事件の予感
【inどっかの草原】
時は夜。明かり一つない地上を、目玉の様に丸い満月が照らす。
「まったくよぉ、なんで俺らがこんなことしなきゃなんねぇの。」
普段なら人が歩いている様な時間でも場所でもないソコに、2つ…いや、3つの人影。
「さっきからうっさいわね。少しは黙れないの?」
何やらイラだっている様子の男女ふたり。
「だったらコイツのおもり交代してくれ。」
の内の男の方の背中にもうひとり。
「嫌よ、重いもん。」
素っ気なくあしらう女の声。
「まあまあ、ふたり共。ケンカしないで早く任務終わらせよ? で、終わったらみんなで打ち上げしよう。」
「…終わらせたいなら自分で動けや。」
「ヤダよ、疲れるから。」
「〜ったく! どいつもコイツも!!!」
苛立ちをあらわにする男。それでも背中の男をふるい落とさないのは、優しさか。
「てか、本当に居んのか? “俺たち“を脅かしかねないほど強大なヤツなんて。」
「居るよ。だって、大婆様がピスケに居るって言ったんだから。」
「そうよ。大婆様の予言は外れないんだから。」
時は夜。気色悪いほどまんまるな月の明かりが、3人を照らす。
【in食堂ofピスケ第三魔法学園食堂】
朝の食堂。ピスケの生徒は騒がしい。
「おはよー。」
「今日もだりぃーなぁ。」
「あー。課題、部屋に置きっぱだわ。」
などと言う声が聞こえて来る。
そんな中、まだウトウトと目が半開きなマルコと朝風呂上がりのダイスケは、テーブルに並んで座って朝食を食べていた。
「おはよー、なあ、知ってるか? あの事件!」
背後からハキハキした声で話しかけてきたのは、レイジ。両手で朝食を山盛り乗せたお盆をドンと置き、ダイスケの隣に腰かけた。ダイスケは横目で置かれた朝食を見る。その山盛りのご飯が小さいレイジの身体のどこに行くのだろうと思った事は絶対に口にはしない。
「はよー。ピスケ第一の生徒が襲われたってやつだろ? えーと…生徒狩り…だっけ?」
ダイスケが答える。マルコはなんの反応も示さずただボーッと朝食を見つめている。
「だろうな…」
ここ最近、キンリン王国では生徒が拐われる事件が多発していた。犯人は未だ特定できず、拐われた者の行方も全く分かっていない。
「…でも、今回は生徒が“拐われては“いないらしい。重傷ではあるみたいだけど。」
「…へぇー。」
「興味無さげだなぁ。まぁ、第三はまだ被害無いからなぁ。」
「いや。どんな輩なのかは、興味あるよ。」
言いながら、ご飯を口へ運ぶ。
(やっぱコイツ。なーんか得体が知れないんだよなぁ。)
その後、マルコはちゃんと授業に遅刻した。
ちょこちょことやっていく。
この時期になると鼻水が出る詰まる…花粉症なのか、それとも風邪?
何故か花粉症と認めたくない自分が居る。
今後ともよろしくおねがいします。




