5000年という年月は、少年にはあまりにも永かった
太陽が西に傾き、陽が教室内に差しこむ。窓際の席も、このときばかりは不人気な席に成りさがる。どの学校も1日の終わりを迎える時間帯となった。ここ、ピスケ第三魔法学校も例にもれず放課後を迎えていた。
つい今朝方、魔人族との戦闘を終え、睡眠時間もろくにとれないまま迎えた学校生活。ヤクは、案の定ほぼすべての授業を睡眠に費やし、彼の学習進度は昨日の彼とまったく変わらない状態である。
最後の授業を乗りこえて、生徒たちは着席の呪縛から解きはなたれる。背伸びをする者もいれば、即刻カバンを持って立ちさる者もいる。他方で、ヤクはというと。コタロウの席に向かっている。マルコのほうを見ると、アマナツに絡んで苦い笑顔をされている。露骨にイヤな素振りを見せないところ、アマナツの性根のよさがうかがえる。
コタロウは、教科書をカバンにしまっていた。背が高いせいで、脚が机からはみ出している。あいかわらず、目のクマもひどい。長い髪の毛を後頭部で結んでいるにもかかわらず、至るところから毛が跳ねている。勉学は良好なはずなのに、どうして髪を結ぶことは上手くならないのだろうかと、ヤクはいつも疑問であった。
「レイジは?」
いつもなら1番に騒がしくする男の声が聞こえない。見渡すと、レイジの姿がどこにも見当たらなかった。
「補習」
「え、俺呼ばれてない。てことは、俺もついに補習組卒業か!」
両手で勝利のガッツポーズ。レイジとの底辺争いも、ここらで決着だ。自分はやればできる男なのだと、しみじみ思う。
「ヤクはそれ以前の問題だから、呼ばれてないだけだろ」
コタロウが立ちあがり、カバンを肩にかける。
「補習うんぬんよりも、お前は基礎がかなり危ういからな」
背後から、マルコが話に入ってきた。どうやら、アマナツには逃げられたようだ。本来なら、顔面に紅葉をつくっていても不思議ではないしつこさだが、顔はいたって通常だ。むしろ、やりきった感まで滲みでている。話せてよかったね。
「来週からお前は、初中等の先生集めて個別で指導だってよ。よかったな」
「な、なんで!?」
教室中にヤクの嘆きにも似た悲鳴が響きわたる。“個別で指導“しかも“初中等の先生を集めて“、補習よりも言葉に強さを感じる。
「補習じゃあ、補いきれないからだろ?」
コタロウを見あげると、バカにしたようにニヤニヤしている。
「マルコがいるじゃんか!」
「俺には俺の勉強があんの」
絶望の表情である。いや待てよ、まだ自分にはコタロウがいるではないか。ヤクはコンマ1秒で思念し、ふたたびコタロウを見あげる。
「俺を見るな。見捨てられてないだけよかったろ」
ヤクの学習レベルは、初等部もびっくりのレベルで止まっている。はるか昔、この世界に来る前のころも、学校へは行けていなかった。しかし院内学級において、勉学を怠った記憶はない。そして、5000年も前の勉学内容を覚えているわけもない。授業を聞いても、「ああ、そういえばこういうのもあったな〜」とすら思わないほど覚えていなかった。
「俺の花の放課後が……」
これも、5000年間勉強をしてこなかった自分への罰かと心の中で涙する。
「どうせ寝てるか身体動かすくらいしかしてないだろ。お前も社会に出るんなら、一般教養くらいは身につけとけよ」
「そういえば、魔人族についても、お前まったくだったよな」
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お気づきだろうか、、、3人組多い問題。私の技量では、3人が同時に動かせる限界という悲しい真実。文作のレベルが高ければ、5人くらい同時に動かしたいのですがやはり無理。よくて4人、しかし内ひとりは脇脇役。ホント難しいですね。




