第二王子からの解放
「スカーレット!お前とは婚約破棄をする!私には心の底から愛する者ができたんだ!お前のような、偽りの愛ではなく!本当に愛するものをな!」
「エリックゥ~、ミーラァ~こわいよぅ~」
私は、今何を見せられているのか。
私の元?婚約者さんが男爵家の娘と親密な関係になっているとは知っていたが、ここまで頭が悪いとは思わなかった。
国王に許可取らないで婚約破棄って...後々大変よ?
あっ、大変なのは私じゃなくて第二王子自身ね。
「ハァ疲れた...」
おっと、心の声が漏れてしまったみたいね。
まぁこれ程度の脳みそしかない人間には敬語使う必要ないと思うけど、一応念のためにね、丁寧にしないと。
「な、なんだと!?この国の第二王子のエリック様に対しての物言いは何だ!!」
なんか王子の取り巻きの人がすっげぇキレてるけど...カルシウム足りてますかー?
「婚約破棄とか勝手にしててください。用事はこれだけですか?」
第二王子の周りの人達が騒いでいた。
「不敬罪だ!牢屋にぶち込んでやれ!」
「王族にそんな口きくとは...教育がなってないようですね。フン!」
「そんなんだから、王子に捨てられたんじゃないの?」
虫の音がうるさくて耳障りなので、
「では、ごきげんよう」
屋敷に帰るとしますか。
部屋から出るときに後ろから
「ス、スカーレット!いいのか!?本当にいいのか!?」
と聞こえたが...本当にうるさい虫だ。
呼び出された部屋から出ると私より10歳年上で小さいころから私の執事をしている砂漠の国出身のジャファルがドアの傍で待っていた。
「スカーレット様、お疲れ様です。」
口だけ微笑んでいたジャファルだが目が全然穏やかじゃなかった。
小さいころから彼といた私はわかる。これは相当、怒っているときの目だ。
「あぁ、こんなゴミ溜めのような場所、...やはり虫しかいませんね。気高く美しいバラは虫が周りを飛んでいても美しいバラであることに変わりはありません。でも、盲目な虫達はそれをバラだと気づかない。虫って腐敗している果実に群がるのですよ。このゴミ溜めはバラの価値がわからない、腐敗している果実にしか群がらない虫達にはお似合いの場所ですよ。」
なんかすっごい口悪いよね。君。
長い廊下を歩きながらジャファルの悪口を聞き流す。
聞こえる音は私のヒールの音とジャファルの足音だけ。
「ジャファル、第二王子の取り巻きが聞いたら不敬罪で牢屋に入れられるわよ。」
そろそろ、人の気配がしてきたのでジャファルには黙ってもらおう。
「おっと、申し訳ございませんスカーレット様。ジャファル、少々おしゃべりが過ぎたようです。」
「えぇ、そのようね。続きは馬車の中で話しましょう?ジャファル、あなたの意見が聞きたいわ。」
「スカーレット様に意見を聞かれるとは、このジャファル光栄に思います。」
ジャファルがわざとらしく頭を軽く下げていた。
校門には我が公爵家の家紋が付い少しだけ金色の装飾が付いた黒色の馬車と黒い馬二匹、10歳のころに森で見つけた可愛いレオとルーカスが待っていた。
「スカーレット様!待ってましたー!」
御者のマシュー。マシューは屋敷の使用人の子供で、小さいころからよく遊び相手になってもらっていた、いわば年上の幼馴染ってやつだ。でも勘違いしないでほしい、マシューと私の間にあるのは兄弟愛のようなものだ。これが恋愛に変わることは決してない。
なんでかって?マシューの同い年の妻、メアリーもまた私たちの幼馴染で、私の親友でもあるからだ。
因みに二人の子供達の名づけ親は私である。我が子のように可愛い子供達だ。
そもそも私はマシューではなく、
チラッ
馬車に乗り込むとき私の手を取っているジャファルをチラリと見た。
ジャファルのような男が好きだ。
褐色の肌に色素が薄い髪の毛、そして太陽のような温かい琥珀色の瞳。それに、この筋肉が多すぎず少な過ぎない、丁度いいぐらいの筋肉がついている体系。私の好みど真ん中ドンピシャだ。その瞳に見つめられるたびに心臓らへんが温かくなっている気がするけど、心臓の病気なのだろうか。心配だ。




