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猫の魔女

どちらが正義か

作者: SHIN

ファートランドという国の王都・・・


ここは、近年まれに見るほど栄えていた。


しかし、光あれば影・・・


どのような都市にも、「スラム」があった。


「捕まえたぞガキ!!」


パン屋の親方・バルスが、パンを盗んだ少年を捕らえた。


「な・・・

何すんだよ!」


「はっ!

バツとして、てめえには一生ここで働いてもらうぜ!」


「はっ?」



それから、数年間、少年ディエゴは、バルスにしごかれた。


そして・・・


「ディエゴ!

おめえ、ノンちゃんとデキてるんだって!?」


元スラムの仲間が、ディエゴに声をかけた。


「なに言ってるんだ。

ヨシュア!

お前だって、鍛冶屋の親方の娘さんオトしたじゃないか!」


そう。


バルスは、捕まえたパン泥棒のスラムの子供たちを、知り合いの親方たちに「配って」いたのだ。


「でもだ・・・」


ヨシュアの表情が曇る。


「王都外れのパン屋・・・

知ってるか?」


「ガリクソン親方の店か。」


「ああ・・・」


「変な噂がある。」


ヨシュアが言うには・・・


ガリクソン親方は、パン泥棒をしたスラムの子供を捕まえては、「殺している」というのだ。


「お・・・

おい・・・

この国の法律では、相手が泥棒であっても・・・」


「そうだ。

「正当防衛」でなければ極刑だ。

なにせ、王様はスラムを潰してそこの連中に「学」と「仕事」を与えたいらしいからな。」


そう。


国王は、国力の底上げは、「貧民」をなくすことからだと考えており、スラムの子供でも無料で行ける学校をいくつも建てている。


「ああ。

先日も、ウチの親方が王様に呼ばれた。

で、「国王直属貧民救済官」っていうお役目をもらった。」


ディエゴが言う。


「って・・・

それ・・・」


「王様もな・・・

ウチの親方と同じことを考えていて、親方連中の捕まえた連中を放り込んで国民として勉強させる学校をつくろうとしていたらしい。」


「おうよ!

もっとも、王様は俺のやっていたことに対してお褒めの言葉をくださった。

っていうか、「先にやられた!」って感じだったぜ。」


バルス親方が、店の奥から出てきた。


「大体な・・・

王様がお一人でやろうとなされれば、無理があるってんだ。

そうそう・・・

お前らが話していたガリクソンの店・・・

王様直々のお調べでわかったが、盗みを働いたガキ共を殺して売り物のパンの生地に練り込んでいたらしい。

いいかお前ら!

「やむを得ない」行為に対して、過剰な罰は与えるな!

「第二のガリクソン」になるのは、嫌だろうが!?」


「「はい!」」



「ほほお・・・

これが、この豊かなファートランドの「福祉王」やその片腕「貧民救済官」バルスの偉業にゃ?」


カフェで、ミルクを飲む「黒猫の魔女」・・・


「そうです。」


「どおりで、この国にはスラムがないわけだにゃ。

そうやって、王様や親方が、恵まれない子供を救っていったにゃね。

はてさて・・・

未来はどうなるかにゃ?」


「魔女様は、変わらないとお考えで?」


「今よりもっと科学が発展して、便利になるにゃ。

けど・・・

相手の話を、自分の都合のいい部分しか「聞こえない」愚か者が多くなるにゃ。」


お勘定を払い、魔女・・・


ミーニャは、ほうきにまたがって空へ飛び立った。


「さて・・・

未来はどうなるかにゃ?」



最近、相手の謝罪を「謝罪」と認定しない方が多い気がします。

そんなすさんだ現代社会だから、考える必要があるのではないでしょうか。

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