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50世紀青年〜不死身が死ぬまで〜  作者: 過猶不及
第二部

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敵の狙いは・・・

 イグゼレムが鋭い眼光で睨み付けると、敵は後方へ飛んで距離を取った。


 イグゼレムはゆっくりと、しかし確実に追撃を逃れる為に一切の油断をせずに、立ち上がった。その眼は敵3人を捉え続けている。敵は互いに目配せをしており、何やら秘密のやり取りを行なっている様だった。


 何かがある。この襲撃には生徒を狙うのでは無い何かが、先程からチラチラと見え隠れしている。イグゼレムは状況の整理を試みる事にした。時間にしてほんの僅かである。脳の思考領域を、眼前の敵以外に使用するのは中々にリスキーな事である。しかしこの試験の最高責任者である自分には、現状を分析し決断を下す義務がある。やらなければならない、生徒の為にも。俺をこの場の長であると快く認めてくれた仲間の為にも。


 そんな状況を見逃してくれる訳も無かった。敵は遂に攻撃を再開せんと体勢を整える。女は右手に持つ短剣と左手の拳銃を握り直す様子が見られた。その女を挟む様に立つ2人の男は、手を握ったり広げたりを繰り返し、両手の緊張を解している様であった。


 襲撃からは、既に数分が経過していた。


 このままズルズルと指示出しを遅らせるのは悪手だ。決断と行動は早いに越した事は無い。


 だが敵の思惑を看破せず動く事もまた、不測の事態を誘発する危険を伴う。


 何故、生徒を逃す事を促した。


 “取り逃がす“の真意は何だ。


 敵はプランAの意味を知りたがっている。


 “今回の仕事こそが“・・・


 敵の気合いの入れようが窺える。


 敵の狙いは、教師か。


 男2人が一斉に此方に向かって飛んで来た。やはり悠長に待ってはくれない。タイムリミットの様だ。しかし、イグゼレムはまだ思考を止める訳にはいかなかった。

 

 敵2人の殴る蹴るをかわしながらも、依然としてイグゼレムは考えていた。


 敵は、仕事の邪魔を恐れている。だから、生徒をこの場から引き離したかった。レオの生徒の実力は、熟達した魔法使いにも引けを取らない。ただでさえ魔導師の多いレオの教師陣に、それらを加えてしまえば仕事の成功率は格段に下がってしまうだろう。


 此処へ来る前日、彼等を見たという老夫婦が現れた。それによれば、彼等は捕獲対象に対して自らを宇郷ノ衆と名乗ったという。宇郷ノ衆。実際に目にした事は無い。かつて存在した、どの国にも属さず各国を転々と渡り歩いたという伝説の“何でも屋“。裏の仕事が多かったにも関わらず、暗躍しすぎて構成員の素性がほぼ全て明るみに出ていたと聞く。

 

 もしも、彼等が“そう“であるならば、構成員は然程多くはない筈。本来の宇郷ノ衆を参考とするならば、多くても20名かそこら。眼前の敵の数は16。つまり、敵はこの場にかなりの人員を割いている事になる。生徒をこの場に寄せれば、一気に叩ける可能性も。


「・・・いや、俺は何を考えている」


「む」


「何だ?」

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