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質疑応答一回目

 色々バレたせいか、光は質問をすれば何でもはぐらかさずに答えてくれるようになった。


 この塔は光の魔力で造った『光の蛇』の殻のようなものらしい。窓の外の景色は好きな映像に変えられるから、希望があれば聞いてくれるそうだ。


「と言うことは、今もこの中にワンブックが・・・」


 と光の腹を撫でたら、「本当に物怖じしない子だねぇ」と笑いながら肯定された。

 前に、塔のキッチンの食材を出せる戸棚や私が貰ったウエストポーチから出した物が窃盗に当たらないのか訊いたことがあったけど、あれらから出て来るものは全部光の物だから気にしなくていいと言われてたんだよね。

 一点物は無くなればバレるかもしれないけど、必要なら出して使っていい。とも言われたから、消耗品以外は「借りたら返す」ようにしていた。

 今のワンブックは、光の腹の中で光の生命力で生かされているから、ワンブックのものは何もかもが真の所有権は光にあるそうだ。

 食材が出る戸棚とウエストポーチは、光の腹の中と制限付きで空間を繋げてるだけらしい。

 制限は、「生きてる物は出せない」なんだけど、光の腹から出すと光から与えられた生命力を維持することが出来なくなるから付けた制限なんだって。

 シェードは何度もこの塔に来てるけど大丈夫なのか訊いたら、まだ若くて元が神獣の神で体力馬鹿だから、光の腹から出しても水から出した魚みたいなもので、すぐに戻せば問題無いらしい。


 塔は光の魔力で「造った」と言われて、何かニュアンスが違うなぁと気になったので訊ねてみたら、想像以上に大きなワンブックの問題を聞かされた。


 ワンブックにおいて、「創る」つまり「創造の力」を持つのは、既に死んでしまった「世界」だけだそうだ。

 光ですら、自分の魔力を具現化して「造る」ことしか出来ない。

 世界が死んだ後のワンブックで新しい生命体を誕生させるには、世界が創ったものやその子孫が繁殖するしかない。

 生前の世界が創り出した魂の数は変わらないから、入る器が減り過ぎると、生まれ変わる前の魂の待機所が許容量オーバーになる。

 許容量オーバーで待機所から溢れた魂は消滅してしまうけど、新しい魂を創れる存在はもう死んでるから、結果としてワンブックの人口は減少して回復することが不可能になる。

 ちなみに、この世界で魂を持つ生き物って「ワンブック人」と呼ばれる者達だけで、動物とか魔物とかには本能や意思があっても魂は入ってないんだとか。一寸の虫にも五分の魂という諺のある国で育ったから、ちょっとカルチャーショック。


 てことは、ワンブック人の種族一つ滅亡させたナルシスト王子のやったことって、ワンブック的にはこれ以上無いくらいの大罪なんだな。


 世界が定めたワンブック人の誕生システムは、以下のようなものらしい。


 1;待機所でしっかり洗浄された魂に、寿命の異なる種族ごとの「基礎力」を与える。寿命が長いほど基礎力は多い。

 2;基礎力が与えられた魂に、その時点で余剰している「回収された力」をランダムに割り振る。

 3;洗浄して力を持たせた魂を、繁殖が成功した種族ごとの器に送り込む。

 

 力の回収とは、器が死んだ魂が待機所に運ばれて洗浄前に行われる、その魂が持っていた力の回収で、回収された力は一箇所に溜められ、次世代の基礎力やプラスαに再利用する。

 ワンブック人が与えられる力の総量は、最初に世界が用意した当時から変わらないから、人口や魂が激減すると、魂が受容できないレベルの力を持って生まれてしまう人も出て来るので、魂が歪んだり汚れたりしやすく、犯罪行為に走ったり力に振り回されて自滅する。


 この誕生システムは、魂の洗浄と力の回収はそれぞれ洗浄の神と回収の神の仕事だけど、力を与える工程は、世界が遺した自動システムをそのまま使ってる。

 種族一つ滅亡させたナルシスト王子の誕生の時は、その自動システムのバグで余剰している力が全部ナルシスト王子の魂ただ一つに与えられてしまったらしい。

 誰も世界が創ったシステムに手は出せないから、バグはそのままで、他の要因を潰すようにして再現を回避することにしたそうだ。


 その「他の要因を潰す」為に必要なのが、人口が激減する原因の排除と、魂の入れ物の繁殖。

 人口が激減する原因の排除は、私が任務で担っているんだそうだ。

 私が担っているのは、世界の創ったものに干渉することになるから世界に創られたものが担うことの出来ない役割で、シェードが私のサポートしか出来ない絶対的理由はそれだとか。

 光は世界に創られた者じゃないけど、力加減が出来ないので直接手を出さないことにしている。ナルシスト王子の時に直接手を出したために、現在腹の中に戦争の種になりかねない魂が散らばってしまっているしね。


 魂の入れ物の繁殖に関しては、教会を持つ神は皆、性交渉を勧める神託を不定期に下している。

 繁殖には男女での性交渉が必要なのに、教会が同性愛を禁じないのは何故か訊いてみた。

 性交渉は魔力の交流でもあるので、繁殖目的ではなくても行うことが望ましいそうだ。

 ただし、肉体が未成熟だと交流した魔力によっては体内で魔力暴走が起きて死ぬこともある為、子供との性交渉は禁止されている。

 あのロリコン優遇措置は、戦争で出産可能な女性が減ったから、貧しい戦後の最中でも生まれさえすれば生きられる「国王の子」として人族の魂の入れ物を増やす為の策だったと言う。

 策を考えたのは光で、神に神託を下させて法整備をしたんだけど、永遠に生きる光の時間感覚はズレてるから、ロリコン優遇措置を取り下げないまま放置していたらしい。

 成人同士の魔力交流が推奨される理由は、魔力交流の経験無しで死ぬと、魂を洗浄してもプラスαの力が多く引き寄せられるクセが消えないから。つまり、誕生システムのバグを誘発する可能性が高くなってしまう。魔人族の吸血種にとって美味しい血になる為じゃないんだよ。

 同じ肉体で長く生きた魂ほどクセが強く残るから、子供が魔力交流未経験で死んでもナルシスト王子の時ほどのバグが起きる可能性は低いけど、魔力交流をしないまま長生きして死ぬと、最悪のバグが再現されるかもしれない。

 だから、同性異性構わず、成人したら死ぬまでに性交渉は済ませておきましょうね、ということで、愛とか美しい文言で事実を隠しながら、神は教会を使って性交渉を推奨している。


 教会が成人同士の性交渉を推奨していることもあり、娼婦や男娼が地球と同じような理由で蔑まれることは無いそうだ。

 彼らを下に見る者が一定数存在するのは、性行為を売る以外に稼げる資質が無いと思われるからだと聞いた。

 貧しい家の子供が成人したら娼館に売られるとか、借金返済のために娼館で働く人は少なくない。

 でも、自ら望んでいないなら、必要な額を稼いだら他の仕事に就くのが一般的だ。他人との交流が多い仕事なのだから、努力すればコネも作れるし、才能を売込めば転職のチャンスも有る。

 努力も向上心も才能も無いと思われると蔑まれるが、望んで娼婦や男娼を続けて高いプロ意識と技術を持つ者は、他業種の者と同じく一目置かれるそうだ。


 と言うような話を、シェードを腹の中に帰した光と並んで座り、銀色の液体を飲みながら聞いた。

 これは体液じゃなく魔力を液体にしたもの。体液じゃない。

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