出会いは突然
【inほーかご】
「外出ようぜ!」
朝に遅刻でこっ酷く怒られたマルコであったが、今はもう何事も無かったかの様な、むしろ今日は最高の日でしたくらいのテンションである。つまり、平常運転である。
「いーねー、偶にはジャンキーなのも食いたい!」
レイジがヨダレを垂らしながら声高らかに答えた。
「ジャ、ジャンキー!?」
微かに残る遥か昔の記憶。5000年前にも関わらず覚えているのは、ずっと夢見ていたからだ。
「ハンバーガーとかな。」
「ハンバーガー!」
「ピザとか。」
「ピザ!」
夢にまで見たジャンクフード。身体が弱く病院生活を余儀なくされていた前世。そして、戦いに明け暮れた5000年間の森生活。決して触れる事の無かった未知なる味の濃い食べ物に、心が踊る。
「行こう! ビバファストフード店!!」
ダイスケは両腕を広げた。その背中からは、“嬉しい“の文字が浮かび上がっている。
「錯覚か? 刺青が見える。」
「刺青だったらクソダサいけどな。」
周囲は若干引き気味であるが、今日の3人の夕飯は外食に決定した。
【go out !!!】
「何食う? やっぱハンバーガー…いや、ピザ…いやいや、ラーメンとかも…」
様々な店が建ち並ぶ大通りを3人は歩く。時間が時間ということもあり、ダイスケたちと同じくらいの人が多く、知った顔もチラホラ居る。
「好きなもんで良いぞー。」
「そーそー。」
ダイスケがひとりブツブツ呟いているとその後ろから声がした。気付けばダイスケだけ2メートル程先に進んでいたようだ。気持ちが前に前にと身体をいつもより進ませる。
ダイスケは振り返り、2人の方を見やる。
「えー! 好きなもんてっ…、好きなもんてっ! 決めらんねぇよ! お前らもなんか意見…」
「おい、あぶないぞ。」
ドンッ
突然の衝撃。何かが肩にぶつかった。
振り返ると、フードを深く被った人が立っていた。身長はダイスケと同じか少し小さいくらいの、服装は所々薄汚れている。後ろには似た格好の人がもうふたり。違いと言えば背丈くらいだろうか。ふたりともかなり背が高い。
ダイスケがぶつかったのはこの人だろう。人の多い場所で前を見ずに歩いたのだから当たっても言い訳はできない。
「すみません。」
「いやこちらこそ。」
そう言ってダイスケの横を通り過ぎていく。
ふと何かを探られているような気配を感じ、振り返る。すると、先ほどぶつかった人と目が合った。深く被られたフードから微かに見える垂れがかった眼が、ダイスケに鋭く突き刺さる。
目をそらしたら、ダメだ
ダイスケの“感覚“がそう叫ぶ。
「ん? ダイスケどうした?」
不審に思ったレイジが声をかけてきて、ダイスケはそちらを向く。
目線を戻すともうフードの人は居なかった。
「………いや、なんでもねぇ。」
「偶然とは、信じ難い必然である。」
白く尖った歯が鈍く光った。
まるでラブコメ1話目のようなタイトル…
でもこれ以外思いつかなかったので、許してください。
タイトルてむずかしいよ。
読んでいただき感謝です。




