決断するイグゼレム
俺は今、一体何を考えた。子ども達を危険に晒すぞ。
生徒を子の場に来させてはならないという、敵の思惑に乗る形になってしまうが。なってしまうがしかし。我々は、誇り高きレオナルド魔導学院の教育者だ。敵の捕獲対象が教師陣であり子ども達では無いと読めた以上、子ども達を危険に飛び込ませる訳にはいかない。たとえそれが、現状において最も効果的な戦術だとしてもだ。
バチッという音がして、瞬間的にイグゼレムの身体が光り始めた。それは、昼間だというのに当たり一体を一層明るくするエネルギーであった。見やると、敵の男達は即座に眼を手や腕で覆い隠しながら、必死の様子で後退していく。
「む」
「ノータイムかよ!?」
「【電撃の被膜】!!!」
イグゼレムの全身から迸る電流。足を付けている地面には、まるで剣で切り裂いたかの様な亀裂が走った。今のイグゼレムは、正に雷そのもの。少し遅れて、バリバリバリという激しい衝撃音が一面に響き渡る。常人ならば耳を覆いたくなる轟音である筈だが、2人は動じる様子も無かった。
「流石、あいつが“警戒しろ“と言っていただけはある」
「“机上のイグゼレム“。その名に違わぬ実力者ってやつか」
いたって冷静。表情筋に動きが感じられない。「なるほどなるほど」とでも言いだけな、俺の実力を測っている様だ。装っているという雰囲気では決して無かった。違わぬ事実として、彼等は落ち着きを払っている。
イグゼレムは再び通信機器を握り締めた。敵はまだ底を見せていない。距離を取らせた。そして敵自身、俺の様子を窺っている今。今こそが好機。いや、寧ろ今を逃せば容易に連絡を取る事さえ出来ないかもしれない。
「追加連絡。一度しか言わんからよく聞きなさい。我々は、プランBに移行する・・・!!!」
「プラン・・・Bねえ」
リーダー格の女の呟きは、雷の音に掻き消されていた。




