休日の予定が決定。他方、コタロウの計画がついに始まろうとしていた
すると、マルコは自身の両手のひらを打ちつける。パンと大きな音が部屋に響いた。
「と、ひと通り説明もすんだことだし。ヤク! 魔人と戦ったっていう場所、連れてってくれよ!」
ヤクの方に、マルコの顔がグッと近づく。ヤクには、その瞳は多大な期待をたずさえるように、輝いて見えた。今日、マルコがこの部屋に2人を迎えたのは、この頼みごとをするためだったようだ。ヤクは、安堵と不満をいだき、顔をしかめた。
「行ってどうする?」
発言したのは、コタロウだった。自分のイヤそうな顔を見て、なにか察してくれたのだろうかと、ヤクはコタロウを見やった。
「もしかしたら、また来るかもしれないだろ? そしたら会えるじゃねえか!」
「おいおい、命知らずだな」
マルコの向こう見ずな言葉に、コタロウは呆れた様子で返した。しかし、マルコは引きさがる素振りをみじんも見せない。
「だって、こんな機会めったにないぞ!? それに……」
すると突然、マルコがヤクの肩を強くつかみ、まっすぐ伸びた人差し指をヤクの顔面に突きつけた。
「いざとなったらこいつがいる」
なにを言いだすかと思えば、結局は他人頼みかと、ヤクは心の内でぼやいた。今日は、いつもよりも脳が正常に働かない。些細なことでも、若干のイラ立ちを覚えてしまう自分がいることにイラ立つ。
「あ、明日でもいい……? 今日はもうゆっくり寝たいのよ」
「寝るってお前、部屋半壊してるだろ」
だからなんだというのか。半壊してようが、眠いものは眠い。授業のほぼ全てで睡眠学習をおこなってはいたが。今はなにより横になって眠りにつきたいのだ。
「コタロウの部屋借りる」
約束したわけではない。しかし、ヤクには確信があった。
「俺は基本、研究室に寝泊まりしてるから。いいぜべつに」
コタロウは現在、この学園内に設置されている研究室のひとつに入浸っていることを、ヤクは知っていた。コタロウが、ほとんど自室を使っていないという事実を、ヤクはつかんでいたのだ。
「研究室は学校の設備だろ。私物化すんじゃねえよ」
マルコがため息混じりに、返した。実際、その研究室は、ほぼコタロウが独占的に使用しているようで、完全に自分の部屋としている気配があった。
「大丈夫だ。寝泊まりの許可は既にもらっている気がしないでもない」
「夢でも見たんじゃね?」
「そんな会話した気がする。しかし不思議なことに、目が覚めたら先生はどこにもいなかったが……」
「あ、ほんとうに夢だびっくりしたあ」
「限りなくしてないな」
「毒が充満してるから、先生も手を出せないらしい」
「そろそろ手狭になってきたし……どうにかして、もう一室拝借できないかと画策してるところだ」
「そういうところだぞ」
「とりあえず、明日な。もう眠いし……明日はちょうど休日だし」
「そうだな! 朝から行って張りこみだ!」
マルコは高らかと両手をあげた。ヤクは、内心めんどくさいと感じつつも、明日になればまた気分も変わるだろうと考える。コタロウの方を見ると、自身の唇と触りながら、うんうんとうなっている。どうやら本気で、研究室をもう一室拝借する計画を企てているようだ。毒魔法使いは大人でもかなり稀有な存在である。そんな稀有な彼が、もしその気になったなら。一校舎分くらいは軽々占領できてしまうだろう。そうならないことを祈るばかりだ。
定期的に見てくださる方々、初めて見てくださる方々含め、皆様には感謝しかありません。ゆっくりとやっていきますので、どうぞよろしくお願いします。10月くらいから、生活部面において落ち着きが戻りそうな感じです。
そろそろ本題に入りそうな……2章と銘打ってからどのくらい経った!?
追記
題名変えました。
「転生者は今日も化け物じみている」→「その少年、5000年かけて学校へゆく」
サブタイトルも短くしてみました。最初は見てもらうために長〜くしてたんですが、ありがたいことに100人以上もの方々にブックマークしていただけているのでね。徐々に短くしていこうかなあ、もうそこあんまりこだわらなくてもいいかなあ、みたいな。
向上心のカケラもない、現状に満足著者です。




