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彼女が彼女になる前のこと  作者: 説那


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第十二話 アメリア

 私が目を開くと、目の前に金色の瞳があった。

「エンダーン様?」

 名を呼ばれた彼は、その顔を分かりやすく、安堵の気持ちからか緩めた。

「よかった。うまくいったようだ。アメデ。」

「アメデ?それが私の名前ですか?」

 彼は私の言葉を聞くと、身体の動きを止めた。が、しばらくすると、苦笑して言った。

「いや、そなたの名前はアメリアだ。」

「アメリア・・。」

 自分の名前を繰り返しながら、私はその場で体を起こそうとする。

 左手が何かをつかんでいて、身体が引かれた。

 自分の左手は誰かの手を握っていた。そのまま視線を手の先に向ける。


 漆黒の髪の青年が、私と並ぶように床に横たわっていた。エンダーン様と同じくらいの年齢だろうか?わずかに笑みを浮かべているように見えた。

 私が彼の手を引いても、身体は少しも動かなかった。

「彼は誰ですか?」

 私の傍らに片膝をついていたエンダーン様に問いかけた。エンダーン様は私が握っていた彼の手を外し、代わりに自分が握った。

「彼がアメデだ。先ほど死んだ。」

「そうですか。彼と私はどんな関係だったのでしょう?」

 彼が死ぬ直前まで、手を握っていたのだから、何かしら近い関係があるのだろう。

「強いて言えば、兄妹・・かな。」

「私の兄ですか。でも、死んでしまったのですね。」

 私は自分のことは何もわからなかった。その名前も、もちろん、兄であるその彼も知らない。でも、不思議と恐怖は感じなかった。エンダーン様が側にいるからかもしれない。


 エンダーン様は、彼の手を握っていたところから、青い炎を発した。

 炎は、兄の身体を包み、あっという間に彼の身体を焼き尽くした。骨も何も残らないほどに。その炎はとても美しかった。

 エンダーン様はしばらく自分の手を見つめた後、こちらに向かってその金色の瞳を向けた。

 その目が潤んでいるように感じたのは、私の気のせいだったのかもしれない。


「目覚めてすぐではあるが、そなたには使者として行ってもらいたいところがある。」

「どちらでしょう?」

「・・我が弟、カミュスヤーナの元に。」

 私に向けて、エンダーン様はとても美しい笑みを浮かべた。私はその様子を見て、うっとりとし、ほうっと息をついた。


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