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曰く、其の少年は5000年駆けて街へゆく  作者: 過猶不及
第一部
23/78

波乱のトーナメント

 今は放課後。マルコの部屋で、大介、マルコそしてレイジが特に何をするわけでもなく、くつろいでいると、突然ドアが勢いよく開いた。


「ダイスケやばいぞ! お前最悪のグループに入れられた!」


 叫びながらクラスメイトのひとりが、無遠慮に入ってくる。と、それに続いて次々と3組の男子連中が入ってきた。

 先頭に立っている、さっき叫びながら入ってきた男子の手には、なにやら紙が握られている。すると、その紙を床にバンッと勢いよく置いた。紙はシワシワで一度強く握られた形跡があった。


「エルストレガのトーナメント表だ。ついさっきモモツグに渡された。」


「お! 早速来たか〜。ダイスケはどこだぁ?」


 待ってましたと、楽しげにレイジが覗き込む。大介とマルコも()()に続いて覗き込んだ。そのトーナメント表には、それぞれの出場者の在籍校・名前・学年が記されていた。見ると、大介の名前は、左の上から2番にある。


「俺たちの地区は、全30校、合計60名で争われる。その中で上位8名が本戦。つまり、3回勝てば本戦に進めるわけだが…。お前は二回戦で大会の優勝候補と当たる…」


(優勝候補…)


 心の中で小さく呟く。


「第1シード。レオナルド魔導学院の天才、ツバキだ。今大会ダントツの優勝候補。まだ、学生なのに異名までついてる。“灼熱のツバキ“ってな。」


「ダントツ優勝候補…!」


 思わず口に出してしまい、ハッとする。どうしてこれほどまでワクワクしているのか分からない。


「おい、ダイスケなにニヤついてんだよ。」


「え!? あー、いや。別に。」


 高速で首を横に振る。取れちゃう勢いだ。


「おいおいオメーら、そんな話したって早いだろ? まずは、一回戦だよ、一回戦!」


 釘を刺すように、レイジが言った。レイジはクラスの男子のまとめ役なのである。このままでは一回戦の相手に対して失礼だと思ったのだろう。


「おおっ。確かにそうだな! そうだよ! 一回戦が先だよな! 一回戦の相手は誰だ?」


 トーナメント表を見て急いで来た男子連中が一斉に慌て出す。


「一回戦は〜、…オイプロクス第一魔法学院の、コタロウ? 俺たちと同じ2年だ。」


「「「………」」」


「どんなヤツなんだ?」


 沈黙を破ったのは、この中で一番無知の男、大介。


「…、お前、知ってるか?」


「いや? 去年は出てないよな。」


「オイプロクス第一っつたら、結構な名門校だろ。」


 キョロキョロと全員の顔を見渡すが、誰ひとりとして明確な答えを出さない。クラスの誰も知らないんじゃ、お手上げである。


「…一体、どんなヤツなんだろう。」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





【オイプロクス第一魔法学院】


 どこの学校もやることは大体同じなようで。トーナメント表を見た生徒が数人、慌てた様子で職員室に押しかけていた。


 しかし、行動は同じでも、その理由はまったく違うものであった。それは、


「先生! 本当にコタロウを出すんですか!?」


「そうですよ! どうしてあんな、卑劣なヤツを!!!」


ひとりの生徒に対するの抗議であった。




【卑劣】


性質が汚く、行いが正々堂々としていない様。

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