歩き、やっと到着した。

おばあちゃんの家は古い木造の家で、庭に盆栽、昔ながらの縁側がある【The おばあちゃんち】だ。

小さいころ来た時となにも変わっていない。

僕は少し建付けの悪い扉を開けて言った。


「おばあちゃーん!!」


すると奥の部屋からおばあちゃんが出てきた。

久しぶりのおばあちゃんだ。

とりあえず無事で良かった。


「なんで迎えに来てくれなかったんだよー」


するとおばあちゃんは難しい顔をして言った。


「誰だったかえ・・?」


おばあちゃんは最近ボケはじめたと母さんは言っていた。

でも僕を忘れているなんてちょっとショックだ。

「孫のリョウだよー」と言うと理解したようだ。


久しぶりのおばあちゃんの家とおばあちゃん。

久しぶりなのに不思議と落ち着いた。

おばあちゃんは僕が一週間泊まる部屋を用意してくれた。

といっても布団と小さな机があるだけの部屋だ。

ほっと一息。落ち着く空間。

(ぐぅ~~~)

時計を見るともう15時だ。

(具合が悪くて寝てたからご飯食べてない・・・)

おばあちゃんの家へ来る途中にスーパーがあったのを思い出し、散歩がてら食べ物を買いに行った。


スーパーに到着し、菓子パンを2つと飲み物を買って店を出た。

すると店の前に短パンにTシャツの女の子がいた。

そして見覚えのある麦わら帽子。ハルだ。


僕は駆け寄り声をかけた。

「ハル!」


ハルは振り向いて「きゃっ!!」と言い飛び上がった。

(そんなにびっくりしなくても・・)


ハルはすごく嬉しそうにこっちを見て、急に抱き着いてきた。


「リョウ!久しぶりぃ!」


相変わらず不思議な子だ。

何を考えているかわからない。


「そうだ!明日ひまぁ?」


「ひまだよ」と答えるとハルは近所の友達との集まりに僕を誘ってくれた。

買ったパンを食べながら1時間程話をした。

ハルいわくこの島に高校生以下の子供は20人ほどで、

高校生はハルを合わせて4人しかいないとのこと。

この4人はいつも一緒で休みの日は毎日朝の10時に近くの駄菓子屋前に集合するらしい。

明日を楽しみにして僕はおばあちゃんの家に帰った。


家に着くとおばあちゃんがご飯を作って待っていてくれた。

田舎の晩御飯は早い。

良くわからない山菜ばかりの田舎料理だ。

(さっきパン食べちゃったからお腹減ってないな)

なんて思いながらも申し訳ないので無理して食べた。


その後は夜までぼーっとテレビを見て過ごした。

少し早いけど今日は疲れたから寝ることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ